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手筋を覚える問題集196問 | [総合評価] A 難易度:★★☆ 〜★★★☆ 見開き2問 内容:(質)A(量)A レイアウト:A 解答の裏透け:A 解説:A 中級〜上級向き |
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【著 者】 青野照市 | ||||
【出版社】 創元社 | ||||
発行:2014年9月 | ISBN:978-4-422-75029-3 | |||
定価:1,296円 | 208ページ/21cm |
【本の内容】 | ||||||||||||
・次の一手問題=196問 ( )内の数字は、その手筋の問題数です。
◆内容紹介 |
【レビュー】 |
駒別の手筋を中心とした、次の一手問題集。 初級から中級への上達を目指すとき、手筋を覚えていくのが効率的な勉強法の一つである。手筋とは、「将棋の正しい筋、考え方の見本」(はじめにより)のこと。別の言い方をすれば、「ちょっと上手い駒の使い方」ともいえる。手筋を多く知ることで、定跡や棋譜並べの理解もしやすくなり、上達法が飛躍的に広がっていく。 手筋を覚えていくには、最初は駒別に取り組むのが有効で、初級者向けの駒別の手筋本はたくさんある。ただ、多くの本は手筋の紹介で一冊を使い切るため、その手筋が実戦でどのように使われるのかを数多く学ぶ機会に乏しかった。 本書は、次の一手問題を用いて、手筋がどのように実戦で使われているのかを学ぶことができる本である。 本書の構成は、基本的に一つの手筋につき4問(一部のみ6問)。 それぞれ初めの1問は部分図を用いた易しめの問題で、他の本で駒の手筋を学んだことがある方なら、スムーズに「あっ、あの手筋ね」と思えるだろう。 その後の3問は、実戦型次の一手問題。ノーヒントであれば三〜四段クラスの棋力が必要な問題もあるが、あらかじめ使うべき手筋が分かっているし、ヒントで誘導もしてくれるので、上級から初段クラスでも十分「見える」と思う。 ヒントは各問の問題図の右側に約80字。ヒントを見たくない人は、本を半開きにすればOK。問題図の左側にある黒縦帯で、解答の裏透けを完璧に防止している。解説は、図面2枚と、解説文が約210字。正解の変化と、失敗例も記してあり、十分満足できる詳しさは、A5版のサイズを生かしている。 採用されている手筋は、「継ぎ歩に垂れ歩」や「控えの桂」など、いずれも初段を目指すにはマストのものばかり。どの手筋も使えるように、名前とともに必ずマスターしてほしい。 ちょっと変わったところでは、「縦並びの桂」(第1章の第73問〜第76問)が珍しい。駒別の手筋本では、初めて見る気がする。「引きつけの歩」も珍しいが、こちらは他書で「争点替えの歩」と呼ばれるものと「中合いの歩」が混じっている。 本書単体だとBかもしれないが、他の手筋本を読んでから、本書を応用編として取り組むと効果抜群。特に、姉妹書である『手筋事典』(青野照市,創元社,2011)との相性が良い。基礎から応用への架け橋という位置づけでの良書は、これまで意外とあまり多くなかったので、レア度の評価も込めてAとしておく。 |