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■関西新鋭棋士実戦集

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関西新鋭棋士実戦集
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マイコミ将棋BOOKS
関西新鋭棋士実戦集
[総合評価] C

難易度:★★★★
  〜★★★★☆

図面:見開き4枚

内容:(質)A(量)C
レイアウト:A
解説:A
読みやすさ:A
上級〜有段向き

【著 者】 豊島将之 糸谷哲郎 村田智弘
【出版社】 毎日コミュニケーションズ
発行:2008年7月 ISBN:978-4-8399-2906-0
定価:1,449円(5%税込) 224ページ/19cm


【本の内容】
第1章 豊島将之四段 ・深夜の大熱戦―対村中秀史四段戦
・早指しの熱戦―対飯島栄治五段戦
・力を出しきった一局―対山崎隆之七段戦
・憧れの棋士との対戦―対谷川浩司九段戦
【コラム】勉強方法
72p
第2章 糸谷哲郎五段 ・角換わりの会心譜―対橋本崇載七段戦
・ねじりあいを制した角換わり局―対阿部隆八段戦
・1手損角換わり棒銀対右玉―対西尾明四段戦
・第37期新人王戦決勝第2局―対横山泰明四段戦
【コラム】後手番の苦境
72p
第3章 村田智弘五段 ・相穴熊の攻防―対杉本昌隆七段戦
・自分らしい将棋―対南芳一九段戦
・居飛車穴熊の攻略―対浦野真彦七段戦
・15連勝目の一局―対西川慶二七段戦
【コラム】関東と関西
72p

◆内容紹介(MYCOMホームページより)
本書は新鋭実戦集の第3弾です。近年関西には、将来を期待される若手棋士が続々と登場しています。本書では、その中でも特に評価の高い3人の将棋を、詳しい変化とともに解説してあります。
それぞれの将棋には、序盤で自分のペースに持ち込む指し方とか、苦しいときの粘り方など、勝利するために必要な要素がたくさん詰まっています。一局の中でポイントとなる局面については変化を詳しく載せましたので、そのエッセンスを吸収してほしいと思います。


【レビュー】
関西若手棋士の自戦記集。

先行して発売された『新鋭振り飛車実戦集』(MYCOM,2008.02)では、デビュー2〜3年の若手4人×各3局だったが、本書ではデビューも年齢もバラバラの若手3人×各4局となっている。そのため、各棋士の棋風やイメージは、少しとらえやすくなっている。

また、
「研究」コーナーは、『〜振り飛車〜』では1局につき2つが基本だったが、本書では完全に各棋士の「おまかせ」になっているようである。例えば、豊島は1局目と2局目で序盤から終盤まで各4回の研究コーナーを設けているが、糸谷の1局目と2局目は各1回だけである。

著者の紹介をしておこう。

豊島将之(とよしま・まさゆき)四段:(Wikipedia
 
2007年4月四段昇段。初年度にいきなり勝率7割超。本書出版後の2008年度後半に12連勝。また、2010年度の王将戦でタイトル挑戦した。
糸谷哲郎(いとだに・てつろう)五段:(Wikipedia
 
2006年4月四段昇段。奨励会在籍中に新人王戦に参加し、優勝した(優勝時には昇段していた)。2009年度・2010年度とNHK杯戦で2回連続で準優勝(優勝は2回とも羽生)。ネット将棋でR3000点超で有名だった。
村田智弘(むらた・ともひろ)四段:(Wikipedia
 
2001年4月四段昇段。2005年には15連勝。村田智穂女流二段は実妹。村田顕弘五段と名前が似ているが兄弟ではない。

棋士別の対局内容と感想を列記してみよう。

〔豊島〕
(1局目)▲村中△豊島 2007-08-28 矢倉▲森下システム△スズメ刺し
  研究1 ▲8八玉で▲5八飛
  研究2 正しい駒組み手順−△6四角に代えて
  研究3 端歩突きは先攻を許す−▲5五歩で▲1六歩の変化
  研究4 先手の最善−▲5五角で▲9四銀の変化
(2局目)▲飯島△豊島 2008-02-20 △ゴキゲン中飛車▲丸山ワクチン5八金型
  研究1 丸山ワクチン−5八金型の考察
  研究2 ひと目は重い攻めだが−△6五歩に▲5一歩成の変化
  研究3 先手の有力手段−▲5二金以外の変化
  研究4 手の広い終盤戦−▲6四角で▲8六歩の変化
(3局目)▲豊島△山ア 2008-01-18 △一手損角換わり▲1筋位取り右玉
  研究1 後手の欲張った指し方−△8一飛で△8六歩の変化
  研究2 切れない先手の攻め−▲6一角に△6二金の変化
  研究3 第6図での最善は−▲6三香成、▲2五飛などの変化
(4局目)▲谷川△豊島 2007-09-27 △ゴキゲン中飛車▲丸山ワクチン
  研究1 後手の積極策−▲6六角に△2四歩の変化
  研究2 一気に終盤へ−△3六歩に▲2五桂の変化
  研究3 1手違いの終盤戦−△6五歩に▲2一との変化


・最新形(当時)を好んで載せている。
・序盤、中盤、終盤のいずれの研究も抜かりがない。
・研究手順がすごく長いく、難しい。40〜50手先まで示して結論を出すことも。読者は頭の中だけで局面を追うのはかなり大変。
・相手の好手をほめることが多く、自分の手の自慢は少ない。やや悲観派か?

〔糸谷〕
(1局目)▲糸谷△橋本 2007-08-02 角換わり腰掛銀
  研究1 銀桂交換できれば−▲2五桂に△1九角成の変化
(2局目)▲糸谷△阿部隆 2007-08-28 角換わり腰掛銀
  研究1 後手の踏み込み−▲4三歩に対して△9六歩の変化
(3局目)▲西尾△糸谷 2006-08-04 一手損角換わり▲棒銀△右玉
  研究1 早繰り銀と腰掛け銀−▲3八銀以下の順
  研究2 先手の手渡し−△1三香に▲1一角成の変化
(4局目)▲横山△糸谷 2006-10-12 ▲変則矢倉早囲い
  研究1 先手の飛車先交換−▲3五歩で▲2五歩の変化
  研究2 先手の最善−△4五銀に対して▲5五歩や▲6四歩の変化


・豊島の4局と比べて、相当にマイルドな解説になっている。
・角換わり系に自信あり。
・角換わりの序盤・中盤は一般的に手の意味が分かりにくいが、丁寧に解説されており○。
・大局観に優れている印象。ギリギリの終盤よりも、差をつけて勝つイメージ。
・有名な「糸谷流右玉」は掲載なし。残念(´・ω・`)

〔村田智〕
(1局目)▲村田△杉本 2006-01-24 △四間飛車 相穴熊
  研究1 ▲6六角と△5五角の攻防−△5九飛成の変化
(2局目)▲村田△南 2004-09-21 力戦矢倉
  研究1 もう一つの返し技−△2四角に▲3五桂の場合
(3局目)▲浦野△村田 2006-11-17 △5筋位取り中飛車▲居飛車穴熊
  研究1 居飛車の誤算?−▲5三歩で▲2四飛の変化
(4局目)▲西川慶△村田 2005-04-13 矢倉▲スズメ刺し
  研究1 桂跳ねがない場合 8五歩-9四歩型の変化
  研究2 先手の決定打−▲2四歩に△同銀の変化


・結構派手な手が飛び出す。特に2局目の▲3五角にはビックリ。また、この手の変化が「捨て駒ありの、6手一組の連続王手の千日手」になることにもビックリ。そんなのあるんだ…。
・終盤戦の競り合いに強い印象。
・序盤は工夫をして、成り行きで力戦形になりやすい傾向。
・自戦記は、細かい機微よりも局面の印象を重視している感じ。
・全体的に豊島とは対極にいる感じがする。
・なぜか少し古い将棋が多い。出版直近ではあまりいい将棋がなかったのだろうか。


●総評
全体的には『新鋭振り飛車実戦集』よりも楽しめた。一方で、豊島の自戦記と他2人の難易度の差が大きく、一冊としてのまとまりを欠いている。その点で、総合評価をCにしているが、あと少し上手くまとまっていればBだった。

ところで、「関西若手四天王」と呼ばれていたのは、豊島、糸谷、稲葉、村田(顕)の4人。「本書はなぜこの人選なんだろう」と思ったが、村田顕弘は2007年10月に四段、稲葉は2008年4月に四段なので仕方ないか…。(2012Aug24)



【関連書籍】

[ジャンル] 
自戦記
[シリーズ] マイコミ将棋ブックス
[著者] 
豊島将之 糸谷哲郎 村田智弘
[発行年] 
2008年

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