プロの将棋シリーズ(6) 加藤流振り飛車撃破 |
[総合評価] B 難易度:★★★☆ 図面:見開き4枚 内容:(質)B(量)B レイアウト:A 解説:B 読みやすさ:A 上級〜有段向き |
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【著 者】 加藤一二三 | ||||
【出版社】 毎日コミュニケーションズ | ||||
発行:2003年9月 | ISBN:4-8399-1236-X | |||
定価:1,365(5%税込) | 224ページ/19cm |
【本の内容】 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
・【付録】対振り飛車熱闘譜=5局(解説なし) |
【レビュー】 |
加藤流の振飛車破りをまとめた定跡書。 加藤は振飛車に対して急戦で挑むことが多く、数多くの優れた定跡を残している。本書は対四間飛車を中心として、急戦向飛車対策とツノ銀中飛車対策を紹介していく。 各章の内容を簡単に説明していこう。 第1章は△四間飛車vs▲棒銀で、端に銀を捨てるタイプ(左図)。先に駒損するが、一方的に飛が成り込んで居飛車が指せるというもので、近年の代表的な加藤流定跡となった。 第2章は△四間飛車vs▲棒銀で、後手が△1四歩と突くタイプ。第1章の銀捨てが手ごわいと見て、▲1五銀を防いだもの。 第3章も△四間飛車vs▲棒銀で、最強の棒銀対策とされる△4二金型。振飛車の左金が囲いから離れていって、感触的にも重いが、金銀の力で棒銀を封じようというもの。残念ながら、本書でもこの△4二金型を破ることができていない。 第1章〜第3章の内容は、『四間飛車道場 第五巻 棒銀』(所司和晴,MYCOM,2002.06)に詳しく書かれているが、△4二金型については本書の方が少し詳しい部分もある。 第4章は四間飛車穴熊vsナナメ棒銀急戦。第1節は△四間穴熊で、▲3五歩△同歩▲4六銀と仕掛ける。美濃囲いの対四間飛車でも同じような仕掛ける筋があるが、四間穴熊の場合は5筋・6筋が突いていない関係で、△4五歩(角道を開ける)に▲5五歩と止めるのが有力になる。第2節は▲四間穴熊で、1手の違いを吸収するために△5二金右を省略して仕掛ける。 第5章は、△四間飛車が△3二銀型で、居飛車が急戦を仕掛ける前に角交換を挑んでくる指し方。「角道ポン」「△4五歩ポン」「B級四間飛車」などともいわれる型である。本書では、角交換後に▲3七銀〜▲4六歩から〔右図〕を目指して、居飛車指せるという見解。この章は方針の解説のみであるが、角道ポンに対する居飛車側の見解が載っている本が少ないので、参考にできそう。 第6章は、△急戦向飛車+玉頭銀への対策と、△急戦向飛車vs▲棒銀。量は多くないが、対急戦向飛車を居飛車視点で書いている本は少ない。急戦向飛車対策に苦しんでいる人は、一読の価値あり。 第7章は、△ツノ銀中飛車vs▲3八飛。代表的なツノ銀対策である。本章では、基本的な居飛車有利になる変化の紹介にとどまっている。 定跡編のいくつかの章末には、加藤の見解をまとめたものがある。まとめがあるのは、第1章、第2章、第4章、第7章。網羅型の定跡書でない場合は、こういったまとめがあるのは良いと思う。 章によって内容の濃淡にムラがある感じがあるが、加藤の見解を知りたい人にはオススメ。個人的には、あまり載っている本が少ない第4章〜第6章の内容は参考になった。(2010Feb01) ※付録の「対振り飛車熱闘譜」のvs中田功戦は、『加藤流最強三間飛車撃破』(加藤一二三,MYCOM,2004.06)に自戦記付きで載っているものと同じ。 ※誤植(初版で確認) p77下段 ×「飛を取り込んでおく」 ○「飛を成り込んでおく」 |
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