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マイコミ将棋BOOKS 神出鬼没!! 窪田流3三角戦法 対居飛穴編 |
[総合評価] A 難易度:★★★★ 図面:見開き4枚 内容:(質)A(量)A レイアウト:A 解説:A 読みやすさ:A 上級〜有段向き |
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【著 者】 窪田義行 | ||||
【出版社】 毎日コミュニケーションズ | ||||
発行:2010年10月 | ISBN:978-4-8399-3689-1 | |||
定価:1,470円(5%税込) | 224ページ/19cm |
【本の内容】 | ||||||||||||||||||||
◆内容紹介 |
【レビュー】 |
4手目△3三角戦法(振飛車型)の戦法解説書、第二弾。『変幻自在!! 窪田流3三角戦法』(窪田義行,MYCOM,2008)の続編。 前作『変幻自在!!〜』からほぼ2年。この間に、3三角戦法による後手の勝率が乱高下したり、急に出現数が減ったりと、さまざまな変化があった。大きな変化の一つとしては、角交換しているにもかかわらず、先手が隙あらば居飛穴に囲う姿勢を見せていること。4手目△3三角戦法は、かなり居飛穴を警戒した指し方なのだが、それでも現代では先手は居飛穴を目指そうとする。それに対していかに戦うか─が本書のテーマとなる。 本書は、4手目△3三角戦法の居飛穴対策を解説した本である。(もともと期待していた「居飛車編」ではなかった) 各章の内容を説明する前に、本書の基本的な構成を。 ・各章の最初の2ページで、作戦の概要を解説する。 ・全編にわたって、定跡書としては珍しい「ですます調」。 ・基本的に後手の戦法だが、先後どちらにもある程度公平に解説する。 (変化の枝での形勢判断は、先手有利=23、後手有利=32、互角=2だった) さて、各章の内容を説明していこう。 第1章は居飛穴への基本対策で、角交換した上で居飛穴を視野に入れた駒組みを行う。本章では、角交換振飛車全般の基本技である「△2五桂ポン」をいつ実行すれば成功するかの検討がメインだ。ただ、今回は前作と違って△2五桂を先手が▲同飛と取る変化は少ない。後手もただ「桂を取られなければ、歩のタダ取りで指しやすい」という訳ではなく、いかに手を作っていくかが焦点となる。1筋攻めの成否は、本章の重要なテーマだ。 第2章は▲3六歩型で、早めに▲3七桂と跳ねて、△2五桂ポンを警戒する指し方。1歩持つと互いに3筋の桂頭攻めが生じるため、その成否が本章のポイントとなる。 第3章は、▲7七角と打って後手の仕掛けを牽制する展開。後手の応手は(1)△4四角、(2)△7二玉、(3)△5四歩の3つに分かれる。どれも高段戦でも見かけた対策であり、ページ数をかなり割いて解説している。このうち、△4四角は持久戦になると後手不利、△7二玉はあまりオススメできず。△5四歩で先手の急戦を封じてから囲い合えば後手不満なしとのことだ。 第4章は、先手が序盤で▲2五歩を突き越さずに保留し、囲い(居飛穴)を急ぐ展開。▲6八玉が早いため、後手はダイレクト向飛車にしにくく(▲6五角に△4五桂〜△5五角が利かない)、四間飛車か中飛車を選択することになる。 第5章は実戦編で、窪田の実戦3局を初手から投了まで解説。2009年後半から2010年前半までの、比較的新しい棋譜を採用。第1章〜第4章までの内容と異なり、この実戦編では先手が居飛穴に潜ろうという動きは(表面上は)ない。一方、後手側は、定跡編と違って、かなり「神出鬼没」らしい動きを見せている。 第1局では居飛車にチェンジする可能性を見せつつ、実際は右四間から2筋逆襲、第2局は先手の早い▲5六歩を見て中飛車に、第3局では四間から2筋逆襲。特に第3局は、著者が序盤のわずかな緩手を衝かれて作戦負けになり、最終的に指し切らされて負けるという、自戦記としては非常に珍しい反省の一局が収録されている。 △3三角戦法もプロでかなりの実戦が指され、だいぶ戦法としてもこなれてきた感がある。しかし、時間の少ないアマチュアでは、仕掛け筋が分かりやすく、居飛穴に組まれにくい本戦法はかなり魅力的。また、△2五桂ポンに困っている居飛車党も読む価値が高い。 「4手目△3三角には絶対角交換しない!」という人以外は、チェックしておいた方がいいだろう。(2010Oct27) ※誤字・誤植(初版第1刷で確認) p108 ×「第55図以下の指し手@」 ○「第55図以下の指し手」 p151 ×「第42図以下の指し手 ▲4六銀 △4四歩…」 ○「第42図以下の指し手 △4四歩…」(第42図ではすでに▲4六銀が指されているため) |