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初級者
将棋上達の方程式 寄せの公式 |
[総合評価] A 難易度:★★ 図面:見開き4〜6枚 内容:(質)A(量)A レイアウト:A 解説:A 読みやすさ:A 初級向き |
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【著 者】 真田圭一 | ||||
【出版社】 日本将棋連盟 | ||||
発行:2008年5月 | ISBN:978-4-8197-0085-6 | |||
定価:1,365円(5%税込) | 207ページ/19cm |
【本の内容】 | |||||||||||||||||||||||||||
・【ワンポイント】(1)上から下へ、玉を落とす
(2)金の使い方で上達が違う (3)駒の連携技を使った寄せ
(4)一間竜は強烈だ! (5)駒の特異性を生かす
(6)駒の能力を巧みに使う (7)詰めろと必至の違い |
【レビュー】 | |
初級者向けに寄せの手筋を解説した本。 第1章では、玉の場所(上段・中段・下段や端)による寄せやすさの違いを解説。「玉は下段に落とせ」は多くの寄せの本で使われる基本の格言であるが、それをここまで言語化して、初級者にも分かるような解説は初めて見た。図面にも視覚的に分かるように矢印や色分けなどの工夫がされている。 第2章〜第6章は、筋の良い寄せの基本技を解説。第2章の頭金は、「これが頭金です」というレベルではなく、「頭金を狙って、上から攻め駒を増やしていく」という、寄せや必至の基本のひとつ。第3章の連携技(特に桂の利用)や第4章・第5章の一間竜などとともに、ぜひともマスターしたい。第6章も頭金狙いだが、こちらは下段から角・銀を引っ掛けていくタイプの基本技。 第7章は「詰めろ」と「必至」の違い。これはなかなか難しいが、まだ受けが利くのが「ただの詰めろ」で、受けが利かない詰めろが「必至」だと覚えていれば、このレベルでは十分だ。なにせ、実戦では「受けにくい詰めろ」やら「受けても一手一手」やら「部分的に必至」(手順を尽くせば相手玉への王手との絡みで攻め駒を抜いて必至が解けることがある)やら、定義の難しい言葉がいっぱい出てくるのだから。 第8章は、これまでに学んだことの練習問題。姉妹書で同時発売の『将棋上達の方程式 囲いの公式』(屋敷伸之)と違って、復習問題ではなく第1章〜第7章の応用問題となる。第7章までの内容をしっかり理解できていればおそらく解けると思うが、中には初段クラスの難度のものも混じっている。「玉は下段に落とせ」「玉は端に追い詰めろ」「一間竜を狙え」といった、非常に実戦的なテクニックを学ぶ問題が多いので、たとえ解けなくても正解の手の感触をしっかり覚えよう。最後のほうには有名な必至問題もいくつか混じっているが、これらは初見で解くのは難しいと思うので、「こんな問題もあるんだ」くらいでよいだろう。 p200に寄せについて非常に上手い表現があったので、メモしておく。
全体的に、対象としている「初級者」を徹底的に意識した作りこみが好印象。本によっては、最初は頭金から解説しているのに最後は四段レベルの問題が出るようなインフレを起こしているものもあるが、本書はそういうことはない。「脱・初級者」「めざせ24での一桁級」という目標がある人には、オススメの一冊である。(2008Sep23) |