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高島一岐代九段攻戦集 攻めの高島実戦21局集 |
[総合評価] A 難易度:★★★★ 図面:見開き2〜3枚 内容:(質)A(量)B レイアウト:A 解説:A 読みやすさ:A 上級〜有段向き |
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【著 者】 高島一岐代 | ||||
【出版社】 弘文社 | ||||
発行:1972年 | ISBN:4-7703-3551-2 | |||
定価:2,000円 | 251ページ/22cm/H.C. |
【本の内容】 | ||||||||||||||||||||||||
※特記なき局は自戦記
・高島一岐代九段作・詰将棋=12番 |
【レビュー】 |
高島一岐代九段の自戦記集。一部に観戦記を含む。 高島九段は、A級在位は通算9年、タイトル挑戦2回の一流棋士である。1962年にA級のまま引退。30年以上も前に一線から退いているので、よほどのオールドファンでなければ、高島九段のことは知らないかもしれない。 ・高島一岐代九段プロフィール(日本将棋連盟HP内) ・高島一岐代順位戦成績(将棋順位戦データベース内) 棋風は「攻めの高島」「日本一の攻め将棋」「小駒を使っての攻めは確かに日本一」(58p)などで表現されるように、かなりの攻め将棋。本書でもガリガリと攻め立てる将棋がいくつもある。特に第5局は終盤がカッコいいので、一度は並べていただきたい。前半は攻めが目立つが、中盤以降は上手い受けも際立ってくる。全体的にアマが見て面白い将棋である。 また、当時としては珍しく(?)、さまざまな戦型を操るオールラウンダー。特に菊水矢倉は高島九段の創案(73pより)であり、棋譜だけでなくその生い立ちも紹介されているので菊水ファンは必見。また、最後の3局は「ブルドック戦法」と呼ばれる力戦将棋で、並べていて面白かった。▲7六歩△3四歩▲5六歩△8八角成▲同銀△5七角…となり、馬と持ち角の対抗となる。▲同銀で▲同飛なら大野流向飛車だが、「ブルドック」は力戦中飛車。指しこなすのは難しいが、力戦家は試す価値あり。 序盤戦術は古いし、「銀冠」→「高美濃」、「金無双」→「板金」という用語使いには少々時代を感じるが、技術は確か。さらに、高島は「相振飛車のときは板金(金無双)よりも高美濃」というスタンスで戦っていた(本文解説中にも記述あり)。現代相振飛車の先鋒・杉本昌隆六段も自著の中で同様のことを述べている。オールラウンダーの高島が50年も前に同様の感覚を持っていたことは驚きだった。 温故知新として並べてみると面白い一冊である。(2004Nov30) |