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超実戦 駒を取る詰将棋 敵の駒を使ってトドメに使う新しい型の詰将棋 |
[総合評価] B 難易度:★★ 〜★★★ 見開き1問 内容:(質)B(量)B レイアウト:A 解答の裏透け:A 解説:A 初級〜上級向き |
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【著 者】 飯野健二 | ||||
【出版社】 池田書店 | ||||
発行:2006年12月 | ISBN:4-262-10132-0 | |||
定価:998円(5%税込) | 288ページ/18cm |
【本の内容】 |
・詰将棋=計137問 (3手詰問題=20問/5手詰問題=50問/7手詰問題=50問/9手詰問題=15問/実戦問題=2問) ・【コラム】象戯造物/詰むや詰まざるや百番/将棋図巧/古作物 ◆内容紹介(池田書店HPより) 今回の飯野先生の詰将棋は、「今までにない詰将棋の本を作ろう」という思いから制作しました。 私(編集者)自身色々な詰将棋を解いてみましたが、実戦で同じような状況に出くわしたことがありませんでした。元来の詰将棋は駒を「切る」作業ばかりで「取る」という本来の実戦のあり方がないことに疑問を持っていました。(詰将棋は実戦とは違うんだよ!といわれれば何もいえませんが・・・) ただ単純に守り駒をはがせばいいと思っていたのですが、実際に解いてみるとこれが大変でした。駒台上の駒の増減がこれほど問題を難しくさせるのかと痛感しました。 本書を読んでくださる方、是非新しい味の詰将棋を堪能してみてください。 |
【レビュー】 |
詰将棋問題集。 普通、詰将棋といえば「捨て駒」が基本である。例えば、『5手詰ハンドブック』中の200問には駒を取る問題はなかったと思う(変化の中で駒を取ることはあった)。駒取りが入っている問題は“筋悪”“俗筋”などと呼ばれることがあり、作品としての価値は低いとされることが多い。しかし、実戦では駒を補充しながら追うことも多く、捨て駒中心の“詰将棋”は「実戦のトレーニング」としての意味から乖離している。 本書は、そんな「詰将棋の常識」にあえて反旗を翻し、すべての問題で駒を取る手が入るようにしたものである。 実は、本書では初手は全て駒取りの手。「初手が駒取りって決まっているなら簡単じゃないか?」その通り。同手数の他の問題に比べると、やや易しい。あくまでも詰将棋なので、最終手に駒取りが入る(駒が余る)ことはないため、3手詰はさすがに簡単すぎると思ったが、5手詰以上は捨て駒も含んだ立派な“詰将棋”である。また、ほとんどの問題は駒の取り方が複数用意されているので、それほど一本道ではなく、ちゃんと読む必要がある。なお、たまに駒取りが2回入る問題もある。 レイアウトは完璧。網掛けをうまく使って、裏透けを完璧に抑えているし、ヒントは最下段にあるので見たくないときに目に入ることはない。また、解けた時間によって5段階の棋力判定をしているのが面白い。 (5手詰 第22問の場合) A:30秒で三段/B:1分で二段/C:2分で初段/D:5分で2級/E:時間無制限で解けたら4級 (9手詰 第126問の場合) A:2分で四段/B:3分で三段/C:5分で二段/D:10分で初段/E:時間無制限で解けたら1級 新聞掲載の詰将棋でよくある「15分で二段」とかより、よほどいい(道場で終盤に15分も考えたら怒られると思う(笑))。ただ、この棋力判定は少し甘めかも。さほど詰将棋に自信のないわたしが、「30秒で三段」の問題を5秒くらいで解けているので。 「駒取り詰将棋」は、詰将棋の世界では主流になることはまずないだろう。でも、こういうのがあってもいいし、実戦派にはこの方がやる気が出ると思う。飯野七段にはこの独自路線を走ってほしい。(2007Jul05) ※タイトルには「敵の駒を使ってトドメに使う」とあるが、取った駒を必ずしも最終手に使うわけではないのでご注意。 |
【他の方のレビュー】(外部リンク) ・ギズモのつれづれ将棋ブログ ・将棋雑談アレコレ(SDI) ・将棋の棋書レビュー ・こどもと将棋をしよう!@柏 ・Amazon.co.jp: カスタマーレビュー |