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■将棋・ひと目の鬼手(マイナビ将棋文庫SP)

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将棋・ひと目の鬼手
zoom
マイナビ将棋文庫SP
将棋・ひと目の鬼手
[総合評価] B

難易度:★★★★
  〜★★★★☆

見開き1問
内容:(質)A(量)A
レイアウト:A
解答の裏透け:A
解説:A-
有段向き

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【著 者】 週刊将棋/編
【出版社】 マイナビ
発行:2013年11月 ISBN:978-4-8399-4925-9
定価:1,155円(5%税込) 384ページ/16cm


【本の内容】
第1章 級位者クラス
第2章 初段クラス
第3章 二段クラス

◆内容紹介
自玉は詰めろ、相手玉には詰みがない。そういう局面では、寄せにいっては駒を渡すだけですし、受けるだけの手では勝つことは困難です。
そこで求められるものこそ自玉と相手玉の詰みまでの速度を逆転させる一手。特にそれが強烈なインパクトを持つ手であるとき、「鬼手」と呼ばれます。
詰めろ逃れの詰めろ、鮮やかな捨て駒でぎりぎりの勝利。これこそ将棋の醍醐味といえます。
本書には次の一手問題の中でもそのような絶体絶命の状況で「鬼手」がある局面のみを厳選、185問収録しています。
これらの問題を考え、解説を読めば終盤力は大幅UP! ぜひ実戦で鬼手を炸裂させてください。


【レビュー】
「詰めろ逃れの詰めろ」に特化した次の一手問題集の第三弾。『将棋・ひと目の攻防』(週刊将棋編,MYCOM,2011.01)、『将棋・ひと目の逆転』(週刊将棋編,MYCOM,2012.03)の続編となる。

本書は、週刊将棋の「段・級位認定 次の一手」から、「詰めろ逃れの詰めろ」の問題を撰集したもの。今回の出典は、正確な時期ははっきりしないが、主に第200回〜第300回(1988年〜1990年ごろ)と、第800回〜第1000回(2001年〜2004年ごろ)。

基本的なコンセプトは『将棋・ひと目の攻防』等と同じなので、下記に再掲しておく。(一部改変)

●問題の特徴
(1) 相手玉に即詰みはない
(2) 自玉には詰めろがかかっている
(3) 受け一方の手では勝てない
⇒自玉の詰めろを外しながら、敵玉に迫る攻防の一着(手順)が必要
 ※なお、「詰めろ逃れの詰めろ」ではない問題もまれにある。この場合は「敵の攻め駒を素抜いて勝ち」というパターン。

●頻出パターン4+α
(1) 自玉への利きを増やす
(2) 自玉に迫る相手の駒を取る
(3) 相手の持駒を使わせる
(4) 自玉の王手を逆王手にする
(5) 敵の討ちたいところに打って詰み筋を消す
(6) 打歩詰めで凌ぐ

問題部の構成:
(1)出題時のクラス
(2)出題時の正解率
(3)ヒント(50〜60字)
(4)掲載回(第○○回)
(5)選択肢はなし

解答部の構成:
(1)先手玉の詰み筋
(2)正解に対する応手(数パターン)
(3)正解以外では(1〜数パターン)

初歩クラス・上級位クラス・初段クラスは、掲載時よりも難易度がかなり上がっている
 ∵週刊将棋掲載時には選択肢(三択)が示されているが、本書では選択肢はなく、ヒントのみのため。

二段クラスは、掲載時よりも難易度はやや下がっている
 ∵週刊将棋掲載時には1行ヒント(10文字程度)だけだが、本書ではヒントが大幅増量しているため。

∴全体として、難易度はほぼ「二段クラス」のレベルに圧縮されている


本書も第二弾の『将棋・ひと目の逆転』と同様、「初級クラス〜二段クラス」からの出題となっている。ただし、第二弾では冒頭10pで「速度の逆転」についての解説があったが、本書ではいきなり問題が始まる。その分、問題量が5問増量している。

参考までに、今回も各問のクラス・正解率を一覧にしてみた。○/×は、わたしの正解/不正解である。目標タイムは1分に設定した。なお、「正解率」は週刊将棋掲載時の正解率だが、初級・上級位・初段の問題は掲載時には三択だった(と思われる)ので、実際の難易度とは必ずしも一致しない。

解いてみた結果

過去2冊よりも、本書の方が難易度がやや高い印象を受けた。実際、わたしの正解率は、第一弾79%→第二弾72%→第三弾(本書)69%とだんだん低下している。(加齢により棋力が低下した可能性はあるが…)

上の表にあるように、初歩や上級位クラスでも結構解けなかった。「ひと目」で解けた問題は1割もない。特に、初歩クラスの高正解率問題は過去2作ではちゃんと正解できていたので、第2問・第3問と続けて解けなかった時にはちょっと絶望したorz

難易度が上がったように感じたせいか、解説の量不足はときおり気になった。特に詰み筋が複雑なときは、「以下詰み」で省略してあるのは残念。解説文の図面は「正解図」と「参考図」の2枚だが、問題によっては参考図をカットしてでも解説量を増やしてほしい。

とはいっても、本書はもともと「次の一手問題」に慣れた人向け。過去2作が良かった人は、本書もオススメ。このような問題をたくさん解くことで、実戦の詰めろに対する感度が上がっていく。

総合評価がBになっているのは、「詰めろ逃れの詰めろ」のような問題の解き方を解説した部分が前作まではあったのが、本書ではなくなっているため。慣れた人には、あってもなくても関係ないだろう。

逆に、不慣れな人にはあまりオススメできないので、もっと解説が多い問題集を選ぼう。(2014Feb12)


※誤字・誤植等(第1版第1刷で確認):
p248 ×「▲3二飛成△同玉…」 ○「▲3二飛成△同銀…」



【関連書籍】

[ジャンル] 
次の一手問題集
[シリーズ] 
マイナビ将棋文庫SP
[著者] 
週刊将棋
[発行年] 
2013年

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