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マイナビ将棋文庫 終盤が強くなる1手・3手必至 |
[総合評価] A 難易度:★★☆ 〜★★★☆ 見開き1問 内容:(質)A(量)A レイアウト:A 解答の裏透け:B- 解説:A 中級〜向き |
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【著 者】 武市三郎 | ||||
【出版社】 マイナビ | ||||
発行:2015年1月 | ISBN:978-4-8399-5435-2 | |||
定価:1,231円 | 392ージ/16cm |
【本の内容】 |
序章 必至問題について=18p(例題20問) 第1章 1手必至パート1=45問 第2章 1手必至パート2=45問 第3章 3手必至パート1=45問 第4章 3手必至パート2=45問 ◆内容紹介 本書は必至問題のスペシャリスト武市三郎七段による書き下ろしです。初級・中級者向きの1手・3手必至問題計180問を収録しています。 まず序章では「玉の弱点」「詰めろ逃れ」「必至の種類」をパターン化して、必至問題の考え方を解説しています。変化の少ない考えやすい問題も多く、初めて必至に取り組む方に特にお勧めの一冊です。 本書で玉の急所を習得して、終盤力向上を実現してください。 |
【レビュー】 |
1手・3手の必至問題集。 本書は、武市の2冊目の必至問題集となる。前著『必至基本問題集』(2010.06)では1〜5手必至を扱ったが、やや難しめだった。本書は、「初級・中級者をターゲットに、必至になじめるような、変化の少ない考えやすい出題を心掛けた」(まえがきより抜粋)とのこと。 レイアウトは、オーソドックスな見開き一問一答。問題図のページには、1行ヒントと難易度表示がある。 また、問題図の右上に「正解」と「変化」のチェックボックスがある。これは、各章冒頭の棋力判定のために使う。正解なら3点、変化を読み切っていたら5点とし、各章の合計点で二段〜4級以下が判定できるようになっている(章によって棋力判定できる範囲は少し違う)。 なお、残念ながら解答の裏透け対策は施されていない。結構透けているので、気になる人は問題図の左上を見ないようにしよう。 解答の方は、図面が2枚で、正解図、失敗図、参考図など。解説は、正解の詳しい変化と、正解以外の候補手についても「なぜ必至がかからないか」の簡単な解説がある。 各章の内容を、ごく簡単に紹介していこう。 序章は、必至問題の考え方について。本書での特徴として、「玉の弱点を見極める」というフレーズが出てくる。これは、本編の解説でもたびたび出てくるので、一度は読んで意識しておこう。他には、「詰めろ逃れの3カ条」として、玉方のしのぎの考え方と、必至の4パターン(数の優位、複数の詰み筋、両王手、受け場なし)が解説されている。 第1章は、1手必至。難易度は☆1〜2。必死にある程度慣れている人ならひと目の問題が多い。 第2章も、1手必至。難易度は☆1〜3。解いてみた感じでは、難易度は第1章とさほど変わらない。☆3は、読み切りはやや難しくなっているが、正解手の発見は割と易しい。 第3章は、3手必至。難易度は☆2〜4だが、ほとんど☆3以上。3手必至になると、初手は王手か詰めろなので、1手必至よりもかなり変化が多くなるが、本章では3手必至の基本手筋モノも多いので、やはり慣れた人ならひと目の問題は多い。 第4章も、3手必至。難易度は☆3〜☆5だが、☆4〜5が多い。本章の☆3は、基本手筋モノというよりもやや実戦的。☆4〜5は、ややトリッキーな問題もあり、打歩詰め打開などが要求される。 ほとんどの問題は、駒数も少なくスッキリとしており、難問はなかった。☆5でも、必至問題に慣れていて、かつ、5手詰を普通に解ける人なら、1分以内に解けると思う。 参考までに、☆1〜5から各1問ずつ紹介しておこう。どこまで解けるかで、自分に合うかどうかを検討してください。 |
☆1の一例 | ☆2の一例 | ☆3の一例 |
☆4の一例 |
☆5の一例 |
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☆4〜☆5は、ヒントを読めば難易度がやや下がるはずなので、☆3が分かるなら全問制覇も可能。☆1ならなんとか…という場合は、☆3までは頑張れるはず。 必至問題をまったくの未経験の方には『寄せの手筋200』(金子タカシ,浅川書房,2010)か、または『寄せが見える本【基礎編】』(森けい二,浅川書房,2004)などから入ることを推奨したいが、そのどちらか一冊の基本問題ができるレベルに達したら、次に本書にトライするとスムーズに実力アップできると思う。解説などの雰囲気も『寄せの手筋200』と似ているのでオススメ。 |