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どうぶつしょうぎ LET'S CATCH THE LION! |
[総合評価] A 難易度:★ 初心者〜有段向き |
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【著 者】 | ||||
【出版社】 幻冬舎エデュケーション | ||||
発行:2009年9月 | ISBN: | |||
定価:1,500円(5%税込) | 20.5cm×16cm×4cm |
【本の内容】 |
◆内容紹介 「どうぶつしょうぎ」は、非常に簡略化された将棋です。 初期状態でどうぶつを並べます。手番になったらコマをうごかします。 最初の仲間たちは「ライオン」「ぞう」「きりん」「ひよこ」の4つ。それぞれ点がかいてある方向に一歩すすめます。 かちまけは、相手の「ライオン」を先につかまえたほうが勝ち。もしくは自分の「ライオン」が、相手のエリア(空か森)まで先にすすめたら勝ちです。ただし、すすめてもすぐに「ライオン」がつかまってしまう場合は負けです。 どうぶつしょうぎ公式サイト(あそびかた(ルール)) |
【レビュー】 |
簡易版将棋ゲーム「どうぶつしょうぎ」。(本ではなく、おもちゃセットです) いきなりだが、お仲間の人気卓上ゲーム「囲碁」の話を。囲碁は通常19×19の「19路盤」でゲームが行われるが、「6路盤」「7路盤」「9路盤」「13路盤」といった小型サイズでも同じルールで対局することができる。また、下手が棋力の差だけ先に石を置いておく「置き碁」もあり、ハンディの付け方が柔軟である。このため、囲碁は初心者でもとりあえずゲームを始めることができる。 一方、将棋は「はさみ将棋」「回り将棋」「山崩し」「将棋倒し」など、盤駒を使った遊び方は豊富にあるが、ハンディの付け方は難しい。「駒落ち」はあるものの、「取れる駒がない」「駒落ちで負けると、とても嫌な気持ちになる」などの理由で、初心者には好まれないし、そもそもゲームの質が変質している。また、「盤を縮小した将棋」もいくつか提案はされていたものの、あまり初心者に受けるものはなかった。 そこで「どうぶつしょうぎ」が登場した。これは3×4の盤で、4種類の駒で戦う、非常に簡素化された将棋である。 セット内容は以下のとおり。 実際に遊んでみた。 ちょうど、5歳の娘が「ショウギやろ!」と言ってきた。彼女にとっての「ショウギ」とは、将棋倒しをしてみたり、とにかく升目に駒を並べてみたり、というくらいで、そもそも「交互に指す」ということすらやっていない。それでも保育園でいろいろな対人遊びを覚えてきたので、そろそろ頃合かと思い、「どうぶつしょうぎやってみる?」と聞いたところ、「うん!やる!」と良い食いつきだった。ちなみに同時に『ぴょんぴょんしょうぎ』も出してみた。 わたしと娘で対局、娘は妻にアドバイスをもらうようにした。「おねがいします」と「負けました」だけは徹底。最初は『ぴょんぴょんしょうぎ』の方が面白かったようだが、だんだん「どうぶつしょうぎ」の方をやる割合が増えてきた。 ここでのポイントは、全局負けてあげること。ただし、合法手が詰みしかない状況に陥ることがある… ここで娘が理解できた(と思われる)ことは、 (1) あいさつ (2) 交互に指すこと (3) ルール(特に駒の動き)に従うこと (※駒の動きは、駒に●で書いてある) (4) ライオンを捕まえれば勝ち (5) 「詰み」の概念はまだちょっと難しいみたい… (6) 「一匹だけで突撃してもすぐ取られちゃう」ということは理解しているかも… 娘の棋風(笑)としては、本能的にライオンを安全そうな場所へ移動させるようだ。本将棋なら立派な穴熊党になるだろう(笑)。 おそらく娘は一週間以内に飽きる気がするが(笑)、初日としては大成功である。(※後日談: 開封から2週間経ったが、今でもときどき「やりたい!」と言ってくれる。しかし初日ほどの熱中ぶりはなさそう。) 娘の就寝後、妻とガチンコでやってみた。ちなみに妻は、八枚落ならわたしに勝てるくらい。そのときの棋譜を2局紹介。 ●第1局 ▲妻 △わたし ▲C3きりん △B3ひよこ ▲同ぞう △B2ひよこ ▲C2ぞう △A2ライオン ▲A3ひよこ まで〔下図〕 いきなりガチンコで負けた!<(゚ロ゚)> 4手目△B2ひよこが気取りすぎ?の悪手で、頓死である。ただ、妻はなぜ勝ったのか分からなかったらしい。バリバリの将棋有段者が初心者に負け得る、それが「どうぶつしょうぎ」。ちなみに「打ひよこ詰め」は認められている。 ●第2局 ▲わたし △妻 ▲B2ひよこ △同ライオン ▲A3ひよこ △C2ライオン ▲B3ぞう △B1ライオン ▲C3きりん △B2ひよこ ▲C2ぞう まで〔下図〕 8手目△B2ひよこが悪手で1手頓死。3手目▲A3ひよこは工夫してみた手。 この「どうぶつしょうぎ」で良いと思った点は、 (1) いきなり戦闘が始まるので、初心者でも楽しい。 (2) 案外奥深い。5手くらい先でも簡単には読み切れない。 (3) なんだかんだいっても立派な「将棋ゲーム」である。一応、将棋で培った読み・大局観も使える。(修正は必要) (4) 金の動きを知らないうちに覚えられるようになっている。(にわとり(成ひよこ)はある意味レアキャラ) (5) お片付けしやすい。 (6) 駒のデザイン、質感、感触ともに良し。 悪いと思った点は…特になし。あえて言えば、 (1) 両者が最善を尽くすとなかなか勝負がつかない。 (2) わざと悪手を指しても、こどもが勝ちに気づかない。 (『ぴょんぴょんしょうぎ』は局面が後退しないので、わざと負けやすい) まぁ、悪い点といえるかどうか…。(汗) すでにどうぶつしょうぎの完全解析は済んでいるらしいが、そんなことには関係なく、将棋初心者から有段者まで楽しめると思う。こどもとのコミュニケーションによし、少人数でのパーティーゲームによし、小学生低学年向けのエデュケーションにもよし。(2010Mar19) |