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■最前線物語(2)

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最前線物語(2) 最強将棋21
最前線物語(2)
[総合評価] S

難易度:★★★★☆

図面:見開き4枚
内容:(質)S(量)S
レイアウト:B
解説:A
読みやすさ:B
有段〜高段向け

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【著 者】 深浦康市
【出版社】 浅川書房
発行:2006年8月 ISBN:4-86137-014-0
定価:1,470円(5%税込) 227ページ/19cm


【本の内容】
振り飛車の部 G1 藤井システムと四間飛車 (1)△藤井システム3二銀型
(2)△藤井システム4三銀型(▲超急戦)
(3)▲藤井システム4七銀型
(4)▲藤井システム4七銀型(△2四歩の是非)
(5)▲藤井システム5六銀型
(6)▲藤井システム1六歩型(△5五角型右銀急戦)
(7)4五歩早仕掛け(▲4五同桂/▲3三角成)
(8)右6四銀急戦(小阪新手▲8三角など)
(9)松尾流穴熊をめぐる攻防
54p
G2 ゴキゲン中飛車 (10)5八金右超急戦
(11)新旧丸山ワクチン
(12)二枚銀
20p
G3 石田流と三間飛車 (13)鈴木的升田式石田流
(14)石田流本組みをめぐって
(15)三間飛車相穴熊の戦い
16p
G4 向かい飛車の挑戦 (16)▲向飛車オープン型
(17)△向飛車クローズ型
12p
G5 なぜ手損振り飛車か (18)驚異の△2手損振り飛車
(19)矢倉流△一手損四間飛車
12p
G6 相振りレボリューション (20)矢倉vs美濃
(21)△穴熊の挑戦
11p
居飛車の部 G7 角換わりロマン (22)角換わり腰掛銀先後同型
(23)一手損角換わり相腰掛銀
(24)一手損角換わりvs棒銀
(25)一手損角換わりvs早繰り銀
(26)一手損角換わりvs1五歩型右玉
33p
G8 横歩取り進化論 (27)8五飛戦法vs5八玉・3八銀型
(28)8五飛戦法vs6八玉・3八銀型
(29)8五飛戦法vs6八玉・3八金型
(30)8五飛戦法vs新山ア流
(31)相横歩取り戦法
30p
G9 スペシャリストたちの矢倉 (32)4六銀・3七桂型
(33)森下システムvsスズメ刺し
(34)脇システム
(35)相掛かり引き飛車棒銀
28p

・あとがき、と言いつつ加筆する最前線について=4p

◆内容紹介
本書は、プロ棋士がいま最も注目し、公式戦でもよく現れる35のテーマについて、局面の考え方・実戦例を解説し、筆者の見解を加えたものである。


【レビュー】
総合定跡書。「この形がタイトル戦に出る!」が基本コンセプトの「最前線シリーズ」3冊目で、完全書き下ろし。タイトルに「2」とあるが、最初に『これが最前線だ!』があるため3冊目になる。

藤井システムと横歩取り△8五飛でほとんど埋め尽くされていた前著から、選ばれた戦型はまたも大きく様変わり。最近のプロ将棋の移り変わりの速さを感じさせる。今回の特徴は、力戦系振り飛車(相振飛車を含む)の隆盛と進化がひとつ。これは比較的自然な流れだったが、もうひとつ、かなり大きな新テーマが「手損戦法」の出現だ。「手損はヨクナイ、大勢に遅れる」の考え方から「手損しても形で得をすることがある」というブレイクスルーが起こった。1980年代から1990年代にかけて、「飛車先保留」の出現で矢倉や角換わりが大きく変わったことがあったが、その再来を予感する。「手損の得」は戦型だけでなく、部分的な手筋としてもしばしば見かけるようになった。

基本的な構成はシリーズ共通。各テーマの冒頭1ページで、テーマ図の説明、背景、考え方、思想、現在の傾向と対策などをひとまとめにし、解説ページでは基本変化と実戦例、考え方や今後の展望など。レイアウトも基本的に同じ。前著には見開きの左端に図ごとの短評があったが、今回は削除された(1冊目と同じスタイルに戻った)。

前著の内容は、東大将棋ブックスの「四間飛車道場シリーズ」「横歩取り道場シリーズ」などで深い変化がフォローされている部分もあったが、最近のように戦法の広がりが大きく進化が速くなってくると、もはや一冊の定跡書としてまとまらない可能性が高い。本書を読んで、どんな形で来られても驚かないようにしておきたいものである。

率直に言って、「狭く深く、変化重視」の『将棋定跡最先端』シリーズよりも、「思想・考え方重視」の本シリーズの方がずっと読みたい本である。考え方がガラリと変わりつつある近年では、特にそう思う。

ちなみに、さっき週刊将棋に載っている棋譜を並べていたら、さっそくテーマ4図が登場していた。タイトル戦だけでなく、プロ将棋ガイドとしてやっぱり必携の一冊である。(2006Oct26)



【関連書籍】
 『
これが最前線だ! 【最新定跡完全ガイド】
 『
最前線物語
[ジャンル] 
総合定跡書
[シリーズ] 
最強将棋21
[著者] 
深浦康市
[発行年] 
2006年

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