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PHP新書(711) コンピュータvsプロ棋士 名人に勝つ日はいつか |
[総合評価] B 難易度:★★★ 図面:随時挿入 内容:(質)A(量)B レイアウト:A 解説:A 読みやすさ:A 将棋ソフトに興味がある人向き |
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【著 者】 岡嶋裕史 | ||||
【出版社】 PHP研究所 | ||||
発行:2011年1月 | ISBN:978-4-569-79435-8 | |||
定価:756円(5%税込) | 198ページ/18cm |
【本の内容】 | ||||||||||||||||||||||||||||
◆内容紹介 |
【レビュー】 | |
コンピュータ将棋ソフトと人間との戦いについて書かれた本。 2010年10月11日、コンピュータ将棋ソフト「あから2010」が清水女流王将に勝利した。2007年3月に「Bonanza vs 渡辺竜王」が企画され、渡辺が僅差で勝ったことを覚えている人も多いと思うが、今回はコンピュータが公式の場でトップレベルの女流棋士を破ったのである。(※1) 「あから」は強豪ソフトの激指、ボナンザ、YSS、GPS将棋による「合議制」を採用し、より良い指し手を選ぼうとしたもの。 「清水vsあから」の概要については、下記リンクを参照してほしい。 ・「トッププロ棋士との特別対局 「清水市代女流王将vs.あから2010」について」(情報処理学会) 報道関係者向けのプレスリリース。 本書は、「清水vsあから」を中心に、コンピュータ将棋の歴史と現状、そして今後の課題などについて、コンピュータ将棋の知識があまりない人にも理解できるように、分かりやすく書かれた本である。(※2) 第1章は、3年半前の「渡辺vsボナンザ」の焦点となる局面(終盤の△1五金)からスタート。△1五金に対して、わたしレベルでも見える▲2六香(※3)をボナンザは指せず、圧倒的な駒得と引き換えに「桂馬Zの穴熊」を作られて、ボナンザは敗れた。「僅差で負けた」という結果よりも、コンピュータの課題が明らかになったという意義が大きいという。 この章では、ボナンザで採用している「自動学習」について、パソコンの日本語変換システム(IME)の例を出しているのが分かりやすかった。なお、「渡辺vsボナンザ」については、『ボナンザVS勝負脳』(保木邦仁,渡辺明,角川グループパブリッシング,2007.08)で詳しく論じられている。 第2章は、チェスでチャンピオンを破った「ディープブルー」の話。コンピュータチェスの発展は、コンピュータ将棋とは切り離せない関係にある。本章では、各種盤上ゲームの複雑さの比較、チェスの現状、「アドバンスト・チェス」の話などが紹介されているが、いろんな本で紹介されている話なので、少し詳しい人は飛ばしていってもかまわないだろう。 第3章から第5章は、将棋ソフトの進化の歴史をたどっていく。ざっくりまとめると、以下のようになる。
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