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■本田奎の相掛かり研究

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本田奎の相掛かり研究
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マイナビ将棋BOOKS
本田奎の相掛かり研究
[総合評価]
A

難易度:★★★★
  〜★★★★☆

図面:見開き4枚
内容:(質)A(量)A
レイアウト:A
解説:A
読みやすさ:A
上級〜有段向き

【著 者】 本田奎
【出版社】 マイナビ出版
発行:2020年10月 ISBN:978-4-8399-7429-9
定価:1,694円(10%税込) 232ページ/19cm


【本の内容】
第1章 ▲5八玉型VS△5二玉型 第1節 △8四飛型
第2節 △8二飛型
84p
第2章 ▲5八玉型VS△1四歩型   74p
第3章 その他の形   40p
第4章 実戦編 第1局 「タイトル戦初勝利」 対渡辺明棋王戦(第45期棋王戦五番勝負第2局)
第2局 「竜王・名人との対戦」 対豊島将之竜王・名人戦(第61期王位戦挑戦者決定リーグ紅組)
26p

・【コラム】(1)三段リーグ (2)将棋ソフトについて (3)タイトル戦を終えて (4)自炊

◆内容紹介
デビューからの通算勝率7割以上。第45期棋王戦では永瀬拓矢二冠や広瀬章人八段らトップ棋士を破り、史上初の“初参加棋戦でタイトル挑戦”を達成した超新星、本田奎五段。

本書では、その原動力となった「相掛かり」を徹底解説します。主に▲5八玉型の攻防に焦点をあてた内容となっており、相掛かりを指す方にはたまらない珠玉の1冊といえます。

ほか、本田五段が厳選した実戦2局「本田五段―渡辺棋王戦(第45期棋王戦五番勝負第2局)」「本田五段―豊島竜王・名人(第61期王位戦挑戦者決定リーグ紅組)」を当時の心境とともに解説しており、指す将・観る将ともに楽しめる内容となっています。


【レビュー】
相掛かり▲5八玉型の戦術書。

本書のテーマは、飛先を交換せず▲3八銀△7二銀としてから▲5八玉とする、「▲5八玉型」。本書のわずか2ヶ月前にも、相掛かり▲5八玉型をテーマとした佐々木本が出版されているが、有力視している形が異なっている

佐々木本:  (※緑色は佐々木本と本書で似たテーマのもの)
 ・△4二玉型
 ・後手が玉型を決めずに飛先交換
 ・△居玉早繰り銀
 ・先後同型(△5二玉型〜飛先交換後△8四飛)
 ・先手が玉の位置を決めずに▲9六歩 (※▲5八玉型ではない)

本書: (※緑色は佐々木本と本書で似たテーマのもの)
 ・先後同型(△5二玉型〜飛先交換後△8四飛or△8二飛)
 ・後手が玉型を決めずに△1四歩型
 ・後手が玉型を決めずに△3四歩
 ・△7四歩早突き(=△居玉早繰り銀)
 ・△4二玉型

なお、同じテーマでもメインで解説する進行は異なるものになっている。もともと後手の対策は多岐にわたるし、指す人によって主張がぶつかりやすい戦型なので、扱う形の違いは個性が出やすいところになる。

各章の内容をチャートを添えながら紹介していこう。



第1章は、「△5二玉型」
後手が玉型を先手と同じにしてついていく指し方。

第1節は、「△8四飛型」
後手が先手と同じ△5二玉型で、飛の引き場所を△8四飛としてきた場合になる。

・△8四飛型は、飛の横利きが中段に通っている。半面、将来の▲6六角が飛に当たりやすい。
・同型なら、先手が1手早いのが生きやすい。
−△7四歩で飛の横利きが止まった瞬間に、▲2四歩と合わせて横歩を狙う筋が有力。
・飛の横利きを止めず、△9四歩〜△9五歩なら持久戦を狙う。
−後手がは9筋に手をかけているうちに、金銀を盛り上げる。



第2節は、「△8二飛型」
後手の玉型は先手と同じ△5二玉型で、飛の引き場所を△8二飛としてきた場合。本節の後半の変化は、比較的最近(2020年2月)の本田の実戦と繋がっており、執筆時点でかなり有力視していた変化といえるだろう。

・△8二飛型は狙われにくく(▲6六角の筋がない)、自陣に利いているので、持久戦から比較的穏やかな形になりやすい。
−また、歩を突いても飛の横利きを止めないので、自陣を膨らませやすい。
・▲2四歩の揺さぶりは、△8二飛型でも有効。
−横歩は取りにくいが、後手に角交換をさせたり、飛の位置を調整したりして、少しずつポイントを稼ぐ。
・完全に持久戦にして、手将棋の勝負にするのもあり。



第2章は、「△1四歩型」
▲5八玉型に対して、後手が玉型を決めず、△1四歩と突く形。

・角の呼吸を楽にしているので、▲2四歩△同歩▲同飛の飛先交換に対し、△2三歩の一手ではなくなる。
−そのため、△6四歩や△7四歩を突きやすい。
−半面、後手の中央の駒組みは遅れることになる。
・本田の推奨は▲3六歩。後手が飛先交換後に▲9六歩と突く。
−後手が△3六飛と横歩を取れば▲8二歩の桂取りが狙い。
−後手が△3四歩なら▲2四歩△同歩▲同飛から手を作れそう。



第3章は、「その他の形」
▲5八玉に対し、第1章の△5二玉、第2章の△1四歩の他にも、後手には有力な手がある。本章ではそれらをまとめて見ていく。

▲5八玉に△3四歩は、後手がすぐに玉型を決めず、あとから玉の位置を選べる。半面、▲2四歩の合わせから横歩を狙われやすい。
−先手の飛先交換に対し、後手が横歩を取られないように飛の引き場所が△8四飛に限定される。
−先手は▲2八飛の引き飛車にして、早繰り銀の形を狙えば、後の▲6六角とリンクしやすい。

▲5八玉に△7四歩は、後手が横歩を取らせて右銀の進出を急ぐ作戦。
佐々木本では、▲2四歩△同歩▲同飛に△1四歩として、先手が横歩(7四歩)を取りにくいという展開がメイン。
−本書では、▲2四歩△同歩▲同飛に△2三歩として、後手が横歩(7四歩)を取らせる代わりに銀の進出を急ぐ展開をメインとしている。
−先手は△7四歩を取ることはできる。さらに欲張ると大変なので、▲2六飛まで戻して、持久戦にして歩得を主張したい。

▲5八玉に△4二玉は、後手が持久戦を目指している。
佐々木本では、後手が飛先交換後に△8五飛と引く形を多く解説していた。
−本書では、後手が飛先交換後に△8二飛をメインにしている。

−△4二玉型だと腰掛け銀にしやすい。玉のコビンが開く形にならない。
−また、3二と3一の両方をカバーしているので、▲3四飛に対応しやすい。
−先手は▲3六歩と突いておき、後手がゆっくりするなら▲3五歩と伸ばしておく。それを嫌う△3四歩なら、飛先交換するのが有力。




〔総評〕
佐々木本とは一部の戦型が重なっているが、有力視している進行が異なっており、この辺りは各棋士の個性や好みの違いといっていいだろう。相掛かりは序盤から手の広がりが多くなりやすいので、2冊を併せて読むことで、▲5八玉型をさらに相互補完できたといえる。(逆に、1冊だけでは不十分ともいえる)

内容的にも甲乙はつけがたく、▲5八玉型を指す人や、後手で相掛かりを指す人にはどちらもマストだといえそうだ。どちらを先に読むべきか、についても特に優先順位はないので、載っている形に興味があるかどうかで選んで構わない。

あえていえば、本書の方が戦術部分のページ数がやや多めで、佐々木本は実戦譜が結構多めになっている。また、内容紹介文で「指す将・観る将ともに楽しめる内容」となっているが、普通にガチ目の戦術書なので、「観る将専門」の人には少々しんどいかもです。


※誤字・誤植等(初版第1刷・電子版ver1.00で確認):
p90 ×?「VSや研究会での実践が多い」 ○?「VSや研究会での実戦が多い」
p90 ×「課題になってくる思う」 ○「課題になってくると思う」
p224上段 ×「▲3二歩成△同金▲3二飛成…」 ○「▲3二歩成△同金▲同飛成…」



【関連書籍】

[ジャンル] 相掛かり
[シリーズ] マイナビ将棋BOOKS
[著者] 本田奎
[発行年] 2020年

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