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マイナビムック将棋世界Special【写真集】 写真で追う 藤井聡太 最年少二冠までの軌跡 |
[総合評価] B 難易度:★★ 図面:ほとんどなし 内容:(質)B+(量)B+ レイアウト:A 解説:B+ 読みやすさ:A ほぼ全棋力向き |
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【著 者】 将棋世界編集部/編 | ||||
【出版社】 日本将棋連盟/発行 マイナビ出版/販売 | ||||
発行:2020年9月 | ISBN:978-4-8399-7454-1 | |||
定価:1,320円(10%税込) | 96ページ/30cm |
【本の内容】 |
・第91期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負=22p ・<インタビュー>藤井聡太新棋聖に聞いちゃうぞ!(鈴木宏彦/聞き手・構成)=11p ・第61期王位戦七番勝負=18p ・藤井聡太の将棋めし=1p ・デビューからのあゆみ 藤井聡太の4年間 2016年〜2020年=31p −エッセイ「『29連勝がもたらしたもの』 歴代記録を“観る将”する」(野澤亘伸) −エッセイ「『東海で受け継がれる意志』 師匠・杉本昌隆と弟子・藤井聡太」(野澤亘伸) ・「データで見る藤井聡太の記録」「藤井聡太二冠公式戦全成績」「藤井聡太年譜」=計8p ※同時発売の『高校生二冠 藤井聡太』(日本将棋連盟)と同様の記事です ◆内容紹介 王位戦、ヒューリック杯棋聖戦含むオールカラー |
【レビュー】 |
藤井聡太の初タイトル(棋聖)獲得を特集したムック。写真メイン。 藤井が棋聖を獲得し、続けて王位も獲得して二冠になったことは、社会的にも大きく取り上げられた。このことを扱ったムック・書籍が立て続けに出版され、本書は『藤井棋聖誕生』に続く第2弾となる。(なお、将棋連盟純正(?)の藤井ムックは第1弾。また、『高校生二冠 藤井聡太』が本書と同日発売) 本書の内容を簡単に紹介していこう。 〔概要〕 ・A4サイズのムック。 ・全ページ、フルカラー印刷。 ・中綴じ。(背にステープル針が2本見えている状態) ・表紙以外は、全体的に光沢を抑え気味の印刷になっている。 ・広告は、表紙ウラに将棋ソフト、p35に「藤井聡太棋聖追加書名免状発行」、p55に「将棋連盟ライブ中継」、p56に藤井推薦の『実戦X手詰』×3冊、裏表紙ウラに中部電力(将棋無関係)の計5ページ。 【棋聖戦特集】 ・「第91期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負」 −大きめの写真を中心に構成。各写真にはショートコメント付き。 −各局のトピックス局面のみ、図面と短評入り。 −第1局の藤井七段はスーツ姿。 −第2局からは藤井七段も和服に。1局ずつ異なる。 第1局: 盤の前で正座して対局開始を待つ/振り駒/2手目まで指して報道陣が退室/対局中のYシャツ姿(2枚)/終局直後(2枚) 第2局: 入室/盤の前に座ってマスクを片外しにしてグラスでお茶を飲む/終局直後(見開き) 第3局: マスクなしで盤の前で熟考(2枚)/昼食休憩から戻る/盤の前で熟考(2枚)/盤面/控室の杉本八段・青野九段/終局直後(2枚) 第4局: 入室(連続5枚)/渡辺/熟考/感想戦を終えて深々と礼/杉本八段とともに花束を抱える/藤井を載せたタクシーに群がる人々/一夜明けて各紙を前に色紙に「探究」 ・<インタビュー>藤井聡太新棋聖に聞いちゃうぞ! −棋聖を獲得した約2週間後の、鈴木宏彦氏による単独インタビュー。取材日は2020年8月1日。(棋聖獲得は2020年7月16日) −顔面どアップの写真4枚と、右手を左手で押さえた写真が1枚。 (第1部)「渡辺明棋聖との五番勝負」: 棋聖戦の準決勝〜挑決の心境、挑戦者になってからの準備、各局の感想、ダブル挑戦の王位戦の感想、など。 (第2部)「14歳の藤井聡太・現在の藤井聡太に聞く」: 3年前の29連勝時のインタビューとあえて同じ質問をし、並べて比較している。当時と変わらない部分と、結構変わった部分もある。棋士生活に慣れていくうえで、少しやり方を変えているイメージ。 −パーソナリティ/日常/将棋との接点 −「冷やし担々麺が“危険な食べ物”だった」のくだりワロタw (第3部)「18歳・藤井聡太の実像に迫る」: 将棋のことを中心に、プライベートも含めていっぱい質問。 −「(扇子は)紙が破れていてもサオさえしっかりしていれば、扇子としては壊れていない」 【王位戦特集】 ・「第61期王位戦七番勝負」 −構成は棋聖戦の方と同じ。 第1局: 前夜祭でネットを通じて一言/記念扇子用の一文字揮毫「気」「信」/対局開始3手目▲7六歩/盤の前で熟考(藤井×2、木村×1) 第2局: 入室/封じ手(連続8枚)/終局後(木村、藤井) 第3局: 木村の入室、盤で待つ藤井/中座/木村△6四歩/感想戦(3枚) 第4局: 能楽堂の花道を歩く/着座/中継のアングルで/能楽堂での対局/熟考/封じ手の封筒と△8七同飛成/対局中(2枚)/終局直後/記者会見 ・「藤井聡太の将棋めし」 −棋聖戦五番勝負(4局)と王位戦七番勝負(4局×各2日)の昼食12食のスナップショット。(藤井が食べているシーンではない) 【その他の記事】 ・「デビューからのあゆみ 藤井聡太の4年間 2016年〜2020年」 −プロ入りから現在(2020年)までを写真で連ねる。 −間にカメラマン・野澤亘伸氏のエッセイが2本。“29連勝”と、“師弟” デビュー戦、加藤一二三九段とツーショット/四段昇段会見/三段昇段時/三段リーグ最終日(6枚)/四段昇段して3週間後のお宅訪問(6枚)/デビュー戦(対加藤一二三九段)(7枚)/28連勝(3枚)/29連勝(対増田康宏四段)(16枚)/「29連勝がもたらしたもの」(エッセイ)(5枚)/朝日杯2連覇(11枚)/新人王(2枚)/王将戦挑決/棋聖戦準決勝・挑決(3枚)/「東海で受け継がれる意志」(エッセイ)(5枚) ・「データで見る藤井聡太の記録」、「藤井聡太二冠公式戦全成績」、「藤井聡太年譜」 −藤井の勝率や年少記録などを他の棋士と比較していく。 −同時発売の『高校生二冠 藤井聡太』p117〜p127、p238〜p239のものと、内容は同じ。文体は少し調整してある。本書では「序盤4手チャート」が割愛されている。 〔総評〕 「写真で追う」と銘打っている通り、たくさんの写真で構成されており、先行して発売された『藤井棋聖誕生』と遜色ない出来栄え。甲乙は付けがたいが、どちらかと言えば本書の方がミーハー記事が少なめで、わずかながら、より「将棋ファン向け」になっている印象だった。写真のカメラマンも、普段からずっと棋士や対局の撮影をしている人が撮ったものが多め。 とはいっても、将棋の内容そのものを深掘りしないのはほぼ同じで(本書の方が文中の符号も少なくて潔い(?))、全棋力の方が楽しめる内容になっている。 本書の印刷はやや光沢が抑え気味なので、光沢が強めの『藤井棋聖誕生』の方が綺麗に見えるかもしれない。ただし、これは好みのレベル。 個人的には、「中綴じ」なのが、保存版としてはちょっと…。本棚に立てたときに映えないし、背がないので見失いやすいんですよね。開いて読みやすい(本の中央付近に折り目がつかない)のは利点なので、なんとも言えないところですが。(なお、「中綴じ」は評価には影響していません) (2020Sep03) |