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マイコミ将棋文庫SP 将棋・ひと目のさばき 軽さが身につく200問 |
[総合評価] B 難易度:★☆ 〜★★☆ 見開き1問 内容:(質)B(量)A レイアウト:A 解答の裏透け:C 解説:B 初級〜上級向き |
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【編】 週刊将棋 | ||||
【出版社】 毎日コミュニケーションズ | ||||
発行:2010年1月 | ISBN:978-4-8399-3419-4 | |||
定価:1,050円(5%税込) | 416ページ/16cm |
【本の内容】 | ||||||||||||||||||||
・次の一手問題=200問
◆内容紹介 |
【レビュー】 |
「捌き」に重点を置いた次の一手問題集。「ひと目」シリーズ第5弾。 「捌き(さばき)」とは何か。有段者の将棋なら頻繁に使われる言葉であるが、説明するのは案外難しい概念である。大辞林第二版には「うまく取り扱うこと」とある。一般的な言葉では「包丁捌き」「魚を捌く」「仕事を捌いていく」などと使われている。 本書では「扱いにくいものをうまく使う。また、道具などを使いこなす」(p6)とあり、「駒を効率良く、上手に使いこなす」と定義している。結局「捌き」をひと言で表すのは難しいが、 ・味方の遊び駒を使う (特に振飛車の左桂、居飛車の右桂など) ・味方の攻め駒と敵の守り駒を交換する ・味方の働きの悪い駒と敵の働きの良い駒を交換する ・働きの悪い駒を、よく働く場所へ移動させる ・敵の駒を効率の悪い重い形にして、味方は別の場所へ転戦する などなど。たとえば、矢倉戦で攻め駒の飛角銀桂香が適度な駒交換によって盤上からいなくなり、持駒になれば「攻め駒が綺麗に捌けた」という。また、振飛車の左桂が▲6五桂と二段跳躍で5三に利いてくれば、「“天使の跳躍”で左桂が捌けた」などという。 本書は、次の一手問題で基本の捌きをマスターしようという本である。 第1章では、部分図で捌きの基本手筋を出題。第2章以降で全体図となって現れる手筋も多いので、この章の問題は反復してやっておこう。彼我の陣形差などは分からないので、問題の意図を汲み取るために、少なくとも第1章ではヒントを読むこと。 第2章以降は、戦型別の手筋で、定跡形やその類似形・変化形から出題している。「ひと目」シリーズにしては珍しく、全体図を使った問題になっている。 第1章〜第3章では、この10年くらいで数多く現れた角交換振飛車系の手筋にも対応しているのが良い。 一方、第4章〜第5章は「これぞ手筋」という問題は少なく、『将棋・ひと目の定跡』(週刊将棋編,MYCOM,2007)とあまり変わらない感じがした。あえていえば、第5章の「矢倉・南流」は以前はあまり見られなかった右桂の捌き方なので、これは覚えておいて損はない。(▲2五桂〜▲1三桂成△同銀▲2五歩の攻め方) なお、本書でも難易度が★の数で表示されているが、ほとんどの問題が★1つ〜★3つで、第5章に★4つがいくつかあるのみ。★3つをすべてマスターすれば、初段の力は十分あると思う。 若干中途半端な本ではあるが、これまでの「ひと目」シリーズが良かったという方は、本書も読んで損はないだろう。(2010Jun11) |