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こども向け将棋教室 やさしい詰みの形 | [総合評価] B 難易度:★〜★☆ 見開き2問 内容:(質)A(量)B レイアウト:A (2色刷り) 解答の裏透け:A 解説:B 初級向き |
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【著 者】 高橋和 | ||||
【出版社】 日本将棋連盟/発行 マイナビ/販売 | ||||
発行:2012年1月 | ISBN:978-4-8399-4123-9 | |||
定価:998円(5%税込) | 160ページ/21cm |
【本の内容】 | ||||||||||||||||
・【コラム】どうやったら強くなるの?/詰将棋の良いところ |
【レビュー】 |
ホントの初心者向けの詰将棋問題集。 初心者同士の対局で、互いに延々と駒を取り合っている光景を見かけることがある。というより、少しだけ強い方が弱い方(駒の動きすらアヤフヤ)の駒を取りまくってることが多い。 しかし、将棋の本質は「相手より1手でも早く玉を詰める」こと。つまり、初心者同士なら、「駒取り坊主」よりも「詰みの形をマスター」した人のほうが強い道理である。よって、「詰みの形」をできるだけ多く知ることが、初めての1勝を挙げるための最短の道になる。 本書は、初心者向けが「詰みの形」を覚えるための問題集である。 本書の「詰め将棋」は、正式なパズルとしての「詰将棋」(※1)と違い、読者はとにかくヒントの指定どおりに詰ませればよい。パズルとしての詰将棋ではなく、実戦で確実に詰ませるための問題を意図しているので、答が複数ある場合もあるし、駒余りもある(取った駒が余る、持ち駒の一方が余るetc.)。 第1章では、初心者が(詰将棋にもかかわらず)駒得に走らないように何度も指導している。「詰将棋なのに、王手をしないのはありえないだろう」というのは、中級者以上の考え。初心者は、「王より飛車が好き」なのである(笑)。なので、「将棋の目的は、駒を取ることではなく、玉を追い詰めること」を徹底させている。 各章末には、「タイム表」と「参考タイム」が載っている。「タイム表」は、自分が解いた時間のチェック用。「参考タイム」は、道場四段/初段/3級/5級/7級に解いてもらった結果。第1章の1手詰でも、四段でおよそ2秒/問、7級ならおよそ30〜50秒/問(答え合わせを含むかどうかは不明)。参考タイムの意義は、p82のコラム「どうやったら強くなるの?」を参照するとよい。まずは、1手詰はひと目で見えるようにがんばりたい。 おそらく、これまででもっとも易しい詰め将棋問題集の一つだろう。前半は妙手はほとんどなく、第2章の第23問あたりから捨て駒が出てくる。MAX5手詰めだが、並べ詰め(妙手なし)なので恐れることはない。 ルールの説明(駒の動かし方など)はないので、基本的には「ルールは知っている」or「入門書は持っている」という人向け。全ての感じがルビ付きなので、小学生低学年から読むことができる。本文の字はかなり大きめで、解説は簡潔になっており、長い文章が苦手な人にもぴったり。逆に、詳しさを求めている人には物足りないだろう。 このコンセプトでは、『将棋1手詰入門ドリル』『将棋3手詰入門ドリル』(椎名龍一,池田書店,2007/2008)もよい。少なめの問題で反復練習をしたいなら本書を、多くの問題に触れたいなら椎名本を選ぼう。(2012Apr14) ※1 ^ パズルとしての「詰将棋」には、指し将棋にはない独特のルールがいくつかある。「玉以外の残りの駒は全て玉方が使用できる」「持ち駒は余らない」(玉方の対応が複数ある場合は、持ち駒を使い切らせるように対応する。どう対応しても持ち駒が余る場合は、問題の不備とされる)など。 |