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棋士
瀬川晶司 ─61年ぶりのプロ棋士編入試験に合格した男 |
[総合評価] B 難易度:★★★★ 図面:見開き0〜4枚 内容:(質)B(量)A レイアウト:A 解説:B 読みやすさ:A 上級〜有段向き |
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【著 者】 日本将棋連盟出版部 | ||||
【出版社】 日本将棋連盟 | ||||
発行:2006年1月 | ISBN:4-8197-0231-9 | |||
定価:1,680円(5%税込) | 192ページ/21cm |
【本の内容】 | ||
・巻頭カラー写真(直筆「嘆願書」の写し入り)=16p ・【まえがき】夢の実現(米長邦雄)/時代の波(森下卓)=計2p ・プロ棋士編入試験規定=1p ・瀬川晶司ロングインタビュー「将棋〜かけがえのないもの」(聞き手 女流棋士・大庭美夏)=18p ・「瀬川さんと私」(野月浩貴七段)=13p ・【寄稿】「開かれた将棋界」(西篠耕一)/「関西からの見方、感じ方」(池崎和記)/「“瀬川問題”のてんまつ」(角建逸)/「森下チームの発足から」(木村明弘)/「アマとプロの懸け橋に」(遠藤正樹)/「しょったん、おめでとう!」(渡辺健弥)=計22p ・祝福メッセージ(NEC関係者<伊藤雅明、林隆弘、清水上徹、加藤幸男、長岡俊勝>)=5p ・【解説】瀬川将棋の強み(藤井猛九段、深浦康市八段、鈴木宏彦/構成)=16p
・瀬川さんおめでとう!〜合格に寄せて〜=計2p
・(瀬川在籍時の)奨励会三段リーグ表=8p |
【レビュー】 |
2005年の「プロ編入試験」を合格した瀬川晶司・新四段のトリビュート本。 奨励会を年齢制限で退会、しばらくしてアマ棋界に復帰した瀬川。気分が吹っ切れたのが良い方向に向かい、アマ棋戦で優勝、そして銀河戦で現役プロを連破。「プロに7割勝つのにプロになれないのはおかしい」という機運が高まり、瀬川自身が将棋連盟に「嘆願書」を提出したのが2005年2月。プロ将棋の存続危機感も併せて、ネットでもプロ同士でもさまざまな議論がなされた。そして戦前の花村元司以来、61年ぶりのプロ編入試験が実現。瀬川は連盟が課した「六番勝負」を3勝2敗で突破し、見事プロ四段となった。 本書は大きく分けると「読み物パート」と「解説パート」に分かれる。 読み物 : 瀬川ロングインタビュー、お祝いメッセージ、対局者談話、ブログコメント等。 解説 : 瀬川将棋の分析、観戦記、銀河戦などの棋譜解説。 読み物部分には、一応「瀬川問題」の年表や経緯も少し書いてあるが、全体的には「合格おめでとう」の雰囲気。瀬川問題はニュースでもたびたび取り上げられていたので全く知らない人は少ないと思うが、「瀬川って誰?」という人にはちょっと分かりにくい構成かも。 解説部のうち、観戦記は将棋世界に掲載されたものとほぼ同じ。分析と棋譜解説はリンクしているので続けて読んだ方がいい。個人的には、分析を読んでから棋譜並べをするのがオススメ。 当然のことながら、棋譜のレベル自体はA級レベルに比べるとやや劣る。ただ、短時間将棋独特の指し手や踏み込む指し方、粘りなどはトップ棋士の棋譜よりも参考になる。銀河戦の棋譜はなかなか並べていて楽しい。 本の作りや内容的にはBであるが、他に類書はない本。プロ将棋ファンなら、61年ぶりのイベント記念として手元に置いておくのが吉。「棋譜はよく分からん」という人は、そのうち手記本が出ると思うので(推測)、それまで待ちましょう。(2006Feb08) ※なお、渡辺健弥氏の文によれば、瀬川氏はサザンのファンと言っていたが、本当はさ○○○しだそうな(笑)。 |