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将棋パワーアップシリーズ 1手〜9手詰め 詰将棋202題 |
[総合評価] B (〜D) 難易度:★☆ 〜★★★★ 見開き2問 内容:(質)A(量)A レイアウト:A 解答の裏透け:A 解説:B 初級〜有段向き |
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【著 者】 高橋道雄 | ||||
【出版社】 創元社 | ||||
発行:2013年1月 | ISBN:978-4-422-75130-6 | |||
定価:1,050円(5%税込) | 208ページ/18cm |
【本の内容】 |
・詰将棋=202問 (1手詰=16問/3手詰=40問/5手詰=64問/7手詰=60問/9手詰=18問/11手詰=4問) ◆内容紹介 つねに「実戦形」にこだわり続ける、高橋詰将棋の集大成。 初級の1手・3手詰めの問題で詰めの基本手筋を身につけ、さらに5手・7手・9手詰めの中級へとステップアップすることで、詰みの力を養成していく。初級者はもちろん、中・上級者にも、基本トレーニングとしておすすめの詰将棋問題集である。「実戦の終盤を指しているような気分で詰将棋を楽しむ」という、高橋詰将棋を堪能できる会心の1冊。 |
【レビュー】 |
1手〜11手詰の詰将棋問題集。(※書名は『1手〜9手詰め〜』だが、最後の4問だけ易しめの11手詰が含まれている) 本書は、「本当の実戦形」で好評を博している「X手詰将棋」シリーズの第4弾であるが、これまでの「X手オンリー」ではなく、1手〜11手と手数のバラエティが広がっている。 また、これまでと同様、大部分の問題が実戦で現れる囲い(または囲いが崩れたもの)であり、易しく実戦的な詰め手順が多く含まれている。なお、「実戦的」とはいっても「詰将棋」なので、駒余りになる問題はない。 本書の実戦的な手順は、一般的な「詰将棋」に慣れていると、かえって見えづらい筋のものもある。第58問などが良い例だ。第68問は詰め上がりが見えづらくて苦戦した。詰将棋を解くことは終盤力向上には欠かせないが、本書のような実戦形もこなしていくのが望ましい。 ところで、本書の「1手〜9手」(実際は11手まで)というコンセプトについては、わたしはあまり良く思っていない。 オビの裏表紙側には、「1手詰めをしっかりマスターしてこそ、3手・5手問題を積ますことができる。基本手筋が身につけば、7手や9手詰めも容易に解ける。」とある。 確かにその通りではあるが、「1手詰→3手詰」や「3手詰→5手詰」のハードルは非常に高く、数十問でマスターできるものではない。単純に読む量がけた違いに多いのだ。たとえば、1手詰を初めてやる人ならば、頭金だけでも最大8通りの確認をしなければならない。これが3手詰となると、軽く3ケタ通りの確認が必要だ。 思い出してほしい。小学1年で1ケタ+1ケタの足し算を習い、九九を暗記して、3ケタ×2ケタの掛け算を筆算でできるようになるまで3年かかったことを。5手詰以上が解けるようになるのは、これくらいのインパクトがあることだと思う。とても一冊の計算ドリルで済むような話ではない。 実際、本書は初心者なら前半の60問くらいまで行ければ御の字だろう。せめて、手数up時の考え方が具体的に解説されていれば、もう少し行けるかもしれない。逆に中級者以上は、前半は簡単すぎるので、楽しめるのは100問強だろう。 ただし、これは本書の問題の並び順が1手から手数順になっているためで、もし手数がランダムになっていれば、中級者以上もほぼ全問楽しめるはずだ。この場合は、初心者は初めから対象外になる。さらに、これまでのように囲い別にまとめてあれば、「今日は銀冠を攻略しよう」などと絞り込んだトレーニングも可能な仕様になったはずだ。 本書の総合評価は、楽しめる問題数を考慮したうえで、上級者〜有段者の視点でBとしたが、初級〜中級の視点ではC、初心ならD以下となる。 本書は、万人受けを狙って失敗した好例である。セールス的には良いのかもしれないが、購入者のロイヤルティは下がっただろう。これまでの手数を絞ったコンセプトが非常に良かっただけに、残念だ。(2014Feb21) ※誤字・誤植等(第1版第1刷で確認) p168下段解答 △「〜まで7手詰み」 → 他の問題では「〜まで○手詰め」で統一されている。 |