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角川ワンテーマ21 ボナンザVS勝負脳 ―最強将棋ソフトは人間を超えるか |
[総合評価] B 難易度:★★★ 図面:たまに挿入 内容:(質)A(量)B レイアウト:A 解説:A 読みやすさ:A 初段程度の棋力+コンピュータ将棋に少し造詣がある人向き |
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【著 者】 保木邦仁 渡辺明 | ||||
【出版社】 角川グループパブリッシング | ||||
発行:2007年8月 | ISBN:978-4-04-710107-4 | |||
定価:720円(5%税込) | 182ページ/18cm |
【本の内容】 | ||||||||||||||||||||||||
◆内容紹介 |
【レビュー】 |
コンピュータ将棋について、ソフト開発者とトップレベルのプロ棋士の考えを述べた本。 21世紀に入り、将棋ソフトがだんだん有段者の力を持つようになってきて、「激指」や「東大将棋」がしのぎを削っていたある日──。“将棋の素人”が作ったフリーソフトが突如ネットに出現し、大きな話題を呼んだ。それまでのソフトと違って攻めの力がすさまじく、アマ高段者や奨励会員が次々とやられた。そしてそのソフトはコンピュータ将棋選手権に出場し、「普通のノートパソコン」で初出場初優勝を飾った。それが「ボナンザ」である。 2007年からスタートした初のネット棋戦「大和証券杯ネット将棋・最強戦」のオープニング・エキシビジョンマッチとして、「ボナンザvs渡辺竜王」の対決が実現。ボナンザは敗れはしたものの、終盤まで渡辺に冷や汗をかかせたことは記憶に新しい。本書は、その「ボナンザvs渡辺」戦の前後について、当事者である二人(開発者と対局者)が将棋ソフトを語ったものである。 第1章は、保木氏がコンピュータ将棋ソフトを作ろうとしたきっかけから、DL版を公開、選手権での優勝、そして渡辺戦で敗れるまでを綴ってある。 第2章は、渡辺が対ボナンザ戦が決まってから、綿密に対策を立てたこと、実際にはボナンザのレベルアップが進んで渡辺の対策を上回ってきたこと、そしてボナンザを負かすまで。棋譜はないが、ところどころに盤面図の解説入り。(棋譜は大和証券杯ネット将棋公式ホームページで会員登録をすると見られる) 対談は、ボナンザvs渡辺戦のあと、しばらく経ってから行われたもの。ボナンザの強さ、コンピュータと人間の違い、対コンピュータ戦略、今後の予想など。 第3章は、ボナンザ的手法の概説と、今後の可能性について。かなり易しめに書かれているが、それでも専門用語がたくさん出てくる。コンピュータ将棋についてなにか一冊は文献を読んでいないと、読みこなすのは大変だ。印象に残ったフレーズがこれ。→「私の貢献があるとすれば、コンピュータ将棋プログラムの開発の敷居を下げたこととともに、コンピュータ将棋の世界にも全幅探索の可能性を提起したこと」(p131) 第4章は、プロ棋士の「指し手の選択方法」について。p137の「無駄な手を読まず、どう捨てるかが大切」というのが、ボナンザと逆で印象的だ。(別に渡辺が初めて言い出したことではないが) 終章は、保木氏が考える「科学の効用」について。ボナンザとはあまり関係なく、彼の本来の専門分野(分子シミュレーション)の話がメイン。難解専門用語がズラッと並ぶので、p180から読めばよいと思う。(私は学生時代に似たことを研究テーマにしていたので何とかついていけましたが…) コンピュータ将棋とプロ棋界の双方にある程度造詣のある人が読むと、なかなか面白いだろう。角川の新書としては、結構マニア向きだと思う。(2007Oct10) |
【他の方のレビュー】(外部リンク) ・ギズモのつれづれ将棋ブログ ・将棋の棋書レビュー ・将棋レビュー2.0 ・桐蔭学園高校将棋部 ・kuroumaのブログ ・三軒茶屋 別館 ・Amazon.co.jp: カスタマーレビュー |