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強すぎる天才・羽生善治の謎 | [総合評価] E 難易度:- 図面:なし 内容:(質)C(量)B レイアウト:A 読みやすさ:A コレクター向き |
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【著 者】 七冠研究記者会 | ||||
【出版社】 本の森出版センター(発売:コアラブックス) | ||||
発行:1996年4月 | ISBN:4-87693-293-X | |||
定価:971円 | 206ページ/18cm |
【本の内容】 |
序盤 天賦の才能を探る 中盤 強さの秘密を探る 終盤 人間的魅力を探る 詳しい目次一覧 ◆内容紹介(まえがきより抜粋) かつて、将棋がこれほどフィーバーしたことがあっただろうか。(中略)将棋ファンは羽生善治の「七冠制覇」に釘付けとなった。(中略)いったい、この強すぎる天才のどこに魅力があるのか。われわれ取材班は、ありとあらゆる角度から彼の魅力を探ってみた。(中略)その結果、実に面白いことが発見できた。そして、その謎をまとめたのが本書であり、将棋ファンのみならず、多くの人への“生きるヒント”となるはずである。 |
【レビュー】 |
「羽生、七冠達成」──。この偉業はマスコミにも大きく採り上げられ、将棋に縁のなかった多くの人が羽生善治を知るにいたった。本書は、「羽生善治が強いのはなぜか、羽生善治はどういう人間なのか」をテーマに、さまざまな角度から分析していこうという本──になるはずだった。 最初に言っておく。本書はダメ本である。七冠ブームに乗っかって大急ぎで売れそうな本を書いた、というだけの本である。 筆者が「七冠研究記者会」となっているが、誰が書いたのかは全く不明。ただし、文体からして将棋記者ではない人が一人で書いていると思われる。 他人が書いた文章をネタ元にして、推測・憶測を繰り返し、それを根拠に断定、断定。羽生本人や、まわりの関係者への取材は一切せずに。正直、あきれた。ただ、これくらいなら程度の差はあれ、将棋専門記者の書く文章にも散見される。 しかし「羽生に○○と問うたらどう答えるか。△△と答えるに決まってる」という表現が何度も出てくるのには、あきれるのを通り越して怒りすら覚える。この筆者、一度も羽生にインタビューをしていないのに、なぜそんなことを決め付けられるのか? このように、引用部以外の大部分が作者の妄想である。羽生についてまったく知らない人は「へぇ、そうなのか」と思ってしまうかもしれないが、比較的まともなソースから情報を得ている人にとってはだんだん不快になってくるだろう。 ただ、多くのネタを提供しているという点では評価できる。目次一覧にあるテーマの多くが、いまも2ちゃんねるなどでスレッドタイトルに挙がったりしている。ネタ探しにどうぞ。 本書を読むときは、内容の真贋を自分で見極めるべし。とはいっても、引用部分以外はほとんど筆者の妄想にすぎないが…。東スポや夕刊フジが好きな人なら、本書も普通に楽しんで読めるのかもしれない。わたしには無理でした。(2006Apr21) |