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■将棋 初段の常識手筋

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将棋 初段の常識手筋
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マイナビ将棋BOOKS
将棋 初段の常識手筋
[総合評価]
B

難易度:★★☆
   〜★★★☆

見開き一問一答
内容:(質)A(量)B
レイアウト:A
解説:B+
解答の裏透け:?
初級〜中級向き

【著 者】 及川拓馬
【出版社】 マイナビ出版
発行:2019年12月 ISBN:978-4-8399-7126-7
定価:1,694円(10%税込) 224ページ/19cm


【本の内容】
第1章 初段の常識手筋 基本編その1
第2章 初段の常識手筋 基本編その2
第3章 初段の常識手筋 応用編その1
第4章 初段の常識手筋 応用編その2

◆内容紹介
本書は「将棋世界」付録で大好評を博した及川拓馬六段の『初段 常識の手筋』、『初段 常識の手筋U』に新題を追加して書籍化したものです。

初段になるための近道はとにかくたくさんの手筋を覚えることだと言われますが、本書にはまさにタイトルのとおり、有段者になるための必修手筋が網羅されています。

その質の高さは付録の評判で実証済み。書籍化にあたっては解説もより読みやすいように書き直しています。

本書で将棋の基本手筋を完全にマスターしてください。


【レビュー】
初段を目指す人向けの手筋を次の一手形式で解説した本。

「初段を目指す」というレベルは、すでに基本的な手筋はかなり知っているが、少し複合的な手筋や、出現頻度のやや少ないもの、応用的な手筋などはまだまだこれからというところだろうか。

本書では、「実戦に役立つ手筋」として、居飛車・振り飛車を問わず実戦で出そうな形から出題したり、攻めの手筋や受けの手筋を総合的に次の一手形式で出題していく。「将棋世界」の付録『初段 常識の手筋』(2015年4月号)、『初段 常識の手筋U』(2017年3月号)に新題を追加している。

レイアウトは見開き一問一答。左側に問題ページがあり、めくると右側に解答があるという、オーソドックススタイル。問題部はヒント2行、答えるべき手数の表示あり(1手〜7手)。回答部は図面2枚、解説文は140字〜200字程度で、まずまずの詳しさ。

付録との違いを見てみると、解説文はだいたい同じ。文体が「ですます調」に統一されていたり、少しだけ文章が短く(内容に変更がないレベル)なっているものもある。図面は1枚追加されている。


各章の内容を簡単に紹介していこう。


第1章は、「初段の常識手筋 基本編その1」。すべて部分図で22問。付録『T』のNo.1〜No.22とほぼ同じ。

〔扱う手筋〕(抜粋)
焦点の歩/単打の歩(両取り狙い)/継ぎ歩に垂れ歩/割り打ちの銀/成り捨ての歩/叩きの歩/突き捨ての歩/ダンスの歩/端攻め/敵の打ちたいところに打て/ロケット飛車/争点替えの歩(歩を引く手筋)/大駒は近づけて受けよ/駒を捨てて一手稼ぐ/…など



第2章は、「初段の常識手筋 基本編その2」。すべて部分図で26問。付録『U』のNo.1〜No.22が本書の第23問〜第44問とほぼ同じで、第45問〜第48問の4問が新規追加されたもの。

〔扱う手筋〕(抜粋)
継ぎ歩/突き違いの歩/十字飛車/焦点の歩/端攻め/当たりを避ける/銀バサミを避ける/銀を捨てて角で割り打ち/寄せの手筋/歩で桂を取る/桂の跳ね違い/…など



第3章は、「初段の常識手筋 応用編その1」。部分図と全体図で28問。前半の11問は部分図、後半の17問は全体図。付録『T』のNo.23〜No.50とほぼ同じ。

応用編なので、基本編での手筋を使って、さらに高度な指し方を学ぶ。特別な名前の付いていないような複合手筋の問題が多めになっている。

第53問〔右図〕の手筋はわたしも知らなかった(汗)。ヒントにある通り、▲2三歩△同歩▲同銀成…ではない。2手目に後手が飛先突破を阻止してくるが、さてそこで上手い組み合わせがあります…という問題。もしかしたら、今まで見逃していたかも。

実戦では相手の持駒に角があったり、△5二玉がいたりして、ここまで上手くいかないのかもしれないが、こういう組み合わせができると、将棋が楽しくなりますよね。

〔扱う手筋・戦型〕(抜粋)
角換わり早繰り銀/急戦向かい飛車/角交換四間飛車/右玉/中飛車/角換わり棒銀/居飛穴/対振り急戦/角換わり腰掛け銀/相振り飛車/…など

最後の数問は結構難しめ。第74問の角換わりの仕掛けは、ここまで実戦でできたら三段以上はありそう。

第76問〔右図〕もかなり高度な手筋で、角換わり腰掛け銀で△4七銀と打ち込まれたところ。最近の下段飛車(▲4八金-▲2九飛)で角銀を持ったときの狙い筋で、▲同金は△3八角で飛金両取り。

むしろ、この「先に銀を捨てて、両取りで取り返す」という手筋は、実戦出現頻度が近年は急上昇しており、初段を目指す人には覚えてほしいところ。ただし、本問では先手側が切り返すことができるという。

これが読みに入って進めていたとしたら、部分的には確実に三段以上はありそうだ。もちろん、本書の対象棋力的にはかなり難しいので、解けなくても気にする必要はなく、「おお〜!」と思うだけでも十分である。



第4章は、「初段の常識手筋 応用編その2」。部分図と全体図で29問。前半の7問は部分図、後半の22問は全体図。付録『U』のNo.23〜No.50と本書の第77問〜第104問がほぼ同じで、第105問が新規追加されたもの。

第3章の最後の方でいったん難易度が上がったが、また元に戻っている。


〔扱う手筋・戦型〕(抜粋)
鬼殺し向かい飛車/対石田流本組/角交換振り飛車/急戦向かい飛車/角換わり/相掛かり/中飛車vs一直線穴熊/玉頭銀/雁木/中飛車/矢倉/…など

第85問〔右図〕で、対石田流の上手い手筋は、知っていると対石田流の苦手意識がなくなるかも?(ただし、後手の角が間接的に3五に利いていると失敗するので要注意)

ヒントにあるように「ひと目▲3六歩」ですが、単なる一歩交換ではないです。

第103問〔右図〕は、対△4二銀型矢倉に▲4六銀-3七桂型から▲2五桂△2四銀▲3五歩と攻め込もうとしたところ、△4五歩▲同銀△3五歩と「突き違いの手筋」で銀バサミを狙われたところ。

先手がピンチに見えますが、「角を持てば▲7一角の筋があるので銀は死なない」というのがミソ。

これもわずかな駒の配置(たとえば△5三銀型なら▲7一角は不発)で成立しないことは要注意だが、意図してこの局面に進められるのなら間違いなく三段以上はありそう。



〔総評〕
初段を目指す人で、すでに「駒の手筋」系の本などは1冊以上読んだことがあり、基本的な手筋は知っている…という人にとっては、ちょうど良い一冊。本書の問題は体系的にまとまっているわけではないですが、初段ともなればさまざまな知識が必要になってくるので、次のステップへ進むために良問を集めた本として、非常に優秀な次の一手問題集だと思います。

上記でサンプル図を出した4問は、わたしが「おっ」と思ったものなので、この辺が本書の難易度MAXだと思ってください。平均的な難易度はもう少し易しく、初段まであと一歩まで近づいている人にはちょうど良いはずです。

Amazonでは書籍版は第3問まで、電子版は第7問まで最初の方のサンプルが見られ、それが本書の難易度MINなので、だいたい全体の難易度が分かるかと思います。

ただし、問題数105問は多いとは言えません。(105問での総合評価Bは、「かなり良い」と思ってください



また、出版社と及川先生には非常に申しあげにくいことなんですが…。

本書は「将棋世界」の付録2冊に+αしたものなので、電子書籍であれば『初段 常識の手筋』『初段 常識の手筋U』の2冊で併せて200円ちょっとで、本書の内容のほとんど(95%)はほぼ同じ内容で読めます。

新題5問のために1000円以上追加で払う価値があるかといわれると…個人的にはさすがにシビアでした。

付録2冊は持っているけど「新題5問」と「図面増量」に価値を感じられる人や、付録は持っていなくて棋書は紙の本で読みたい人には本書(単行本版)をオススメ。「実利・コスパ重視」で電子書籍OKの人には、付録2冊(電子書籍版)をオススメします。

(2019Dec22)


※誤字・誤植等(初版第1刷・電子版ver1.00で確認):
p180 ×「▲5三桂不成受けて…」 ○「▲5三桂不成受けて…」



【関連書籍】

[ジャンル] 次の一手問題集
[シリーズ] マイナビ将棋BOOKS
[著者] 及川拓馬
[発行年] 2019年

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