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とらばいゆ (映画DVD) |
[総合評価] B | ||
【監督】 大谷健太郎 【主演】 瀬戸朝香 | ||||
【出版社】 アミューズ・ビデオ | ||||
発行:2002年10月 | ISBN: | |||
定価:4,800円 | 118min. |
【DVDの内容】 |
監督・脚本:大谷健太郎/音楽:上田禎/出演者:瀬戸朝香、塚本晋也、市川実日子、村上淳 本編 +劇場オリジナル予告編(2分弱) +メイキング映像(5分強) +出演者(瀬戸・塚本・市川・村上・大杉漣) 各2分前後のインタビュー(クランクアップ前後) ◆内容紹介 女流棋士の麻美(瀬戸朝香)はサラリーマンの一哉(塚本晋也)と結婚して以来スランプ続きで、毎日がイライラしっぱなし。そんな折り、妹で同じ女流棋士の里奈(市川実日子)がまた新しい恋人(村上淳)を連れて家にやってきた……。 恋愛映画の名手・大谷健太郎監督が仕事と恋の両立に悩む現代女性に贈るサプリメントムービー。女流棋士という変わった職業を持つ姉妹が、“恋か仕事か”に悩み、それぞれのパートナーと壮絶なマシンガントークを展開する。 ◆あらすじ 姉妹そろって女流棋士というちょっと変わった職業に就いた姉・麻美と妹・里奈。麻美はサラリーマンの一哉と結婚したばかり。一哉が、“将棋が優先”という麻美を説得して3年間の試験的同棲の末入籍した。一方の里奈には弘樹という売れないミュージシャンの彼氏がいた。しかし、最近は両方ともあまりうまく行っていない。このところ対局で負けてばかりでスランプ状態の麻美は、結婚のせいとばかり夫と喧嘩の毎日。里奈のほうも、弘樹に家事をまかせて、自分が元カレと遊んでいたことがバレて険悪な状態に。いつしか姉妹の仲までこじれてしまい……。 |
【レビュー】 |
姉妹女流棋士とそのパートナーの4人の物語を描いた映画作品。 「travail」はフランス語で仕事、職務、勉強の意味。本作品では、特殊な職業である女流棋士、平凡な職業のサラリーマン、成功者とその他の差が大きいミュージシャンを対比させ、互いの職業が十分に理解できずにパートナーたちとケンカしてしまうさまが描かれている。 〔登場人物〕 本城麻美(ホンジョウ・アサミ)(瀬戸朝香): レーベル写真左上。主役。女流棋士。カズヤと結婚している。 宮前一哉(ミヤマエ・カズヤ)(塚本晋也): レーベル写真右上。仕事で夜遅くなるサラリーマン。課長。 本城里奈(ホンジョウ・リナ)(市川実日子): レーベル写真左下。アサミの妹で女流棋士。ヒロキは彼氏。 矢島弘樹(ヤジマ・ヒロキ)(村上淳): レーベル写真右下。ミュージシャン。ちょっとナヨナヨしている。 〔ストーリー(あらすじ)〕 アサミは女流棋士。かつては女流名人位戦のA級リーグにも在籍していたこともあるが、最近は成績が低迷している。自分が弱くなったのはカズヤと結婚してからだと、アサミは負けるたびに夫に八つ当たりしてしまう。 そんな中、アサミは女流棋士としての存在意義を賭けて、妹のリナと対局する。 〔ストーリー(詳細)〕 ※ネタバレ注意!反転してご覧ください ・第28期女流名人位戦B級リーグ8回戦、第27期女流王将戦予選で連敗するアサミ。 ・ソファーでうずくまり鬱になるアサミ。帰宅した夫に八つ当たり。 ・妹が彼氏連れで来訪。 ・お互いのパートナーの前でいろいろぶっちゃける。 ・アサミが母(お好み焼き屋)に愚痴る。 ・新春女流棋士・小学生ペア対局。戦型は▲立石流vs△3三角。ここで、アサミとリナが同じB級で戦えていることが紹介される。 ・ヒロキ・リナ・アサミ・師匠で中華料理を食す。 ・アサミ自宅にて。妻(アサミ)を主婦と思っている夫とケンカ。 ・競馬場で元カレといちゃつくリナを発見。 ・リナがヒロキとケンカして、アサミの自宅に飛び込む。モメる(笑) ・対局。リナは勝ち、アサミは負け。 ・アサミは、弱くなったのは結婚したせいだと、離婚話を持ちかける。 ・対局。またアサミは負け。 ・気を遣って弁当を買ってきた夫に超八つ当たりして、アサミは家を飛び出す。 ・アサミはリナ宅に駆け込む。ヒロキと話していたら…3人でケンカが始まる。 ・ヒロキが家を出て、アサミ宅に行くことに。 ・カズヤ×リナ、ヒロキ×アサミで本音トーク。泣きが入る ・4人でケンカ。 ・次の対局は、アサミvsリナ。アサミはこれで負けるとC級陥落。(※実際の女流名人位戦にはC級はありません) ・カズヤはリナに負けてくれるように頼み込む。リナは全面否定。 ・対局。アサミvsリナ。裏ではヒロキ×師匠でトーク。 ・昼食休憩で、アサミはリナに「ダメな女流棋士だけにはなりたくない!!」 ・……最後はハッピーエンド。 〔全体的な印象〕 ・ケンカばっかりしてます。(長い口ゲンカをノーカットでやるのが本作品の見せ所ではある) ・その割には結構笑えます。他人のケンカ(暴力なし)は結構笑えるのかも? ・ケンカのシナリオが上手いなぁ。 ・長尺撮りはすごい。 ・監督としては、コメディを作ったらしい。 〔将棋の場面の印象〕 ○アサミもリナも駒を持つ手つきがおぼつかないが、かなり練習した感じはある。 △秒読みのある将棋でまだ持時間が残っているのに、二人とも連続でノータイム指しなのは、ちょっと演出上変なのでは。気合の表れとも受け取れるが、どうしても負けられない将棋にはふさわしくない。 ×二人とも指すときに両手を使っている。また、取った駒を駒台に置かず、次々と握り締めていく。棋士が監修しているなら(しかも撮影が将棋会館で行われたのなら)、ここは直してほしかった。 ○女流棋士の美しさは表現されている。 ×対局が終わった後、盤や駒が放置されているのはいただけない。 〔棋士の出演〕 木村さゆり、中倉彰子、中倉宏美、瀬川晶司(!)←どこに出てたんだろう?プロになったのは2005年なのだが…(※1) 〔将棋監修〕堀口弘治、中倉彰子、中倉宏美 〔将棋指導〕古河彩子、横山澄恵、本田小百合、深浦康市 みなさん、将棋シーンの監修・指導は、もうちょっと出演者をがんばらせてくださいね。 将棋作品としては特に観るべき点はないと思うが、女流棋士という(ある意味マイナーな)特殊な職業のバックグラウンドには、こういう展開もあるのかな、と。意外と面白い作品なので、機会があれば観てみてください。 ただし、レンタルビデオ店で置いてある店はなかなかないかも。わたしはDMM.comとツタヤオンラインで探しました。(2011May13) ※1 ^ 〔2011May14追記〕棋書掲示板にて、名無しさんから情報いただきました。アマレン発行の『新ニーダの定跡研究』の「立石流四間飛車 その1」に載っているそうです。(この本は、わたしも持っていますが未読で、いまどこにあるのか探さないと分かりません…orz)瀬川アマは記録係をしていたそうで…全然気づきませんでした(汗) 以下、名無しさんの投稿より。『新ニーダの定跡研究』からの引用。 「とらばいゆ」で見た局面。 ここから2手、大杉漣さんが解説?したが、大変興味深かった。 (以下手順解説等々) いろいろ将棋関連の映画を見たがこの局面と手順は感心した。 ところでこの将棋の記録係だった瀬川アマ名人のご意見は? (以下追記の文章があり、終わる) |