81マスどこでも詰ませる5･7･9手　＠将棋　棋書ミシュラン！

【レビュー】

5～9手の詰将棋問題集。

本書の詰将棋は、以下のような特徴がある。

(1) 5～9手の超短手数である。
コラムを除いた全105問は、すべて5・7・9手のいずれか。

前半の81問（後述）は、手数はランダムになっている。難易度もほぼランダムで、例によって5分チャレンジ（5分考えて解けそうになかったら答えを見る、解けそうならもっと粘る）をしてみたところ、81問中58問で勝率(?)72％だった。正解・不正解に特に偏りはなかった。

後半の24問は、5手詰5問⇒7手詰5問⇒9手詰14問と、手数順になっている。こちらは難易度もほぼ「易しい⇒難しい」の順で、5手詰と7手詰の初めの方は普通に解けたが、7手の終わりの方～9手詰はほとんど解けない難しさだった。

問題図に手数表示はないが、1行ヒントと、難易度が★1～★5の5段階（ほとんどは★2～★4なので実質3段階）で表示されており、手数の目星を付けることもできる。

とはいえ、難易度はあくまで参考程度。★4で「難しい」と解説に書いてあっても瞬殺で解けたものもあれば、★3で「易しい」とあっても10分近く悩まされたものもあった。

(2) 玉の初期配置で「81格巡り」をしている。
前半の81問は、問題図での玉の初期配置が1一⇒2一⇒3一⇒…⇒9一⇒1二⇒2二⇒…⇒8九⇒9九と、81マスすべての配置を達成している。必然的に中段玉、入玉形が多くなっている。

後半の24問は特に玉の位置に縛りはない。

(3) 詰将棋作家ならではの作品性がある。
著者の岡田敏氏（2013年5月3日没）は非常に有名な詰将棋作家であるので（cf.詰将棋メモ）、超短手数といえども何らかの作品性を持った問題がほとんどで、わたしのような「トレーニングとして詰将棋を解く」という層にはなかなか容易ではない。逆に言えば、5～9手という超短手数の中にギュッと作品性を詰め込んだ「特濃」の問題集ともいえよう。

特に、清涼詰め（cf.『さわやかな詰将棋105』（1995））、移動中合い、曲詰めなどがちょいちょい出てくる。曲詰めは、あぶり出し「◇」、初形「5」、あぶり出し「ホ」、初形「5」⇒途中「三」⇒詰め上がり「3」、あぶり出し「エ」、あぶり出し「X」など。

また、コラムでは9手以内にこだわらない作品を4つ紹介している。

・ユーモア詰将棋＝「十手詰め」…「10手って何だ?!」初形ですでに王手がかかっているので、詰め上がりまでの手数が偶数になる。かつ、詰め上がりが銭形平次の「十手」の形。
・太陽三態＝「日の出」…△7八玉がゆっくり2四まで移動して詰む。19手詰。
・麻雀詰め＝あぶり出し「北」…様々な麻雀パイを表現した曲詰めシリーズの一つを紹介。19手詰。
・曲詰め＝初形「↑」。11手詰。

以上のように、超短手数の単行本としては、かなりの高難度である。「5～9手なら簡単だよね！」と軽い気持ちで取り組むと、かなりつらいことになる（実はわたしが本書を購入したのは、将棋にハマリ始めた1999年で、最初の数問で投げ出していた…orz）ので、最初から心して取り組もう。本書全体の難易度は、一応★3～★4.5としているが、実質★4以上と思ってもらってよい。

解説がやや不足気味なので、解けなくて答えを見たときに変化を自力で何とかするしかないのがしんどいが、何とか最後までやり切れば、超短手数には自信が持てるようになるかもしれない。

※誤字・誤植等（第1刷で確認）：
p48　×「▲1三金△2一玉▲1二金までなので」　○「▲1二金までなので」　なぜか迂回手順になっている。

zoom	81マスどこでも詰ませる5･7･9手		[総合評価]　B 難易度：★★★ 　～★★★★☆ 見開き1問内容：（質）A（量）B レイアウト：A 解答の裏透け：C 解説：B 上級～有段向き
	【著　者】　岡田敏　【編】　週刊将棋
	【出版社】　毎日コミュニケーションズ
	発行：1999年6月	ISBN：4-8399-0224-0
	定価：1,000円	222ページ／18cm

	<< 直前のページへ戻る
■81マスどこでも詰ませる5･7･9手	< 前 \| No.1146 \| 次 >