(オリジナル版) |
ビッグコミックス 月下の棋士 全32巻 |
[総合評価] 部分的には S しかし 総合的には E 絵:A ストーリー:B 構成:A キャラ:B |
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【作】 能條純一 【監修】 河口俊彦 | ||||
【出版社】 小学館 | ||||
発行:1993年11月 〜2001年5月 |
ISBN: | |||
定価:485〜505円 | ページ/19cm |
≪1巻≫ 1993年11月 [Kindle版] |
≪2巻≫ 1994年2月 [Kindle版] |
≪3巻≫ 1994年5月 [Kindle版] |
≪4巻≫ 1994年8月 [Kindle版] |
≪5巻≫ 1994年11月 [Kindle版] |
≪6巻≫ 1995年2月 |
≪7巻≫ 1995年3月 [Kindle版] |
≪8巻≫ 1995年6月 [Kindle版] |
≪9巻≫ 1995年9月 [Kindle版] |
≪10巻≫ 1995年12月 [Kindle版] |
≪11巻≫ 1996年3月 [Kindle版] |
≪12巻≫ 1996年5月 [Kindle版] |
≪13巻≫ 1996年7月 [Kindle版] |
≪14巻≫ 1996年10月 [Kindle版] |
≪15巻≫ 1996年12月 [Kindle版] |
≪16巻≫ 1997年4月 [Kindle版] |
≪17巻≫ 1997年6月 [Kindle版] |
≪18巻≫ 1997年9月 [Kindle版] |
≪19巻≫ 1998年1月 [Kindle版] |
≪20巻≫ 1998年4月 [Kindle版] |
≪21巻≫ 1998年8月 [Kindle版] |
≪22巻≫ 1998年11月 [Kindle版] |
≪23巻≫ 1999年3月 [Kindle版] |
≪24巻≫ 1999年6月 [Kindle版] |
≪25巻≫ 1999年8月 [Kindle版] |
≪26巻≫ 1999年11月 [Kindle版] |
≪27巻≫ 2000年2月 [Kindle版] |
≪28巻≫ 2000年4月 [Kindle版] |
≪29巻≫ 2000年8月 [Kindle版] |
≪30巻≫ 2000年10月 [Kindle版] |
≪31巻≫ 2001年2月 [Kindle版] |
≪32巻≫ 2001年5月 [Kindle版] |
(文庫版) |
小学館文庫 月下の棋士 (1)〜(20) |
[総合評価] 部分的には S しかし 総合的には E 絵:A ストーリー:B 構成:A キャラ:B |
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【作】 能條純一 【監修】 河口俊彦 | ||||
【出版社】 小学館 | ||||
発行:2003年11月〜2004年8月 | ISBN: | |||
定価:610円(5%税込) | ページ/16cm |
≪1巻≫ 2003年11月 (羽生善治) |
≪2巻≫ 2003年11月 (升田幸三) |
≪3巻≫ 2003年12月 (大山康晴) |
≪4巻≫ 2003年12月 (谷川浩司) |
≪5巻≫ 2004年1月 (中原誠) |
≪6巻≫ 2004年1月 (佐藤康光) |
≪7巻≫ 2004年2月 (森内俊之) |
≪8巻≫ 2004年2月 (村山聖) |
≪9巻≫ 2004年3月 (丸山忠久) |
≪10巻≫ 2004年3月 (藤井猛) |
≪11巻≫ 2004年4月 (郷田真隆) |
≪12巻≫ 2004年4月 (渡辺明) |
≪13巻≫ 2004年5月 |
≪14巻≫ 2004年5月 |
≪15巻≫ 2004年6月 |
≪16巻≫ 2004年6月 (花村元司) |
≪17巻≫ 2004年7月 |
≪18巻≫ 2004年7月 |
≪19巻≫ 2004年8月 |
≪20巻≫ 2004年8月 |
(廉価版) |
My First BIG SPECIAL 月下の棋士 |
[総合評価] 部分的には S しかし 総合的には E 絵:A ストーリー:B 構成:A キャラ:B |
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【作】 能條純一 【監修】 河口俊彦 | ||||
【出版社】 小学館 | ||||
発行:2006年6月〜2006年8月 | ISBN: | |||
定価:400円(5%税込) | ページ/18cm |
【本の内容】 |
【1巻】 (1)将来の名人なり (2)閃光 (3)巌 (4)新旧対抗 (5)仕掛け (6)途切れた棋譜 (7)仇敵 (8)鬼手 (9)死活 (10)詰めろ 第51期名人戦、名人・大原巌と挑戦者・滝川幸治が熱海で第7局を戦っている時、東京・将棋会館に氷室将介という青年が現れる。プロ棋士になりたいという将介が手にしていたのは、伝説の棋士・御神三吉の推薦状だった。その推薦状を見たプロ棋士・虎丸は二段の坂東と将介を戦わせる。 【2巻】 (1)必至 (2)睨み (3)大原と刈田 (4)奇襲 (5)勝負手 (6)交換 (7)傷 (8)挨拶 (9)作意 (10)離れ駒 (11)長考 入会以来、連戦連勝を続ける将介。将介は、病気をおしてまで勝負しようとする村森と対戦していた。そこへ、大原巌がやって来るが、将介の無礼な態度に除名をほのめかされる。 【3巻】 (1)ノータイム (2)遊び駒 (3)三段リーグの一番長い日 (4)裸玉 (5)壁 (6)投げ場 (7)祈り (8)神の見えざる手 (9)攻防 (10)凌ぎ (11)力将棋 三段リーグで連勝中の幸田と対局し、もう指し手がないと諦めかけていた鈴本だったが、自分の力を信じろと将介にいわれ、勝つ方法を見い出した。しかし、自分一人の力ではないからと自ら負けを宣言してしまう。 【4巻】 (1)成れの果て (2)不成 (3)月影の熱譜 (4)終局 (5)駒組み (6)棋勢傾く (7)香 (8)名人位 (9)棋運 (10)後継者 (11)王の残骸 将介と鈴本の戦いはまさに死闘と呼べるものだった。将介は鈴本のなかに将棋の神が宿っているといい、鈴本は盤上に居るといった。鈴本が最後の一手を指したまま、将棋盤に覆い被さるように倒れてしまう。 【5巻】 (1)歩 (2)死力 (3)岐れ (4)変化 (5)座 (6)星 (7)血戒 (8)急所 (9)咎める (10)鬼殺し (11)使者 正気をなくした村木の家を後にした将介は、村木の弟子・滝川幸次を倒す決意を新たにする。そのころ、名人への挑戦権を賭けた大原と刈田の最終戦が始まろうとしていた。病身をおして歩いて会場へ向かう大原、普段はやらないゲン担ぎをする刈田。はたして勝者は…。 |
【レビュー】 |
長編将棋マンガ。週刊『ビッグコミックスピリッツ』に1993年〜2001年の期間で連載された。 ストーリーはフィクションだが、昭和初期の木村名人から昭和末期の谷川浩司まで、実在の棋士をベースとしたキャラクタと、実際にあったエピソードを取り入れるなど、一定の人気を博した。ドラマ化もされている(2001年)。 あらすじ・登場人物等は、Wikipediaをご覧ください。 この作品を初めて通しで読んだのは、もう20年くらい前である。大学の研究室に『スピリッツ』が置いてあったので、断続的には読んでいた。当時は、私はまだ本格的に将棋を始めておらず、アマ2級程度で、プロ将棋界のこともよく知らなかった。 その当時に感じ、そして今でも本作を読んで思うこと。 それは、他の将棋マンガと比べて、「圧倒的なリアリティ」と、そして「圧倒的なリアリティのなさ」である。 何やらおかしいようだが、本作では矛盾していない。そしてそれは、本作では笑える場面はほとんどないので、「作品全体がギャグなのか?」と思ってしまうほどである。 「圧倒的なリアリティ」は、例えば、歴代の大棋士をモデルにしたキャラクタの造形や所作、クセの強さ、または実際に合ったエピソードの取り込みや、迫力のある表情やセリフなど。絵や構成なども、本作は将棋マンガの中では一流である。酸素ボンベを付けたまま対局する大原の描写などはトリハダものだ。 だが、一方で「圧倒的なリアリティのなさ」が読者を混乱させる。メインキャラの二人が、初手から「○○手で自分の勝ち」とすべてを見切っているように宣言する一方で、玉の素抜きを見落とすとか(しかも敗勢の側が相手の見落としを信じて疑わない)、極めつけは、「取った駒を使わないA級棋士」の存在である。 「マンガだからこれくらいぶっ飛んでいてもいい」という意見もあるだろうが、「超人たちによる初心者レベルの戦い」に見えてしまい、将棋が好きな人ほどシラッとしてしまうのである。 そして、読んだ後に残るのは「えもいわれぬ残念感」だった。キャラたちの強烈な個性の割に、どのキャラにも憧れることができない。 作者は、将棋を知らずに描いているという。それは構わない。しかし、作者は最後まで将棋の醍醐味を理解していなかったように思う。 本作はドラマ化もされ、将棋マンガの歴史上では間違いなく金字塔である。だが、多くの人に将棋の魅力を誤解させた詰みは大きかった。 私は社会人になってから将棋にハマってからも、なんとなく趣味として大っぴらにできないような気分で指していた。『ハチワンダイバー』や『3月のライオン』が将棋のイメージを変えてくれて、本当によかったと思っている。 部分的にはS要素もたくさんあるのだが、全体で見ればEである。信じがたいが、こういうこともある…。(2015Sep26) |