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マイナビ将棋文庫SP ひと目の仕掛け 振り飛車編 |
[総合評価] B 難易度:★★★ 見開き1問 内容:(質)A(量)A レイアウト:A 解答の裏透け:A 解説:B+ 読みやすさ:A 中級〜上級向き |
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【著 者】 鈴木大介 | ||||
【出版社】 マイナビ | ||||
発行:2014年1月 | ISBN:978-4-8399-5049-1 | |||
定価:1,155円(5%税込) | 384ページ/16cm |
【本の内容】 | ||||||||||||||||||
◆内容紹介 |
【レビュー】 |
次の一手形式で、振り飛車からの攻めの手筋を学ぶ本。 かつて振り飛車は、居飛車からの攻めを待ってカウンターで切り返す戦法だった。現代でも、振り飛車の囲いの方が堅い場合はその原則は変わらないが、居飛車穴熊のように相手の囲いの方が堅い場合は振り飛車側から攻めることになる。また、角交換系の振り飛車の発展により、振り飛車から攻める機会は圧倒的に増加している。 攻めるためには、攻めの手筋を数多く知ることと、「ここは仕掛けがありそうだ」という感覚を持つことが重要だ。これらは定跡書を読むことで身に付けることができるが、いろいろな定跡書を読むのも大変である。 そこで本書が登場する。本書は、振り飛車側を常に手前にし、仕掛けのある局面ばかりを集めているので、仕掛けの感覚を身に付けるのに適している。 各章の内容を簡単に紹介していこう。 序章は、振り飛車について。振り飛車を四間飛車、三間飛車・石田流、中飛車、向飛車、相振り飛車に分類し、それぞれの特徴を簡単に解説している。この章は次の一手問題ではなく、ある程度振り飛車を指している人なら読み飛ばしてもさほど問題はない。 第1章は、四間飛車。学べる仕掛け(と反撃)は、以下の通り。 対ナナメ棒銀・準急戦/山田定跡/△6五歩早仕掛け/二枚銀急戦/9筋攻め(スズメ刺し)/右四間+穴熊/四枚左美濃/銀冠/居飛穴vs▲4八飛/浮き飛車/▲6六銀型 最近は四間飛車の本が激減しており、中には20年くらい前の本でないと載っていないものもある。 第2章は、三間飛車。大半は石田流がらみで、ノーマル三間飛車系は真部流のみ。 早石田△8筋交換対策/升田式石田流▲3筋強襲/升田式石田流▲9六角の筋/升田式石田流▲7七銀型/升田式石田流・その他/石田流本組vs居飛穴/真部流vs居飛穴/穴熊崩し(角筋+端攻め)/石田流本組vs天守閣美濃/対右四間 第3章は、中飛車。基本的には▲中飛車で、△ゴキゲン中飛車は載っていない。 急戦中飛車/▲6六銀型/対居飛穴/▲中飛車・角交換型/相穴熊 第4章は、向飛車。角交換系振飛車から向飛車に転じた形もここに含まれる(どちらかといえば角交換型の方がメイン)。 急戦向飛車/角交換向飛車から逆棒銀/角交換型・▲8五桂ポン/角交換型△8四歩型/角交換型△8三歩型 第5章は、相振飛車。本来、相振飛車は互いの仕掛けを意識して駒組みに工夫を施すので、いつも一方的に攻められるわけではないが、本章の内容を典型的な仕掛けの例として覚えておくとよい。 序盤のチャンス/対金無双/対美濃囲い/対穴熊/対矢倉 以上のように、本書は仕掛けのチャンスを感じ取る力と、実際の仕掛けの手筋や感覚を学ぶことができる。問題局面を眺めても分からないときは、答を見てしまって構わない。次回にそこに目が行くようになればそれでOKだ。将棋は攻めて勝つのが一番面白いので(※異論は認めます)、どんどん仕掛け力を付けよう。 なお、その局面にもっていくまでの手順や、仕掛け形を実現するまでのテクニックや考え方は載っていないので、定跡書や序盤のセンスを解説した本などで補う必要はあるだろう。(2014May28) |