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【第1章・先手右玉6七銀型対居飛車】
基本図からスタートして組み上がったのが左図。後手が右桂を跳ねる余地を残して△8五歩を保留するとこんな感じになる。
ここから主に以下の3つに分岐する。
(1)△6二金〜△8一飛〜△4三銀と千日手を狙って手待ちする
(2)△6二飛と積極的な攻めを狙う
(3)8筋歩交換で1歩をてにしてから△6二飛
わたしは右玉側を持ったことはないので、第1章でのカウンターは驚くような手もいくつかあった。おそらくこういう指し方を知らなければ右玉を指すことはできないのだろう。
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【第2章・先手右玉6七銀型対振り飛車】
第2章基本図は、基本図から△3三銀▲6六歩とわずか2手だけ進んだ左図。ここから後手は以下の3つに分岐する。
(1)四間飛車+美濃囲い(角交換振り飛車の基本)
(2)四間飛車+穴熊(いわゆるレグスペ型)
(3)向かい飛車+穴熊(いわゆるダイレクト向飛車)
なお、「中飛車と三間飛車は争点ができず、結局向かい飛車に振り直すことが多い」(p34)とのこと。
いずれの場合も、先手は▲6五歩と6筋の位を早めに取り、▲6七銀〜▲7八玉の「左玉」で戦うのが細川流。他の3枚の金銀は、相手の陣形によって使い方が変わってくる。いずれも先手の右辺は金一枚で済ませ、飛を8九まで転回させて、後手の玉頭を直接狙う。
細川流では3手目角交換なので、対居飛車戦もマスターしなければならないが、第2章の戦い方は角交換振り飛車全般に応用できるかもしれない。対角交換振り飛車に苦戦している人は、研究の余地がありそうだ。
※「右玉じゃないじゃないか」と思われるかもしれないが、左玉は右玉を左右対称に映したような形になるし、飛を地下鉄飛車で活用する点が共通している。
※なお、『高田流新感覚振り飛車破り』などに載っている「高田流左玉」は、序盤での角交換がなく、まったく別の戦法である。
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【第3章・先手右玉7七銀型対居飛車】
初手から▲7六歩△8四歩▲7八金△8五歩▲7七角△3四歩▲8八銀と進んで第3章基本図。後手が角道を開けてくれなかった場合、強引な角交換ができないので、本譜の展開を狙う。
第1章・第2章と違って、本章では手損のない純正角換わりから先手が右玉にする。対して後手が腰掛銀の構えを取った場合のさまざまな変化について研究されている。
※3手目7八金は『高田流新戦略3手目7八金』で詳しく研究されている手。高田の実戦では4手目は△3四歩が2割、△8五歩が3割、△3二金が5割(『高田流〜』p29)とのこと。
本書では4手目△8五歩以外は触れられていないが、△3四歩には▲2二角成で細川流右玉が実現できるので問題なさそうだ。
4手目△3二金に『高田流〜』ではいろいろな手が紹介されており、オススメは中飛車ということだが、あくまでも細川流右玉を狙うなら▲2六歩から角換わりを強制するのがよさそう。
※役立ちメモ:「右玉は敵の手を消しながら馬を作ってゆっくり指す展開がベスト」(p98)
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【第4章・後手右玉千日手成立の有無】
第4章基本図は左図。純正角換わりから、「バランス重視の右玉側が△6二金〜△5二金を繰り返しじっと待機している変化」(p104)で、「私の実戦でも何度か表れたことがある変化」(同)。千日手にできるかどうか(先手からの仕掛けがあるかどうか)がテーマで、図からの仕掛けは▲1五歩△同歩▲5五歩△同歩▲3五歩で、以下3つに分岐する。
(1)△同歩▲4五桂△4四銀
(2)△同歩▲4五桂△3四銀
(3)△4四銀
いずれも仕掛け自体はできるが、その後難しい分かれになりそうだ。
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【第5章・いろいろな右玉の変化】
第1章〜第4章では解説されなかったいろいろな右玉の変化を、各テーマ4p(一部6p以上)で解説してある。
・地下鉄飛車(1)…▲6七銀型右玉に対する地下鉄飛車
・地下鉄飛車(2)…▲7七銀型右玉から▲5七銀とひきつけた形に対する地下鉄飛車
※地下鉄飛車に対して銀を2筋に持っていくというのは、知らなければ指せない。
・対銀冠(1)…▲6七銀型右玉vs銀冠
・対銀冠(2)…対銀冠で8筋を逆襲(△8四歩vs▲8六歩)できている場合
・△5四角の攻防(1)…先手の両桂が跳ねているときに桂頭を狙う△5四角
・△5四角の攻防(2)…(1)で▲2五歩と▲5六歩が入っている、△3一玉型
・△5四角の攻防(3)…(2)で7筋と3筋を突き捨ててから△5四角
・対一手損角換わり…先手が1筋を詰めた形の右玉
・ダイレクト向かい飛車対策…第2章のダイレクト向かい飛車を▲9六歩で牽制
・相右玉の戦い…▲6七銀型vs△3三銀型
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