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JUMP COMICS モミジの棋節 全1巻 |
[総合評価] C 伸びしろあり 絵:B ストーリー:B 構成:B キャラ:B |
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【著 者】 里庄真芳 田中誠/監修 | ||||
【出版社】 集英社 | ||||
発行:2017年12月 | ISBN:978-4-08-881429-2 | |||
定価:432円(8%税込) | 192ページ/18cm(1巻) |
≪1巻≫ 2017年12月 |
【本の内容】 |
第1局 サクラとモミジ 第2局 モミジとカエデ 第3局 サクラとサクラ 最終局 モミジの棋節 ◆内容紹介 伝説と呼ばれた、今は亡き天才棋士・蔵道桜七段。その弟である中学生の蔵道紅葉もまたプロ棋士を目指していたが、未だ才能を開花できずにいた。そんなある日、紅葉は兄とよく似た将棋を指す少女と出会い!? |
【レビュー】 |
奨励会モノの将棋マンガ。 〔あらすじ〕 蔵道紅葉は13歳、中学2年生の男子。竜王奪取直前で夭折した天才棋士の兄・桜の背中を追って将棋を指しているが、実力は今一つ伸びない。あるとき、ひょんなことから女性プロ棋士・佐倉銀杏の弟子になった紅葉は、奨励会に入会して竜王を目指す。 〔主な登場人物〕 [蔵道紅葉(くらみち・もみじ)] 13歳、中2。ボサボサメガネ。スタート時で、中学竜王戦ベスト8。天才棋士だった兄の背中を追って将棋を指している。努力はしているものの、あと一歩でいつも負けている。イライラするとすぐ手や足が出てしまう。緊張すると腹痛を起こす。 [佐倉銀杏(さくら・いちょう)] 18歳、JK。ツリ目。史上初の女性プロ棋士で、プロ四段になったばかり。将棋を始めると周りが見えなくなる。紅葉をムリヤリ弟子にして、1週間で奨励会に合格する力を付けさせようとする。四枚落ちで紅葉に457連勝した。 [蔵道桜(くらみち・さくら)] 紅葉の兄。超ボサボサ。顔は不詳。天才棋士と称され、攻め将棋。七段で、「俺は竜王になる」が口癖だった。持病のため、竜王戦第7局の対局中に倒れ、死去。 [管谷飛鳥(すがたに・あすか)] 紅葉の同級生。ややイケメン。中学生竜王戦で優勝した。銀杏の弟子になりたかった。「菅谷」ではなく、「管谷」で正しい。 [赤江楓(あかえ・かえで)] 奨励会員。普段はぼーっとしたイケメンだが、性格の二面性が激しい。実力値は高いが、なぜか昇級の一番で必ず負けて4級に留まっている。対局中に立て膝で私語は慎め。 〔寸評〕 ・画力は、個々の絵については合格レベルで、描き分けもできているが、ブレ幅が大きい。 ・キャラは、造形・性格・バックボーンも含めて、魅力が今一つ。キュンキュンしたり、共感したりはあまりなかった。作り込みが足りない? ・ストーリーは、「優秀な兄の背中を追いかけて」というのはありがちでがあるが、ストーリー序盤のエピソードをちゃんと後半で回収しているのは○。続編があるなら、いろいろなエピソードを語ってほしい。なお、「もし村山聖に弟がいたら?」が出発点だったそうだ。 ・奨励会の受験資格って、知らないうちに変わってたんですね。「小中学生の全国大会ベスト4は師匠なしで受験OK」なのは知らなかった。(cf. 日本将棋連盟「平成29年度奨励会入会試験のご案内」 - 級位受験者用・師匠(プロ棋士)推薦無し) ・細かいミスは気になる。もう少し奨励会をじっくり取材するか、監修の田中誠指導棋士三段がちゃんと指摘してあげるべきだったかと。 −「将棋持ち歩いてる」⇒将棋セットのことのようですが、「盤駒持ち歩いてる」じゃないかと。 −いくら四段の棋士でも、奨励会の観戦時に「ジャンパーに両手を突っ込んで立って観戦」は、幹事激オコじゃないのかな?『5五の龍』で、それで入会試験に落ちた人がいるとありましたが、現在も礼儀に厳しいはず。立て膝も、私語もあかんよね。(『月下の棋士』の氷室は特別(笑)) −プロや奨励会クラスでは、指すときに「王手」とは言わないよね。これが出ると「あ、作者あまり将棋知らないんだ…」って思ってしまいます。(『月下の棋士』は(略)) ・対局中の会話はモノローグにしたほうがリアリティが増すと思う。 ・全体的な印象が『3月のライオン』に似ていると何度かチラチラっと思ったが、クオリティにはまだ相当な差がある。 〔総評〕 伸びしろのあるCだと思います。2018年5月から、「週刊少年ジャンプ」本誌で連載が始まったので、期待したい。公式サイトを見る限り、モチーフは同じですね。銀杏は苗字も顔も変わってしまっている…本書の銀杏の方が良かった…(´・ω・`) (2018Jun24) |