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いちばんやさしい7手からの詰将棋 長手詰めでもラクラク解いて棋力をUP! |
[総合評価] B 難易度:★★★ 見開き1問 内容:(質)B(量)B レイアウト:A 解答の裏透け:A 解説:A 中級〜向き |
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【著 者】 飯野健二 | ||||
【出版社】 池田書店 | ||||
発行:2009年4月 | ISBN:978-4-262-10134-7 | |||
定価:998円(5%税込) | 286ページ/18cm |
【本の内容】 |
詰将棋=計137問+コラム2問 ・7手詰問題=78問 ・9手詰問題=40問 ・11手詰問題=19問 ・【コラム】(1)死刑の宣告 (2)偶然の一致 (3)名前を覚えて! ◆内容紹介 い手数の詰将棋と聞いただけで解くことを諦めてしまう方が多数いらっしゃるようです。そんな方におススメ。本書は、極力やさしい詰将棋の問題を集めました。今まで長手詰を解けなかった方も必ず解ける問題がいくつもあるはずです。まずは、ゴールまで辿り着いてみましょう。すっきり爽快!将棋が楽しくなること必定です。 著者からのメッセージ:テーマは「級位者が解ける7手以上の詰将棋」です。 池田書店の紹介ページ |
【レビュー】 |
7手〜11手のやさしめ詰将棋問題集。 「強くなるためには詰将棋を解くこと」は昔からよく言われていることだが、一方で「詰将棋を解くのは苦手」という人もいるし、「詰将棋をやったらかえって弱くなった」という意見もよく聞く。原因はいろいろ考えられるが、「3手・5手の超短手数なら解けるが、妙手ばかりで実戦的な手順がない(⇒だからかえって弱くなる)、手数が長くなってくると難しくて解けない、実戦に現れそうもない手順が多くて解く気がしない」といったところだろうか。 本書はそういった人をターゲットに「級位者でも解ける7手・9手・11手詰」を目指したものである。『5手詰ハンドブック』(浦野真彦,日本将棋連盟,2004)を半分以上解ける人なら十分いける。 まえがきに書いてある、著者のこだわりポイント3つを要約すると、次のような感じ。 (1)実戦に現れそうな形 特に1一香、2一桂をなるべく配置。作意によっては必要がない場合でもあえて配置した。 (2)6x6の升目に収める 読者に解く気を起こさせるように。(実際、解く気がなくなるような不安感のある問題はなかった。また、大駒の大転回とか不安定な詰め上がりのものもほとんどない。) (3)作品に芸術性を求めない 妙手・好手は1〜2手まで。(捨て駒は出てくるが、入念な事前工作が必要な問題はない。) 実際に解いてみたところ、第1問は頭金4連発、第2問は手なりの詰みだったので「こりゃ簡単すぎるんじゃないの」と思った。しかし第3問以降は、それなりに読みが必要な問題がほとんどで、易しいながらもちゃんとした詰将棋である。当然、駒は余らない。わたしの場合、数秒以内に解ける問題が多かったが、中には10分以上考え込んだものもあった。そしてまたも全問正解には失敗(涙)。 以下、感想を箇条書き。 ・捨て駒なしで、並べ詰めのものもある。ただし何をやっても詰むわけではなく、手順の組み合わせをしっかり読む必要はある。 ・手なりで詰むLv.1〜2クラスのものもチラホラ。 ・3手の読みができればなんとかなる。 ・駒取りの問題も結構多い。姉妹書の『超実戦 駒を取る詰将棋』(飯野健二,池田書店,2006)と違うのは、どの問題で駒取りが出てくるのか分からないところ。 ・姉妹書とちがって棋力判定(○分で△級など)はない。代わりに難易度が3段階で表示されている。 本書の問題からサンプルとして2問抜粋。 第115問は事前工作が必要ではあるが、有名な手筋を使っており、実戦でも使えそうだ。第119問は金銀で押していく問題で、非常に実戦的。3手・5手詰には絶対出てこない順だ。フィニッシュには捨て駒もある。 本書は詰将棋作品としての評価はかなり低いだろう。しかし、棋力アップを目的とした将棋ファンから見れば、かなりいい感じの問題集だと思う。わたしが知る限りは、本書と同様のコンセプトの本は『やさしい詰物二百題』(西村一義,将棋天国社,1995)くらい。30秒将棋や30分切れ負けでの詰め力アップを目指したい方にはオススメ。(2009May28) |
【他の方のレビュー】(外部リンク) ・将棋の棋書レビュー ・将棋ランド ・トマト王国 |