2.6KB

<< 直前のページへ戻る
 

■四間飛車穴熊の急所

< | No.0917 | >

トップページ > 棋書ミシュラン! > 四間飛車穴熊の急所
四間飛車穴熊の急所
zoom
最強将棋21
四間飛車穴熊の急所
[総合評価] S

難易度:★★★★

図面:見開き4枚
内容:(質)A(量)A
レイアウト:A
解説:A
読みやすさ:A
上級〜有段向き

【著 者】 広瀬章人
【出版社】 浅川書房
発行:2011年4月 ISBN:978-4-86137-030-4
定価:1,470円(5%税込) 222ページ/19cm


【本の内容】
  プロローグ 穴熊の強み/駒組みの基本/4つの作戦 6p
第1章 急戦編 ・基本の構え/急戦の種類=2p
第1型 スピード角交換=10p
第2型 斜め棒銀=5p
第3型 山田定跡=16p
第4型 鷺宮流の仕掛け=6p
第5型 棒銀=16p
第6型 スピード棒銀=11p
第7型 スピード斜め棒銀=15p
・まとめ=1p
・チェックポイント=1p
100p
第2章 銀冠編 ・最大の課題は「攻めの確保」=2p
第1型 単純穴熊はなぜ滅んだか=22p
第2型 現代穴熊へ=4p
第3型 △4四歩からの攻防=15p
第4型 最新のテーマ図へ=7p
第5型 柔軟な▲5六歩=12p
第6型 最有力の▲4五歩=14p
・後手番の場合は?=5p
第7型 一手の違い=26p
・まとめ=1p
・チェックポイント=1p
110p

◆内容紹介
四間飛車穴熊の定跡をまとめてみました。基本定跡から最新形まで入っています。本書を読めば、穴熊はただ固めるだけの受け身の戦法ではなく、実はとても繊細で、しかも積極的な指し方なのだとわかっていただけるはず。攻め好きな方、居飛車穴熊に手を焼いている方、穴熊を指してみませんか。


【レビュー】
四間飛車穴熊の定跡書。対急戦と、対銀冠を解説。

四間飛車穴熊が本格的に指されるようになって、早40年近くが経つ。対急戦には好成績を挙げたものの、居飛車が玉を固める作戦が主流になってくると、四間穴熊が苦戦するようになってきた。特に相穴熊では、「玉型が同等なら、飛車先が伸びている分だけ居飛車有利」が定説となり、ここ20年ほどはトップ棋士での四間穴熊採用はほとんどなくなっていた。

その状況に風穴を開けたのが本書の著者・広瀬である。広瀬は四間穴熊を使って勝ちまくり(ただし相居飛車も結構指せる)、2010年夏には王位を奪取。千日手2局を含む8局中、6局を四間穴熊で戦い、「四間穴熊はプロトップでもやれる」ということを実証した。それ以来、トップ棋士でもときおり四間穴熊が採用されているが、まだ大流行には至っていない。

本書は、四間穴熊の定跡と、指し方の思想・考え方を記した本である。

本書に載っているのは、対急戦と対銀冠。その他の強敵である対銀冠穴熊と対居飛穴(相穴熊)は続編で解説されることが予告されている。


各章の内容を、チャートと図面を添えて紹介していこう。

第1章は、対急戦。この章では基本的には四間穴熊は後手。美濃囲いの場合は、居飛車の仕掛け直前で待つ形が難しいため、1手多く指せるからといって▲四間飛車が有利とも限らないが、▲四間穴熊では1手が確実に玉を固めるプラスの手となるため、ほとんどの場合は得になるとのこと。

基本的には△3二銀型で待つ。△4三銀型にした場合の例も多く載っているので、先後どちらにも参考になるだろう。対棒銀の場合のみ、△3二銀型では捌けないので△4三銀型にする。銀をどちらにするかの見極めは、基本的に「4筋が守られているかどうか」で判断すればよい。

第1型はスピード角交換。穴熊が未完成で8三に隙があるので、▲4五歩から角交換を狙ってくる。これは対美濃囲いではまずありえない仕掛けだ。△同歩▲3三角成△同銀▲6五角(両成り)が居飛車の理想だが、うまくいかない。

第2型は斜め棒銀。△3二銀型なので、▲3五歩に△4五歩であっさり振飛車良しなのは、美濃のときと同様。

第3型は山田定跡タイプ。美濃のときと違って、△6一金が浮いているので途中から要注意だ。

第4型は鷺宮定跡タイプ。△4三銀と相手をすると苦しくなるが、△7一金と固めてポンで捌ける。基本的に△4六歩と突けるのならOKというわけだ。

第5型は棒銀。本章の中では最も要注意だ。▲5七銀が4六を守っているので、カウンターが通用しにくい。対棒銀だけは△4三銀と上がって、左金も繰り出してきめ細かく戦う必要がある。穴熊党は苦手な展開かもしれないので、丁寧に読みこなそう。逆に居飛車党は、研究次第でやれそうな戦型だ。

第6型はスピード棒銀。左銀の▲5七銀左を省略し、▲6八銀型のまま戦おうというもの。通常の棒銀より1手早いので要注意だが、△4六歩と突ける形なので案外捌きやすい。

最後の第7型はスピード斜め棒銀。▲5八金右を省略して、山田定跡タイプの仕掛けを行う。1手早い分、△8二銀と締まれてないので、角交換後に▲6五角の両成りが生じる。「居飛車の秘策」(p96)であり、あまり他書に載っていないようなので、この型のマスターは重要だ。



第2章は、対銀冠。急戦では玉型の差でなかなか勝ちづらいと考えた居飛車は、自分も玉を固めようとした。本章でテーマになっている銀冠は、現在でもプロでよく指されている形である(プロはみんな銀冠が好きらしい)。

本章では基本的に四間穴熊が先手。急戦がないことを確認できれば▲6七銀と上がってよいので、第1章とは整合が取れている。

第1型は、昔よく指されていた「単純穴熊」。「四角穴熊」ともいう。堅さは抜群で、居飛車が攻めてきてくれればカウンターで勝てるのだが、1つだけ、しかし(少なくともプロ的には)致命的な「欠陥」があるというのだ。それは、

 「単純穴熊は自分からは何もできないのである!」(p123)

ということ。居飛車が△4四歩と角道を止めてくれれば、▲6五歩〜▲6六銀と攻めの形を作れるが、居飛車が角道を止めずに固めて待機すると、四間穴熊からは何もできない。こうして単純穴熊は消滅したという。かくして、少なくとも先手番では「攻めを確保」することが必要になる。

ただし、この第1型では、あとで重要になってくる「▲6六銀型から▲5五歩」や「△8六歩▲同歩△7五歩」などの攻め筋をマスターできるので、飛ばさずに読んでおきたい。

第2型〜第3型は「現代穴熊」の基本。現代穴熊とは、「▲4六歩〜▲4七金〜▲3九金〜▲3六歩」の形をいう。その特徴は、「本質は守りをあとまわしにして攻めに手をかけること」「伸ばした歩が攻めの火種になる」(いずれもp138)。また、条件次第では▲3七桂(俗称「パンツ脱ぎ穴熊」)も辞さない。

現代穴熊なら、▲3八飛の袖飛車に備えて△4四歩が必要な手となるので、▲6五歩と突くことができ、攻めの確保が成立する。

また、▲6六銀型から5筋歩交換〜▲5七銀〜▲5六銀で真の理想形が完成するため、居飛車は理想形を阻止しようとする。
その戦いを書いたのが第4型〜第6型。特に第6型は広瀬の推奨手順だ。

△四間穴熊については、第6型のあとの「後手番の場合は?」で触れている。1手の差で居飛車の▲3六歩が先に入っているが、先手番での戦い方が応用できるとのこと。ただし、「後手だから千日手でもOK」という消極的スタンスもやむを得ないというのが前提だ。第7型は先後の違いが大きく出る局面がテーマ。先手番の時に有力だったいくつかの手ができなくなってしまうが、それでも結論は「いい勝負」だ。



全体的に思想・考え方重視でとても読み進めやすく、イメージとしては『現代矢倉の思想』(森下卓,河出書房新社,1999)に似ている。また、各変化の結論(「振飛車ペース」など)が棋譜の末尾についているのも分かりやすい(これは同シリーズの『矢倉の急所』(森内俊之,浅川書房,2008)などにも採用されていた)。

広瀬穴熊の本命と思われる、続編の「対銀冠穴熊・対居飛穴編」も今から楽しみだ。あー、楽しみだなぁぁ。(2011Apr14)

※誤植・誤字等(初版で確認):
p5 目次に「凡例」があるが、どこにも載っていない。(同シリーズの他書では、例えば「[基本][応用]の二段階で難易度を示しました」などと書いてあるページがある。ちなみに本書では[基本][応用][研究]の3種類。
p127図面上 ×「第10は▲5六歩まで」 ○「第10は▲5六歩まで」
p173 ×「△4六歩や△8六飛など厳しい手が」 ○「△4六歩や△8六飛など厳しい手が」



【関連書籍】

[ジャンル] 
四間飛車穴熊
[シリーズ] 
最強将棋21
[著者] 
広瀬章人
[発行年] 
2011年

< | >

トップページ > 棋書ミシュラン! > 四間飛車穴熊の急所


Copyright(C) 1999-2017 【将棋 棋書ミシュラン!】 All Right Reserved