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■イメージと読みの将棋観(2)

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イメージと読みの将棋観(2)
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イメージと読みの将棋観(2) [総合評価] A

難易度:★★★★

図面:見開きMAX6枚
内容:(質)A(量)A
レイアウト:A
解説:A
読みやすさ:A
上級〜有段向き

【著 者】 鈴木宏彦
【出版社】 毎日コミュニケーションズ
発行:2010年5月 ISBN:978-4-8399-3434-7
定価:1,575円(5%税込) 256ページ/19cm


【本の内容】
第1章 序盤編 (1)5五の龍中飛車は成立するか?
(2)4手目△3三角は生き残るか?
(3)先手石田流には何で臨む?
(4)2手目△7四歩の誘惑
(5)初手▲3六歩の奇手
(6)3手目▲6六歩の対抗手段は?
(7)3手目▲2五歩は次元が低い手?
(8)4手目△6二銀にどうする?
(9)一手損振り飛車は本当に有効か?(△角交換振飛車)
(10)矢倉模様に右四間飛車は?
(11)▲2六飛型は死滅したか?(相掛かり)
(12)雁木はなぜ人気がない?
(13)角換わり同型は永遠のナゾか?(角換わり相腰掛銀)
(14)一手損角換わりの不思議(一手損角換わり相腰掛銀)
(15)復活した松尾新手(横歩取り△8五飛vs▲6八玉型)
74p
第2章 中盤編 (1)大山−升田の名人戦
(2)渡辺新手のその後(△急戦矢倉5五歩交換型)
(3)村山−里見戦の千日手(▲石田流本組の失敗形)
(4)プロ最先端の相穴熊
(5)居飛穴を攻める△6五銀急戦
(6)羽生−森内の超急戦(一手損角換わり▲棒銀)
(7)正調と一手損の違いは?(角換わり▲棒銀)
(8)一手損角換わり早繰り銀の攻防
(9)正調角換わり早繰り銀の攻防
(10)横歩取りの郷田新手(横歩取り△8五飛vs▲新山ア流)
(11)矢倉▲3七銀戦法の最新形
(12)5筋位取りで勝てるか?(vs△四間飛車)
(13)矢倉中飛車はなぜ減った?
(14)鷺宮定跡
(15)先手三間飛車に急戦はあるか?(△7五歩)
(16)三間飛車、急戦定跡の是非(△三間飛車)
(17)四間飛車に▲4五歩急戦(△四間vs▲二枚銀)
(18)升田、中原をひねる
(19)老名人の勝負術(▲十一代大橋宗桂vs△六代伊藤宗看、香落)
88p
第3章 終盤編 (1)大山−升田の激戦
(2)升田幸三、驚異の構想(対振飛車右玉)
(3)阪田−関根の決戦(香落)
(4)天野宗歩の攻め
(5)九代宗桂、少年時代の寄せ(飛落)
(6)江戸時代トップクラスの名局
(7)渡瀬荘次郎の名局(香落)
(8)升田、名人戦で時間切れ負け
(9)大山康晴、神技の受け
(10)升田幸三、鬼の攻め
78p

【幕間1】(1)詰みor必至 (2)理想の持ち時間は? (3)序盤力or終盤力
【幕間2】(1)10年
の自分と勝負 (2)10年の自分と勝負
【コラム】6棋士の性格

◆内容紹介
平成20年10月に発売し、好評を博した『
イメージと読みの将棋観』の続編がついに登場!
月刊『将棋世界』に連載された中から、プロの最新型はもちろん、トップ6棋士(羽生・渡辺・谷川・佐藤・森内・藤井)の意見が分かれたもの、アマチュアになじみのある戦型、大山康晴十五世名人や升田幸三実力制第四代名人の名局、江戸時代や明治時代の名局などテーマを厳選しました。また、書籍化にあたって追加取材した新題を大幅に加えたボリューム満点の内容です。古今のトップ棋士たちの読み比べに、あなたも挑戦してみよう!


【レビュー】
トッププロ6人の読み・大局観を詳細に解説した本。『イメージと読みの将棋観』(鈴木宏彦,日本将棋連盟,2008.10)の続編。

あるテーマ局面について6人のトップ棋士がそれぞれ個別に考え、読みや大局観を披露する。超序盤や定跡型に対しては先手勝率イメージをパーセントで答え、実戦の局面に対しては読みや形勢判断を答えていく。棋士によって判断が分かれたり、すでに定説が出来上がっている局面がトップ棋士のイメージと違ったり、昔の棋士と現代の棋士の力を比較したりできるのが本書の読みどころである。

前作が好評だったのを受けて、「将棋世界」誌上で講座「イメージと読みの将棋観」の連載が復活。本書はその連載に書き下ろし部分を加えて単行本化したものである。(なお、わたしは「将棋世界」を定期購読していないので、どれが書き下ろし部分かは分かりません)

基本的なコンセプトや構成は前作とまったく同じであるが、わずかながらいくつか改良された点もある。

(1)レイアウトが改善された。
 基本レイアウトは変わっていないが、全体的に図面が増え、最大で見開き6枚になった。また、再掲テーマ図も欲しいときにさりげなく置いてあるので、格段に読みやすくなった。

(2)テーマ数が微増した。
 前作の39テーマから44テーマに。ページ数は変わっていないが、前作は谷川vs羽生の座談会でページを占めていた分がテーマ数upになっている。

また、特に面白かったところ、興味が湧いたところをいくつかピックアップしておこう。

序盤編-1:「4手目△3三角」は前作にも収録されているが、2年ほど経過して感触が変化している。
序盤編-4:「2手目△7四歩」。前作でも散見されたが、羽生と森内の意見が対立することが意外と多い。
幕間1-(1):「詰みor必至」 秒読みで長手数の詰みと易しい必至が見えたとき、どうするか?
  羽生「読み切れば1分でも詰ましにいきます」
  谷川「実際には詰ましにいきます。しっかり読んで。」
  藤井「残り1分なら詰ましにいくバカはいません。」 (ノ∀`) アチャー
幕間1-(3):「序盤力or終盤力」 どちらが欲しいか? 羽生だけが即答で「序盤力」!終盤に自信があるからこそだろうか。「終盤は誰が指しても同じ」と言ったのは羽生だったっけ?あと、谷川が終盤力に自信を失っている発言が目立つ…。(ノД`)
中盤編-1:大山vs升田
  羽生「先手やや不利」
  佐藤「先手がかなり悪く見える」
  森内「先手がまだ苦しい」
  谷川「どう見ても先手が苦しい」
  渡辺「わずかに後手良し」
  藤井「先手やれる」 ファンタジスタの原因ここにあり?
中盤編-3:里見香奈vs村山慈明で、先手が石田流本組に組んだが打開できずに千日手になった図。各棋士の評価はかなり辛口だが、「石田流を組むときにやってはいけない手」がズバズバ指摘されていて参考になった。藤井曰く「先手はかなり間抜けな駒組み」は辛辣。
中盤編-6,7:一手損角換わり▲棒銀と正調角換わり▲棒銀の比較。正調の方は棒銀の定跡書に幾度となく書かれ、後手が避けてきた局面なのに、判断が大きく分かれているのは不思議。特に羽生・佐藤・渡辺・藤井の先手勝率イメージは40〜48%で相当低い(初期値が先手勝率53%と設定されている)。谷川のみ55%。
中盤編-8,9:一手損角換わり▲早繰り銀と正調角換わり▲早繰り銀の比較。こちらも、特に正調の評価が大きく分かれている。正調の棒銀も早繰り銀も、約30年も前に相当に研究された形なのに(『
青野流近代棒銀』(青野照市,日本将棋連盟,1983)など)、一手損角換わりの登場によって大局観そのものに変化が起きているというのは非常に興味深い。
中盤編-18:渡辺が升田をたたえているが、前作で升田の将棋を「先手(升田)はあまり強くない、陣形的に」とケチョンケチョンにしたことがある。(もちろん対局者が升田とは知らずに)
終盤編-6:渡辺の待った連発にワロタ。
終盤編-7:もう終盤なのに6人の形勢判断が真っ二つ!
終盤編-8:局面の判断だけでなく、時間切れ・秒読みについてのコメントもあり。
終盤編-10:大山の「神技の受け」に対して、対局者名を聞いても真っ向から否定できる渡辺に感動。自分の読みと大局観を信じてるんだなぁ。しかしオールドファンには反感買うだろうなぁ。(笑)

前作は、前評判と事前の期待が高すぎて、高品質だったのに意外と物足りなく感じた。本書は、前作の味のレベルとボリュームを想定して、実際は少しばかり期待を上回っていたので大満足だった。今回は、いわば「さすが“イメ読み”」(=期待を裏切らない)という印象を持った。冷静に比べてみればそんなに大差はないはずなのに、人間とはわがままな生き物である(笑)。

もちろん、さらなる続編を期待しています。(2010Jun28)

※誤字・誤植(初版第1刷で確認)
p146右上 ×「コラム1」 → コラムは1つしかなかったので、「1」は変かと……。



【関連書籍】
 『
イメージと読みの将棋観
[ジャンル] 
大局観
[シリーズ] 
[著者] 
鈴木宏彦
[発行年] 
2010年

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