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■右四間飛車戦法

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右四間飛車戦法
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スーパー将棋講座
右四間飛車戦法
【四間飛車破りの決定版!】
[総合評価] B

難易度:★★★☆

図面:見開き4枚
内容:(質)A(量)B
レイアウト:A
解説:A
読みやすさ:A
中級〜有段向き

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【著 者】 先崎学
【出版社】 創元社
発行:2007年4月 ISBN:978-4-422-75108-5
定価:1,260円 224ページ/19cm


【本の内容】
第1章 舟囲い編=54p
第2章 左美濃編=88p
第3章 穴熊編=76p

◆内容紹介
右四間飛車戦法の特長は、なんと言っても覚えやすいこと。攻めの形が決まっているので、玉を固めたら後はドカンと決戦するだけ。その簡明さ、勝ちやすさは類を見ない。破壊力も抜群で、対四間飛車では屈指の戦法といえる。ムダを廃し、一直線に敵玉を討ち取る、そんな醍醐味を味わえる痛快な戦法である。本書は、急戦で攻める舟囲い編、玉をしっかり固めて戦う左美濃編、じっくり持久戦で戦う穴熊編の3つに分けて徹底解説した。


【レビュー】
△四間飛車vs▲右四間飛車の定跡書。

右四間飛車は非常に強力な戦法である。駒組みが覚えやすく、仕掛け方がシンプルで、仕掛けの権利はほぼ右四間側にあり、さらに玉型をさまざまに工夫できる。また、相居飛車でも同様に使うことができるので、「アマチュア初段までの必勝戦法」(p3)というのも納得だ。もちろん、有段者から高段者にかけても十分通用する戦法である。仕掛けの間口が狭いので、プロの実戦例はあまり多くないというだけだ。

本書は、△四間飛車vs▲右四間飛車について、居飛車の玉型を(1)舟囲い、(2)銀冠米長玉、(3)居飛車穴熊の3つに分けて解説した本である。「後手が振飛車だと決め打ちはしない」という方針なので、先手は▲2六歩を突いた形である※1。なお、後手の左銀は△5四銀型に限定している。

各章の内容を、チャートを添えて紹介していこう。なお、「スーパー将棋講座」シリーズの他書と同様、各章の章末には6〜8問の復習問題が付いている。

第1章は、▲舟囲い編。四間飛車の序盤は藤井システム型の駒組みが主流になっているため、昔と違って玉が8二の定位置に収まらないまま戦うケースが増えた。本章では玉を囲い切ってない展開を多めに解説している。

変化によっては、終盤から詰みまで書いてあることもある。右四間急戦vs四間の戦型では、本の通りに進むことも多いので、参考にしてほしい。美濃崩しの手筋もたくさん出てくるので、『美濃崩し200』(金子タカシ,浅川書房,2010.12)などとセットで取り組むと学習効率が高い。

しかし、残念なことに、「後手が最善の形で待つと、右四間急戦は不発」が本章の結論である。ただし、「△5二金左が入っていれば、舟囲い急戦は成立する」ので、序盤で相手の形をよく見て使い分けよう。

 ・本章での仕掛け方:
    ▲2五桂△2二角(or△2四角)▲4五歩




第2章は、▲銀冠米長玉編。章タイトルは「左美濃編」だが、天守閣美濃のままで戦う形は載っていない。後手は銀冠に組み替えるタイミングが重要で、高美濃を経由するとどうしても△8三銀の瞬間が不安定になる。いつでも仕掛けのある対右四間では、平美濃からすぐに銀冠に組み替えるのが標準だ。左金を5二で保留しておけば、4筋方面の受けに使うこともできる。

本章では、振飛車が最善を尽くせば、米長玉への玉頭攻めが厳しいが、先手は互角以上に戦えるとのこと。

 ・本章での仕掛け方:
    ▲3五歩△同歩▲3八飛(歩交換後に▲3七桂〜▲2五桂が狙い)




第3章は、居飛車穴熊編。本章でも後手は銀冠に組み替えるタイミングが重要で、平美濃〜銀冠が有力。先手は玉が堅いので、「穴熊の暴力」を常に狙っていきたい。後手としては、早めに居飛穴玉頭にアヤをつけておきたい。どちらの展開も終盤までの実例が載っている。

 ・本章での仕掛け方:
    (1)▲3五歩△同歩▲4五歩(3四に空間を開けて将来の▲3四角が狙い)
    (2)▲3五歩△同歩▲3八飛
    ※後手は△6五銀のぶっつけを狙っていく



▲5六銀に後手がノータイムで△5四銀と上がってくるなら、本書の指し方をマスターしておけばかなり勝ちやすいと思う。駒組みや仕掛けが覚えやすいのも利点だ。後手としては△4三銀・△4一金型で待機するなど、他に工夫した駒組みはできると思う。

何か得意戦法を持ちたい人には、オススメの一冊だ。(2011Apr27)

※1 ^ ▲2六歩型なので、飛先不突き型右四間+居飛穴をメインで扱った『三浦流右四間の極意』(三浦弘行,木屋太二構成,MYCOM,2002)とは大きく異なる。

※誤植・誤字等(第1版第1刷で確認):
p55 ×「▲4五歩△同歩で銀交換になり」 ○「▲4五歩△同銀▲同銀△同歩で銀交換になり」
p162 ×「穴熊と左美濃の差が大きく」 ○「穴熊と高美濃の差が大きく」
p119 ×「飛車を活用されて」 ○「銀を活用されて」
p129参考図 4五歩の向きが逆
p142 ×「▲4三 角」(不要スペースが入っている) ○「▲4三角」
p185第3図 香が5枚ある。△9一香は不要



【関連書籍】

[ジャンル] 
四間飛車vs右四間飛車
[シリーズ] 
スーパー将棋講座
[著者] 
先崎学
[発行年] 
2007年

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