「詰めろ逃れの詰めろ」に特化した次の一手問題集の第三弾。『将棋・ひと目の攻防』(週刊将棋編,MYCOM,2011.01)、『将棋・ひと目の逆転』(週刊将棋編,MYCOM,2012.03)の続編となる。
本書は、週刊将棋の「段・級位認定 次の一手」から、「詰めろ逃れの詰めろ」の問題を撰集したもの。今回の出典は、正確な時期ははっきりしないが、主に第200回〜第300回(1988年〜1990年ごろ)と、第800回〜第1000回(2001年〜2004年ごろ)。
基本的なコンセプトは『将棋・ひと目の攻防』等と同じなので、下記に再掲しておく。(一部改変)
●問題の特徴
(1) 相手玉に即詰みはない
(2) 自玉には詰めろがかかっている
(3) 受け一方の手では勝てない
⇒自玉の詰めろを外しながら、敵玉に迫る攻防の一着(手順)が必要
※なお、「詰めろ逃れの詰めろ」ではない問題もまれにある。この場合は「敵の攻め駒を素抜いて勝ち」というパターン。
●頻出パターン4+α
(1) 自玉への利きを増やす
(2) 自玉に迫る相手の駒を取る
(3) 相手の持駒を使わせる
(4) 自玉の王手を逆王手にする
(5) 敵の討ちたいところに打って詰み筋を消す
(6) 打歩詰めで凌ぐ
問題部の構成:
(1)出題時のクラス
(2)出題時の正解率
(3)ヒント(50〜60字)
(4)掲載回(第○○回)
(5)選択肢はなし
解答部の構成:
(1)先手玉の詰み筋
(2)正解に対する応手(数パターン)
(3)正解以外では(1〜数パターン)
・初歩クラス・上級位クラス・初段クラスは、掲載時よりも難易度がかなり上がっている。
∵週刊将棋掲載時には選択肢(三択)が示されているが、本書では選択肢はなく、ヒントのみのため。
・二段クラスは、掲載時よりも難易度はやや下がっている。
∵週刊将棋掲載時には1行ヒント(10文字程度)だけだが、本書ではヒントが大幅増量しているため。
∴全体として、難易度はほぼ「二段クラス」のレベルに圧縮されている。 |
本書も第二弾の『将棋・ひと目の逆転』と同様、「初級クラス〜二段クラス」からの出題となっている。ただし、第二弾では冒頭10pで「速度の逆転」についての解説があったが、本書ではいきなり問題が始まる。その分、問題量が5問増量している。
参考までに、今回も各問のクラス・正解率を一覧にしてみた。○/×は、わたしの正解/不正解である。目標タイムは1分に設定した。なお、「正解率」は週刊将棋掲載時の正解率だが、初級・上級位・初段の問題は掲載時には三択だった(と思われる)ので、実際の難易度とは必ずしも一致しない。
過去2冊よりも、本書の方が難易度がやや高い印象を受けた。実際、わたしの正解率は、第一弾79%→第二弾72%→第三弾(本書)69%とだんだん低下している。(加齢により棋力が低下した可能性はあるが…)
上の表にあるように、初歩や上級位クラスでも結構解けなかった。「ひと目」で解けた問題は1割もない。特に、初歩クラスの高正解率問題は過去2作ではちゃんと正解できていたので、第2問・第3問と続けて解けなかった時にはちょっと絶望したorz
難易度が上がったように感じたせいか、解説の量不足はときおり気になった。特に詰み筋が複雑なときは、「以下詰み」で省略してあるのは残念。解説文の図面は「正解図」と「参考図」の2枚だが、問題によっては参考図をカットしてでも解説量を増やしてほしい。
とはいっても、本書はもともと「次の一手問題」に慣れた人向け。過去2作が良かった人は、本書もオススメ。このような問題をたくさん解くことで、実戦の詰めろに対する感度が上がっていく。
総合評価がBになっているのは、「詰めろ逃れの詰めろ」のような問題の解き方を解説した部分が前作まではあったのが、本書ではなくなっているため。慣れた人には、あってもなくても関係ないだろう。
逆に、不慣れな人にはあまりオススメできないので、もっと解説が多い問題集を選ぼう。(2014Feb12)
※誤字・誤植等(第1版第1刷で確認):
p248 ×「▲3二飛成△同玉…」 ○「▲3二飛成△同銀…」
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