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将棋入門シリーズ(21) やさしい将棋の手筋 初心者のための基本手筋集 |
[総合評価] B 難易度:★★ 〜★★★ 図面:見開き4枚 内容:(質)A(量)B レイアウト:A 解説:A 読みやすさ:A 初級〜中級向き |
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【著 者】 森けい二 | ||||
【出版社】 永岡書店 | ||||
発行:1978年3月 | ISBN:4-522-01233-0 2076-12330-5615 |
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定価:550円 | 230ページ/18cm |
【本の内容】 | ||||||||||||
◆内容紹介(はしがきより抜粋) |
【レビュー】 |
手筋の解説書。 「手筋」は、「部分的な定跡」ともいえる手の組み合わせである。将棋を上達するには、手筋をたくさん覚えて使えるようにすることが重要だ。初心のころは易しくて汎用性の高い手筋を学ぶのが有効で、手筋を学んでいない人との棋力の差はあっという間に広がるだろう。 しかし、手筋というものは、初心者が自力で考えて習得できることはほとんどない。手筋は「知らなければなかなか指せないちょっと上手い手」であり、「知っていれば自然に目が行く手」でもあるのだ。だから、手筋を本で学ぶことは上達の早道である。 本書は、駒別の手筋を中心に、一部の囲い崩しの手筋まで解説した本である。 各章の内容を紹介していこう。 「将棋の基本(1)」「将棋の基本(2)」は、基本的なルールの説明。駒の動きや、棋譜の読み方から説明している。正直言って、この章はほとんど必要性を感じない。本書の手筋は級位者向けではあるが、まったくの入門者には難しすぎるからだ。本書の対象になるのは、少なくとも数十局の実戦経験があり、将棋を指すこと自体はほぼできるようになっている人だと思う。誰かから将棋を教えてもらい、あとは実戦のみをやっていた人には、正しいルールを確認するために一通り読む意味はあるかもしれない。 「やさしい手筋」は本書のメイン。駒別に手筋を解説している。頻出の手筋ばかりだ。 解説されている手筋は以下の通り。 〔歩〕たたきの歩/連打の歩/突き捨ての歩/合わせ歩/つぎ歩/垂れ歩/成り捨ての歩/焦点の歩/中合いの歩/突き違いの歩/底歩 〔香〕田楽刺し/かさね打ち/下段の香/先着の香 〔桂〕両取りの桂/美濃くずしの桂/歩頭の桂/つぎ桂/不成の桂/控えの桂/はねちがいの桂 〔銀〕桂頭の銀/割り打ちの銀/銀の中合/腹銀/寄せの銀 〔金〕頭金/おくりの金/控えの金/しばりの金 〔角〕王手飛車/馬を生けどる角/急所の角/攻防の自陣の角/寄せの角 〔飛〕両取り/打ちこみ/十字飛車/自陣飛車/近づく飛車 「終盤の手筋」は、代表的な囲いである美濃囲い、穴熊、矢倉の3つの崩し方を解説。 〔美濃くずし〕6一金を攻める(1)〜(5)/端攻め(1)〜(4)/桂による美濃くずし(1)〜(4) 〔穴熊くずし〕玉頭を狙う(1)〜(2)/詰めろのかけ方/桂づるし/と金攻め(1)〜(2)/たたき+と金 〔矢倉くずし〕端攻め(1)〜(4)(棒銀、スズメ刺し等) 本書の手筋をすべてマスターできたなら、初段になる準備ができたといえる。手筋入門としてはかなり良い出来だ。 ただし、初段を突破するには本書のものだけでは足りない。他にも手筋の本は出ているので、いくつか読んでみよう。より高等な手筋を覚えていくことで、どんどん上達するのは間違いない。あなたが学んだ手筋を応用して勝ち切ったときは、暗記した定跡どおりに勝ったときの何倍も充実感が得られるはずだ。(2011May07) ※誤字・誤植等(5版で確認): p37 第20図 ▲4一角成で必至…ではない。▲4一角成△1三桂!▲2三歩成△2一玉▲4二馬でようやく必至となる。最後の▲4二馬が、必至に不慣れだと見えにくい手だ。『寄せが見える本【基礎編】』(森けい二,浅川書房,2004)でも同様の指摘があった。なお、p107第1図もほぼ同じ図だが、△1三歩型なので、▲4一角成までで必至となる。 p50 ×「たたきの歩(3)」 ○「たたきの歩(4)」 ……以下p54まで1つずつずれている。 |