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■よくわかる矢倉戦法

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よくわかる矢倉戦法(オリジナル版)
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よくわかる矢倉戦法 [総合評価] B

難易度:★★
  〜★★★☆

図面:見開き4枚
内容:(質)B(量)A
レイアウト:A
解説:A
読みやすさ:B
初級〜上級向き

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【著 者】 関根茂
【出版社】 東京書店
発行:1971年11月 0376-10405-5139
定価:880円 248ページ/19cm
(復刻版)
よくわかる矢倉戦法 復刻版
新表紙
よくわかる矢倉戦法
復刻版
[総合評価] B

難易度:★★
  〜★★★☆

図面:見開き4枚
内容:(質)B(量)A
レイアウト:A
解説:A
読みやすさ:B
初級〜上級向き

【著 者】 関根茂
【出版社】 東京書店
発行:2002年11月 ISBN:4-88574-432-6
定価:1,500円 252ページ/19cm


【本の内容】
1章 矢倉について (1)解説の方針 (2)矢倉囲いの名称(12種類)
(3)矢倉囲いの手順 (4)古典に見る矢倉(4局)
30p
2章 矢倉くずし (1)矢倉城は不落ではない (2)ぜひおぼえたい速攻法
(3)上級向きの擬装戦術 (4)序盤の落とし穴
34p
3章 攻めの理想型 (1)銀のさばきが勝負をきめる (2)タイミングよい継ぎ歩攻め 24p
4章 棒銀で勝つ (1)兵は詭道なり (2)端歩を受けてくれない場合 20p
5章 謎の同型作戦 (1)攻めは投資である (2)戦端開始後の同型
(3)序盤から一気に「寄せ」へ
32p
6章 総矢倉は難攻不落か (1)“先攻不利”の定説 (2)打開策をさぐる 24p
7章 中飛車で勝つ (1)攻防の要点 (2)速攻を見せて作戦勝ち 28p
8章 振り飛車に勝つ矢倉 (1)天野宗歩に学ぶ (2)後手方の策に応じて変化 24p
9章 最新流行戦法の基礎知識 (1)3七銀戦法の急所 (2)すずめ刺し戦法の急所 26p

・標準将棋用語詳解=4p

◆内容紹介
矢倉戦法には細かい注意が必要。第一手から仕上げの詰みに至るまで詳しく解説。早く初段になりたい、得意の戦法を一つ身につけて実践に役立てたいという初心者必携の書。


【レビュー】
矢倉戦法の解説書。

矢倉という戦型は、組むだけなら比較的簡単で、初心者にも覚えられる。半面、ほぼすべての駒が戦いに参加するため、変化が複雑でコツをつかみにくい面もある。本書は、矢倉戦法をできる限り易しく解説した本である。

本書の内容は、目次だけでは判りにくい部分があるので、章ごとに解説していこう。

第1章は矢倉のさまざまな形と古典について。一般的な金矢倉・銀矢倉から流れ矢倉など特殊なものまで囲いの形を紹介し、江戸時代の棋譜に見られる矢倉について解説。この章はさっと流してよいだろう。

第2章は矢倉くずし。▲矢倉を△右四間+カニ囲いで攻める手法の解説。(1)(2)は先手が何も考えずに矢倉に組んだときに、右四間でつぶす典型的な攻め方。潰し方を学ぶというより、「こうしてしまうと潰される」ということを学ぶと良い。(3)は、いったん△3三銀と飛先を受けておいて、△8五桂の開戦後に△4二銀と引き(角道を開け)、△右四間+カニ囲いにする指し方。また、△右四間模様から△7二飛で攻める手法も解説。

第3章は矢倉くずしの理想形について。特に名前はないが、「▲3七銀〜3筋歩交換(▲3五歩△同歩▲同角)〜▲2六角〜▲3六銀〜▲3七桂〜▲4六歩〜▲4八飛」の形である。実現することはほとんどないが(わたしの実戦では一度だけある)、矢倉の理想的な攻め方を学ぶには絶好の材料。(1)ではまさに教科書的な攻め潰し方を、(2)では▲4五歩に△5三角と実戦的に受けられた場合の攻め方を解説する。私が知る限り、この攻め方についてここまで詳しく解説した本は他にない。

第4章は▲棒銀。▲1五歩△同歩▲同銀と行くのが基本型で、初段までに覚えるべき必須の型だ。(1)では後手が端(1筋)の歩を受けてくれた場合、(2)では端を受けてくれなかった場合の攻撃法。

以上、第2章〜第4章は、初段になるまでにマスターすべき攻め方の解説となる。そして以下の第5章〜第9章はプロでもテーマとなっている(1971年当時)戦型の解説である。

第5章は同型矢倉、▲4七銀-3七桂vs△6三銀-7三桂。現在でも結論は出ておらず、たまに現れる形である。本章では同型矢倉の基礎講座と、関根の実戦解説。

第6章は相総矢倉。千日手になるとして有名な形だ。(1)では相総矢倉の基礎講座と千日手打開の研究、(2)はどちらかが総矢倉を回避した場合の変化について。本章の内容は、米長新手▲6八銀左による千日手打開策(1976年)が見つかる前の話であり、現在では完全に古典定跡と化している。

第7章は矢倉中飛車。(1)は基礎講座、(2)は▲関根vs△有吉の実戦解説。

p198には矢倉を指すに当たって重要なことが書かれている。
矢倉という将棋の「性格」を体得し、“部分の定跡”すなわち、“手筋”をたくさん知ることによって、実力が養われてゆきます。新聞将棋などでも矢倉となると、「さっぱり応用がきかない」からつまらない、と思われる方が多いようですが、決してそんなことはありません。一局からひとつの手筋、ひとつの詰め筋を学んで身につけていただければ十分と信じます。

第8章は本書で唯一の対振り飛車・矢倉+引き角戦法。近年では「矢倉囲いが対振り飛車に不向きである」としてほとんど省みられることはない。ただ、単純に古い定跡で使えないということもない。相手がうっかりすれば序盤で一本取れるパターンもあるし、持久戦になった場合の居飛車穴熊への組み替えがすでに示唆されているのは驚き。玉頭位取りとの両天秤で指せば、使えるユニーク戦法になる可能性もありそうだ。

※現代では矢倉から穴熊への組み替えは半ば定跡ですらあるが、田中寅彦が居飛穴で活躍し始めたのが1980年前後なので、それよりも数年早い。なお、本書では銀冠穴熊に組み替えたあと、▲8八玉と戻しているため、穴熊の「遠さ」についての認識はなかったと思われる。

p211にはこの戦型を指すに当たって重要なことが書かれている。
以上の攻めで注意すべき点。(1)後手方の飛角を無理に取ろうとせず、先手先手といじめて手をかせぐ。(2)1一香を取りにいかない。このような形では香の使い道は比較的少ない。

第9章は、旧・矢倉24手組から端(1筋)を打診し、後手が受けた場合は(1)の▲3七銀戦法、受けなかった場合は(2)の▲2五歩から棒銀狙い(スズメ刺し棒銀)。当時の最新形である。

全体的な感想として、
・専門的すぎる手はあえて回避してあるのは好印象。
・現代将棋での即戦実用性には乏しい。
・現代定跡がよく分からない人には一読の価値あり。(比較的分かりやすく、「矢倉のこころ」が分かる)
・準古典を楽しみたい人にはよい。
・現代の飛先不突き矢倉以前のバックボーンを知りたい人にはよい。


出版当時(1971年)はかなり良い本だったはず。ただ、あえて今(2009年現在)読む本ではないと思う。なぜ2002年に復刊したのかは不明。引退記念だったのかもしれない。

東京書店の「原色盤刷」なお、東京書店独特のレイアウト「原色盤刷」(右図)で盤面はとても見やすい。半面、独特の棋譜の表記と横書きスタイルには慣れが必要。(2009Dec08)

※東京書店の「原色盤刷」は、特許・実用新案・商標登録申請済らしい(巻末の広告より)。手元のデータベースで調べてみたが、引っかからず、特許登録されたのかどうかは不明(古すぎてDBになかった?)。

ただ、特許申請は得策ではなかったと思う。排他的権利を主張するので、他の出版社は真似せず、デファクトスタンダードになれなかった。その結果、読者からは「(他の棋書と違いすぎて、慣れるまでは)読みにくい」という評価になってしまった。現在でも、このスタイルを採用しているのは東京書店の本だけである(盤面図に駒型を使うのは他社でも見られる)。このユニークさの魅力による顧客獲得よりも、逆に忌避されている割合が高いのではないだろうか。

※誤字脱字(1971年版の初版第1版で確認):
p83中段 ×「△4四歩のところは」 ○「▲4四歩のところは」
p124 ×「相手の先着を待つ」 ○「相手の失着を待つ」 漢字が似てますね…
p204下段 ×「2六」 ○「2六飛」
p208 ×「△3六飛には▲四五桂」 ○「△3六飛には▲4五桂」


【他の方のレビュー】(外部リンク)
まだ見つかっていません。




【関連書籍】

[ジャンル] 
矢倉
[シリーズ] 
将棋初心者講座
[著者] 
関根茂
[発行年] 
1978年 2002年

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