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マイコミ将棋BOOKS 高崎一生の最強向かい飛車 |
[総合評価] B 難易度:★★★★ 図面:見開き4枚 内容:(質)A(量)A レイアウト:A 解説:A 読みやすさ:A 上級〜有段向き |
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【著 者】 ア一生 | ||||
【出版社】 毎日コミュニケーションズ | ||||
発行:2010年3月 | ISBN:978-4-8399-3496-5 | |||
定価:1,470円(5%税込) | 224ページ/19cm |
【本の内容】 | ||||||||||||||||
◆内容紹介 |
【レビュー】 |
向飛車の定跡書。 本書の向飛車は、角道を止めないタイプの▲向飛車。初手から▲7六歩△8四歩▲5六歩△8五歩▲7七角△5四歩▲8八飛が基本図A(右図)で、升田流向飛車と呼ばれる形となる(狭義の升田流向飛車は基本図Aから△6二銀▲6八銀△3四歩▲4八玉)。初手の3手は▲中飛車志向の▲5六歩△8四歩▲7六歩でも同じ。 第1章は急戦編で、基本図Aから数手以内に▲8六歩と仕掛けていく将棋。部分的に似たような進行が何度も現れるが、わずかな形の違いで成否が入れ替わることが多く、先手は仕掛けのタイミングを計っていくことになる。これは『変幻自在!! 窪田流3三角戦法』(窪田義行,MYCOM,2008)の△2五桂ポンとイメージが似ている。 本書の内容(特に急戦編)は、『小倉流向かい飛車の極意』(小倉久史,MYCOM,2003)で扱われている戦型と同じである。しかし、この7年で角交換系振飛車の隆盛や△2五桂ポンの技術などが進歩した結果、本書の内容も『小倉流〜』から大きく進化しており、ほぼ上位互換となっている。また、第1章第6節は後手が△3二銀から引き角を狙う形になっており、新しい内容。 第2章は持久戦編。第1章の急戦の結論は、「後手が少し駒組みのミスをすれば、▲8六歩と仕掛けて優勢だが、正しく組まれた場合はやや無理仕掛けになる」。よって、「駒組みを進めて(美濃に囲って)チャンスを狙う」というわけで、持久戦の解説になる。 持久戦といっても、第1節や第4節のように、チャンスと見れば▲8六歩とドンドン仕掛けていく場合もあるし、▲4八飛と転戦して藤井システムばりの玉頭攻めを見せる展開もある。また、第3節の対急戦では、四間飛車vs急戦の定跡に合流させず(合流させても一局)、8筋が固い向飛車ならではの手法で、銀冠に組む展開を解説。 なお、第1章では各節末にまとめページがあるが、第2章ではまとめページがない。 第1章・第2章とも、基本的に視点は公平で、ヤラセ手順はあまり感じられない。それだけに難しいところもあるが、マスターすればアマでは相当に勝ちやすい戦法ではないだろうか。▲石田流か、▲5六歩からの▲中飛車が得意な人にとっては、2手目△8四歩対策として必修かと思う。逆に▲石田流がイヤで2手目△8四歩としている人にとっては、この向飛車は避けて通れないので、こちらも正しい手順を学ぶためには必修。 評価はBとしたが、Bの上端の方。『窪田流〜』が甘めAなので、本書もAでもいいかな…。(2010Sep20) ※本書の著者「たかざき いっせい」四段は、表紙などでは「高崎一生」と書かれているが、本来の表記は「ア一生」(高→(はしごだか)、崎→ア(たつさき))が正しい。MYCOMの棋書や週刊将棋では常用漢字に統一されているようだ。 |