1982-04 |
21-1「両津将棋教室の巻」
〔あらすじ〕両さんに軍人将棋で負かされ、悔しい思いの中川。そこへ偶然、将棋名人の桂王手氏が道を聞きに現れた。中川の発案で両さん対名人の将棋対決が始まるが、対局中突然の地震…さらに火事の知らせ!
消火活動に走る両さん達だが、そんな中でも将棋は続行?
「こち亀」で初めて将棋メインのエピソードが描かれた回。
冒頭の軍人将棋で両さんは圧倒的な強さを見せ、寺井(丸メガネ)が「両さんは将棋と名がつくとメチャクチャ強いからな…」と発言。しかし、桂王手名人との対局では、詰んだ状態であちこち逃げようとしている(=駒の利きがあまり見えていない)ので、10級以下だろうか?
一方、再戦では名人がうなるほどの手を指している(盤面はなし)。「王ひとりで敵陣に」云々とのセリフから、このときに指した戦法は「棒玉」(笑)のようだ。
しかし、両さんは目隠し将棋もできる。普通、目隠し将棋ができるのはアマ三段以上だと思われるが、これは個人差が大きい。
「負けそうになったら将棋盤をわざとたおす」という迷言を吐いており、両さんのマナーはとても褒められたものではない。
この回だけで見れば、両さんの棋力は「級なし」、対局経験は「縁台将棋限定」。
それにしても、盤上の駒が吹っ飛ぶほどの地震を、両さんが盤をひっくり返したと勘違いする中川って…。
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1992-01 |
73-6「盤上の熱き舞い!の巻」
新しく買った高級将棋盤セットで、中川・麗子・寺井と遊ぶ両さん。見事に勝利して鼻高々だったが、部長との対戦では大負け。先読みの不足を人生になぞらえて説教された両さんは、悔しがって将棋名人の元へ弟子入りする。
前回から10年ぶりの将棋エピソード。
中川が運転しているフェラーリの中で、脚付き三寸盤で将棋をする両さん。将棋は相当好きなようだ。
ほぼ素人の麗子・寺井も同時に遊べる将棋ゲームとして、右図のような四人将棋が登場する。『四人将棋入門』(井上慶太,東京大学将棋部,クレオ,1994)には載ってない駒配置で、こち亀オリジナルのもののようだ。
その後、部長と本将棋で対局するが、4−0で惨敗。「(部長は)10手も20手も何通りも先を読む」「しかしお前(両さん)はまったく先を読まん!」となじられてしまう。
部長はこの回ではアマ六段と紹介されているが、あとの話からすると初段あるかどうかなので、ペーパー六段ではないか?
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1995-04 |
92-5「部長もはまった!!の巻」
両さんのファミコンソフトを処分しようとする部長は、中川のアドバイスで、買い取ってもらうためゲームショップへ。だが、電子手帳で将棋ゲームができる事を初めて知った部長は、成り行きでソフトを購入。次第に夢中になって行く。
部長は、1994年当時の電子手帳用の将棋ソフトの中級モード(「次は上級だ!」と書かれているので、たぶん中級)で、9連敗後にやっと勝利。コンピュータ将棋−Wikipedia
によれば「1995年頃にはアマ初段レベルに到達」(ただしハードはそれなりの好条件)なので、このソフトはもっと弱いだろう。部長の棋力は実力級位者か。
もっとも、ゲーセンの将棋のように、「操作性が悪い&時間制限が厳しい」(しかもコンピュータが無意味なくそ粘りをしてどんどん持時間が削られていく)という条件付きなら、プロでも勝つのは難しいですが。
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1999-12 |
117-3「目隠し将棋名人!?両さんの巻」
目隠し将棋で圧倒的な強さを見せる両さんは、寺井・中川・麗子の三人同時対戦に完勝。将棋の達人・部長も、盤面を記憶しきれず敗北を喫する。特訓の末再戦に臨む部長を、受けて立った両さんだが…。
この回では、両さんは格闘ゲームをやりながら目隠し将棋で寺井に5連勝するという離れ業を披露。さらにチェス2面+将棋1面の目隠しも同時にできる。盤面を覚える能力はトッププロ並みのようだ。ただし、棋譜はまったく覚えていない。寺井に「両さんは頭がいい」と褒められる一方、麗子には「動物並み」とけなされる。
なお、両さんは「目隠し格ゲー」もできる。入力コマンドを口で言い合うのだが、ターン制ではなく、1/60秒のタイミングを競う格ゲーではさすがに無理だろう(笑)。
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2003-08 |
136-4「変わり将棋王両津!!の巻」
纏(まとい)たち擬宝珠家の面々に、将棋でどうしても勝てない両さん。見えにくい代理駒を使うなどあの手この手で挑むが、結局は惨敗してしまう。負けず嫌いの両さんは、将棋を基本から学ぶべく、中川に紹介された先生の元へ。
両さんが将棋で負けるたびに盤を投げる(ひっくり返す)ので、駒が減って(失くして)しまう。消しゴム、カギなどいろいろなものを代理駒にするが、だんだん代理駒が多くなりすぎてさすがの両さんも盤面を覚えられない。そういえば、羽生が「駒の代わりに寿司を置かれたらさすがに覚えられない」とか言ってたっけ…。両さんも人の子ですね(笑)
纏に勝つために将棋の先生に習う両さんだが、「変則駒で相手の目をくらますのだ!」ということで、いろんな代理駒を試させられる(そのたびに謝礼を払わせられる)。つまり、今回の「変わり将棋」とは、「変則ルール」ではなくて「駒が変わっている」のでした。
纏の棋力はいまのところ不明。少なくとも「纏>>(越えられない壁)>>両さん」のようだ。
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2007-08 |
156-4「ハガキ将棋対決の巻」
大阪のハルと東京の両さんの間で、郵便ハガキで指し手を出し合う“葉書将棋”対決が開始。ハルは通天閣署員たちの、両さんは部長や擬宝珠一家の助言を受けながら、熱い攻防を繰り広げる。
ハルは、ヤクザ相手に地上げ中止を賭けた真剣で勝ち。ただしこのヤクザは言動から級位者と思われる。「ハルちゃんの相手は棋士(プロ)しかおらんわァ」と同僚のコメント。上司から「東京の両津が強いぞ」と紹介され、「ハガキ将棋」をはじめることに。
だんだん互いの検討に熱が入り、返事が遅れ始める
⇒遅れ解消のため、なぜか「電報将棋」に(笑)
コスト高っ!
⇒結局「携帯メール将棋」に。最初からそうすればいいのに(笑)
この回で両さんが「定石」と発言。初級者にありがちな誤変換である。単行本でも修正されなかったため、編集者の棋力は10級以下と認定。読者からの指摘はなかったのだろうか?
なお、この頃から数ヶ月、作者の仕事場で将棋が流行したらしく、将棋エピソードがプッシュされている。
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2007-08 |
156-9「新年初将棋の巻」
2007年。昨年 ハルに将棋で負けて悔しい思いをした両さんは、元日から纏やレモンを相手に将棋熱を燃やす。が、幼稚園児のレモンに駒(こま)十枚落ちで完敗する自分の実力に、すっかり落ち込んでしまい…。
幼稚園児レモンによる将棋講座。
(1)「初手▲7六歩、▲2六歩について」
(2)「囲い(矢倉、穴熊)について」
両さんは居玉で、他のすべての駒で攻撃陣を築く将棋(盤面の一部あり)。また、矢倉を知らなかった。
レモンは「10枚落ち+上手は持駒を使わない(!)」というルールで両さんを撃破。さすがにそれはないわー(笑)、『月下の棋士』で「持駒を使わないA級棋士」が存在したのと同じくらい「ない話」だわー。よって両さん初心者?
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2007-10 |
157-4「回り将棋の巻」
本田を相手に将棋で圧勝し、ごきげんの両さん。話題は変則遊びの「はさみ将棋」「回り将棋」に及び、中川・麗子を加えた4人での回り将棋対戦が始まる。遊びの達人・両さんは圧倒的な強さを見せるが…。
本将棋で初手▲2六歩に対し、纏は△3二銀と指していた。纏の棋力は級位者だろう。
この回では将棋の盤駒を使ったゲームを3つ紹介。
(1)はさみ将棋。手詰まりになるエピソードは誰もが懐かしいはず。この回では登場しないが、ナナメに進めるルールにすると格段に面白くなる。
(2)飛ばし(おはじき)将棋。ストラックアウト風のゲームで、互いの一段目二歩を9枚ずつ並べ、交互に歩を指で弾き飛ばして、相手の駒を盤外に落とす。先に駒がなくなったら負け。
(3)回り将棋。すごろくに似たゲームで、ローカルルール多数。ここでのルールは「位の高い駒に追い抜かされると、駒が内側に“埋め”られて動けなくなる。もう一度位の高い駒が通過すると出られるが、すぐ脇に止まられた場合はさらに埋められる」というもの。
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2008-01 |
158-4「花見将棋の巻」
新葛飾署の花見が、桜の下で将棋・囲碁を行う形式に決定。そんな中、意外にも早矢が全く将棋を知らない事が判明する。ニコニコで教え役を務める両さんだが、部長もその座を狙って…。
部長のセクハラ妄想はどうなのよ(笑)
部長が「玉と王の違い」で薀蓄を垂れるが、「下手」を「しもて」と読んでしまっている。さらに盤駒のことを「将棋」と呼んでいる(「(盤駒の意味で)将棋を貸せ!」)。部長のペーパー六段疑惑が高まりました。
署長はプロ級とのこと。ただし自己申告のみ。かなりのフカシと思われる。
両さん、超初心者の早矢に負けてしまう。両さんは1手先しか見えないことが明らかに。これは73-6のエピソードと合致。
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2008-04 |
159-4「将棋刑事(デカ)の巻」
たてこもり事件の現場に現れた新たな特殊刑事は、巨大な将棋のコマに扮した、その名も将棋刑事(デカ)。両さんたち新葛飾署員にもコマの制服を着させた将棋刑事は、街を将棋盤に見立てて、たてこもり現場への侵攻作戦を開始する。
ついに駒が表紙に!秋本先生、大プッシュ!のはずだが、内容はただのギャグだった。北島三郎「歩」の歌詞を紹介しているところはナイス。
将棋刑事こと、居飛車駒損ノ介刑事は駒の着ぐるみを着用、部下にも駒スーツを着せて立てこもり犯人を包囲していく。駒スーツは一応、防弾仕様になっているが、歩は背面側のみ防弾。
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将棋漫画としてみれば、縁台将棋の域を出ず、設定もストーリーもグダグダである。しかし、単に「将棋のエピソードに乗せたいつものこち亀」と思えば、普通に面白かったと思う。
できれば今後もときどき将棋エピソードを描いてほしいが、秋本先生のブームが去っちゃった感じがあるので難しいかな……。(2008Nov13)