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第59期将棋名人戦 | [総合評価] D 難易度:★★★☆ 図面:見開き2〜3枚 内容:(質)B(量)C レイアウト:B 解説:B 読みやすさ:B 中級以上向き |
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【編】 毎日新聞社 | ||||
【出版社】 毎日新聞社 | ||||
発行:2001年8月 | ISBN:4-620-50479-3 | |||
定価:1,890円(5%税込) | 206ページ/19cm |
【本の内容】 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
【名人】丸山忠久 (防衛) 【挑戦者】谷川浩司
・盤側の記(加古明光)=12p |
【レビュー】 |
名人戦の観戦記。 名人初防衛を目指す丸山に挑むのは、十七世名人資格保持者の谷川。本シリーズは、6局目まで連続して先手が勝ち、振り駒で勝負が決まってしまうかと思われた最後の7局目で後手が勝つという、ドラマチックな展開だった。特に第7局は、激辛流といわれる後手丸山が△4五桂と果敢な桂捨てから手を作ったのには驚いた。しかも谷川が早く諦めてしまい、まだ手のある段階で投了してしまった(実際にはやはり後手優勢だったが)。 3局目は千日手が成立したのだが、本編では第1譜と第8譜でサラリと書いてあるだけ。この千日手、実は一悶着あったのだ。千日手規定は現在では「同一局面4回」。今回は序盤で双方打開できなかったのだが、丸山が微妙に手順をずらしながら飛の上下運動を行ったため、なかなか同一局面4回が発生せず、「厳密には未成立だったのに、立会人が対局者の同意を得て千日手宣言を行った」という、異例の事態だったのである。それにしても、千日手局の棋譜くらい載せてくれたっていいのに…。 この千日手について、本岡類(作家)によるかなり批判的な観戦記が将棋世界に掲載された。「千日手は納得いかない」とか、妄想に基づく丸山への人格攻撃はわたしも相当腹立たしかったが(それ以来将棋世界を買っていない)、それについて、本書巻末の「盤側の記」でこう書かれていた。「ある作家らしい人が(いつからいたか知らないが)…(中略)…シロウト判断で『納得いかない』とは笑止千万である。これには、棋士サイドからも『暴言だ』とクレームのあったことを付記しておく。」(p201) これは、将棋世界を読んでない人には誰のことだか何のことだかさっぱり分からない。「棋士サイド」も誰のことだか。こういう批判の仕方はズルいと思う。 ところで、今回からいろいろな部分がマイナーチェンジされている。まず「名人戦」の題字の変更。次にフォントが2ポイントほど大きくなった。さらに盤面図は明朝体からゴシック体へ。他に図の最終手のハイライトがゴシック体から白黒反転へ。慣れれば違和感はないが、行間が詰まった感じがする。 レイアウトの面に関しては特に不満はないが、例によって「同時進行なので(質の劣化は)ご了承いただきたい」…。また、第5局最終譜で第6局の結果をネタバレするのは勘弁。新聞を読んでる読者なら知ってて当然、と思うのかもしれないが、観戦記だけを読んでいるファンというのは結構いるのですよ。(2008Nov19) ※初版の誤植: p111参考図 △2八飛が抜けている。 |