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■駒落ち新定跡

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駒落ち新定跡
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スーパー将棋講座
駒落ち新定跡
すべての駒落ちをひとつの戦法で戦う、新発想の定跡書!
[総合評価] B

難易度:★★★☆

図面:見開き4枚
内容:(質)B(量)S
レイアウト:A
解説:A
読みやすさ:A
中級〜上級向き

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【著 者】 高橋道雄
【出版社】 創元社
発行:2005年5月 ISBN:4-422-75099-2
定価:1,680円(5%税込) 382ページ/19cm


【本の内容】
第1章 矢倉で勝つ 六枚落ち編/四枚落ち編/二枚落ち編/飛香落ち編
/飛車落ち編/角落ち編/香落ち編
126p
第2章 四間飛車で勝つ 六枚落ち編/四枚落ち編/二枚落ち編/飛香落ち編
/飛車落ち編/角落ち編/香落ち編
126p
第3章 三間飛車穴熊で勝つ 六枚落ち編/四枚落ち編/二枚落ち編/飛香落ち編
/飛車落ち編/角落ち編/香落ち編
126p

◆内容紹介
「駒落ちは難しい」という声をよく耳にする。それぞれの駒落ちに違った定跡があり、それらをすべて覚えなければいけないとの錯覚にしばられているからだ。本書は、これまである駒落ちの定跡本とはまったく異なる。発想を逆にして、一つの戦法ですべての駒落ちに対応するという、画期的なもの。内容は「矢倉」「四間飛車」「三間飛車穴熊」の3戦法から自分の得意なものを選んで、これですべての駒落ちに対応する。自由な頭で駒落ち将棋を楽しんでほしい。


【レビュー】
従来の定跡にとらわれない、新しい駒落ち解説書。

駒落ちには、それぞれ優秀な下手必勝定跡がある。しかし手合ごとに指し方が異なるため、マスターするのは結構大変。「駒落ち定跡を覚えることで平手にも応用できる」とは頭では分かっていても、それを実感できる人は少ない。

また、定跡そのものに疑問がある場合がある。特に六枚落ちや四枚落ちでは、下手は居玉のまま攻めるのが定跡だが、「玉の守りは金銀三枚、攻めは飛角銀桂」という将棋の基本に明らかに反している。確かに六枚落ちの9筋攻めや四枚落ちの下手棒銀は華麗で、それで勝てればすごく気持ちがいい。しかし、ほんのわずかな違いで攻めが頓挫しやすい。切れたら立て直しづらく、結局は上手に「残念でした、またどうぞ」と言われるハメになる。

本書では、そういった「華麗だが細い定跡」を全て打破。全ての手合に対して1種類の指し方で対応できるようにしている。「駒落ちにはなんでも矢倉」というのはときどき言われてきたことだが、単行本になったのはたぶん初めて。

基本思想は以下のとおり。
 (1)玉は金銀三枚で堅く囲う。
 (2)攻めはできるだけ手厚く。遊び駒は作らない。
 (3)上手に手がなくなっても急がず、着々と自陣を整備する。
 (4)できるだけ平手に近い駒組みで戦う。

まさに「平手に応用できる指し方」である。

一つの指し方には18pずつ、初手から上手投了まで解説されている。どの手合でも基本的に持久戦になっているので、実戦でまったく同じ局面にはならないだろう。「定跡」というよりは「実戦解説」に近い。しかし、その根底に流れる“思想”を汲み取れば、十分指しこなせるようになる。なので、自分に必要な手合の部分だけを読むのではなく、少なくとも章全体を読み通してほしい。

なお、三間穴熊の飛香落ち編は、1筋で一歩持ってから三間に振りなおす順が面白く、“新定跡”っぽい感じがした。

著者曰く、「本書は手順を暗記していただこうというものではない。駒落ちの楽しさ、将棋の楽しさを再認識していただきたい」(382p)。定跡も大事だが、それを知った上で自由な発想で指すのも面白い。本書はそれを教えてくれる。何度も読み直す本ではないので惜しくもBとしたが、一読なら十分Aである。(2005Jun08)



【関連書籍】

[ジャンル] 
駒落ち定跡
[シリーズ] 
スーパー将棋講座
[著者] 
高橋道雄
[発行年] 
2005年

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