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初心者のための大内延介の将棋必勝定跡 | [総合評価] B 難易度:★★ 〜★★☆ 図面:見開き4枚 内容:(質)B(量)A レイアウト:A (2色刷り) 解説:B 読みやすさ:A 初級〜中級向き |
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【著 者】 大内延介 | ||||
【出版社】 日東書院 | ||||
発行:1994年7月 | ISBN:4-528-00472-0 | |||
定価:860円 | 203ページ/19cm |
【本の内容】 | ||||||
◆内容紹介 |
【レビュー】 |
初心者向けの総合定跡書。相居飛車と、居飛車vs振飛車の対抗形を幅広く解説している。 初心者の場合、最初に選ぶ戦法によって、その後の棋風形成にもある程度の影響がある。居飛車党なら攻めが比較的分かりやすい棒銀、振飛車党なら駒組みが分かりやすい四間飛車を推奨されることが多いが、他のいろいろな戦法を見てみたい人も多いだろう。 本書は、初心者向けに、いろいろな戦法を幅広く紹介。基本的には「狙い筋重視」で、どの戦法でも、ある程度の成功を収めた局面まで解説している。また、解説を読んでいるうちに、攻め方や捌き方の代表的な手筋も覚えられるようになっている。 各章の内容をザッと紹介していこう。 【相居飛車編】 (1)相懸かり序盤定跡 5手目▲7八金△3二金の必要性について。5手目▲2四歩の「五手爆弾」や、5手目▲7六歩△3二金▲7七角の重要変化や、角換わり模様の重要変化など、ややこしい変化がたくさん出てくるが、基本的には「5手目は▲7八金」だけ覚えておけばOK。 (2)横歩取り定跡 △2三歩型がメイン。▲3四飛に△4一玉の旧定跡と、△8八角成▲同銀△2五角の新定跡を紹介。相横歩取りも少しだけ書かれている。 (3)縦歩取り定跡 いわゆる「ヒネリ飛車」。本節では、△3三金型に対してヒネリ飛車の速攻がスパッと決まる。 (4)棒銀定跡 原始棒銀の成功例と、角換わり棒銀の成功例3つ。原始棒銀では、攻めの形を作ってから自陣を整備することを学ぶ。 (5)矢倉定跡 矢倉崩し(3筋歩交換〜▲2六角〜▲3六銀…)、棒銀の端攻め、▲4六銀-3七桂の紹介。▲3六歩を突くことの重要性を学ぶ。 (6)腰掛け銀定跡 相掛かり腰掛け銀(ガッチャン銀)の定跡型。 【振り飛車編】 (1)中飛車定跡 ▲ツノ銀中飛車vs△棒銀。 (2)四間飛車定跡 ▲四間飛車7八銀型vs△山田流7五歩。 (3)三間飛車定跡 ▲早石田、▲升田式石田流7七銀型、▲石田流本組を紹介。早石田では、通常は後手良しとされている結果局面が先手良しと断言されている。(※この点については、『新鬼殺し戦法』(米長邦雄,山海堂,1974)の第4章が詳しい) (4)向かい飛車定跡 ▲升田流向飛車 (5)振り飛車穴熊定跡 ▲中飛車穴熊vs△銀冠 (6)後手番振り飛車の序盤定跡 △四間飛車の序盤(すぐに△4五歩と開ける指し方)と、△向飛車の序盤について。 【対振り飛車編】 一応、居飛車視点で。 (1)対振り飛車定跡 △四間飛車vs▲5筋位取り(左銀)、△四間飛車vs▲鷺宮定跡(両桂跳ね) (2)居飛車穴熊定跡 △中飛車vs▲居飛車穴熊 大内は初心者向け総合定跡書を少なくとも5冊出版している。内容がどの程度かぶっているかは、まだ調査できていないため不明だが、本書は戦法のバリエーションや「相懸り」の表記などから、1970年代に出版された本をリメイクしたものだと思われる。リメイク部分は、▲4六銀-3七桂型の紹介、横歩取り△2三歩型で▲3六飛が見直されたところや、△四間飛車vs▲鷺宮定跡、居飛車穴熊など。 この10年ですっかり主流作戦となった「序盤に角交換する将棋」には対応していないが、ある程度の定跡を覚えるには良いだろう。ただし、本書の定跡は、相手の指し方がややヌルいので、指したい戦法を決めた後は、早めにもう少し専門的な本を読むようにしたい。(2011May10) ※誤植・誤字等: p155 ×「ぜひ覚えてほしいと思います。。」 ○「ぜひ覚えてほしいと思います。」 内容紹介文 ×「九段でタイトル戦で6回優勝している著者」→大内のタイトル獲得は棋王の1期のみ(挑戦も含めたタイトル戦登場回数は4回)。NHK杯や全日プロなど、一般棋戦での優勝は計8回とされている(勝ち抜き戦の5勝以上も含まれる)。 cf.日本将棋連盟HP-棋士紹介 |