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マイナビ将棋BOOKS 終盤 寄せの妙手 基本編 |
[総合評価] B 難易度:★★☆ 〜★★★☆ 見開き2問 内容:(質)A(量)A レイアウト:A 解答の裏透け:B 解説:B 中級〜上級向き |
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【監 修】 佐藤天彦 | ||||
【出版社】 マイナビ | ||||
発行:2012年11月 | ISBN:978-4-8399-4411-7 | |||
定価:1,470円(5%税込) | 224ページ/19cm |
【本の内容】 |
・次の一手問題=200問 序章 寄せの考え方=12p 第1章 初歩/上級クラス 第2章 初段クラス 第3章 二段クラス ◆内容紹介 未来の将棋界を担う若手精鋭の一人、佐藤天彦監修の次の一手問題集!! 本書では終盤の寄せの問題を200問集め、さらに書籍冒頭には佐藤七段の実戦を基にした終盤の考え方についての講座を掲載しています。正しい形勢判断、指し手の方針、速度計算が求められる一手争いの終盤の局面を考え、問題を解いていくうちに自然と終盤の力がつくはずです。 ぜひ本書の問題に繰り返しチャレンジして、実戦に生かしてください。 |
【レビュー】 |
終盤戦の次の一手問題集。 本書は、週刊将棋に掲載されている「段・級位認定次の一手」から、2006年2月22日号〜2009年4月8日号の初歩・上級位・初段・二段クラスの問題をまとめたもの。 序章は、監修の佐藤天彦七段による「寄せの考え方」についてのミニ講義。中盤の形勢判断に基づきながら、終盤の速度計算のステージへ移行していく流れを、自戦譜を例に解説する。 この例では、「確実な攻めがある」→「相手は無理でも攻めるしかない」→「受けの用意があれば勝ちになる」というパターンを紹介。また、同じ将棋での変化を失敗例として挙げており、ここでの「一手に対して一手の受けが生じる」(p15)という考え方は、他書ではあまり触れられておらず、貴重。 第1章〜第3章は、次の一手問題200問。 出題図・解説ともに、週刊将棋に掲載されたときとほとんど同じ。二段問題のヒントのみ、約3倍に増量されている(週刊将棋掲載時は約10字)。解説には、『将棋・ひと目の攻防』(週刊将棋編,マイナビ,2011.11)などで見られたような「自玉にどういう詰み筋があるか」などの、考え方の起点となるような局面解説はほとんどなく、この点においては残念ながら後退してしまっている。 問題の並び順は、掲載時の正解率が高い順(≒易しい順)になっている。過去の本では正解率1桁のような難問もあったが、今回は最小でも正解率52%にとどまっており、いわゆる「難問・奇問」はほとんどない。 参考までに、各問のクラス・正解率を一覧にしてみた。○/×は、わたしの正解/不正解である。制限時間はおよそ1分、選択肢やヒントはなるべく見ないように、縛りをかけてみた。 見てのとおり、レベルに関わらずちょこちょこ誤答している(お恥ずかしい…)。実質的な難易度にはそれほど差がないのかもしれない。 初歩・上級位は1手必至が多く、初段は3手必至、二段は5手必至が多いのだが、必至問題はおおむね正解できている。苦手なのは、駒を渡すと自玉がトン死する問題のようだ。 マイナビの解説に慣れた人や、解説のクオリティをあまり求めない人には、200問+αはそれなりに満足できる質量だろう。(2013Mar12) |