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第四十期将棋名人戦 全記録 |
[総合評価] C 難易度:★★★☆ 図面:見開き1枚 内容:(質)A(量)C レイアウト:A 解説:B 読みやすさ:B 中級以上向き |
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【編 者】 毎日新聞社 | ||||
【出版社】 毎日新聞社 | ||||
発行:1982年10月 | ISBN:4-620-50440-8 0076-670005-7904 |
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定価:1,800円 | 257ページ/22cm/H.C. |
【本の内容】 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
【名人】中原誠 【挑戦者】加藤一二三 (奪取)
・歴代名人の顔(木村、塚田、大山、升田、中原、加藤)=6p |
【レビュー】 |
名人戦の観戦記。 第40期は、棋史に残る「10番勝負」になった。フルセット7局+持将棋1局+千日手2局=10局。名人戦史上、もっとも盛り上がった勝負の一つである。当時の規定では、「千日手は日と場所を改めて再勝負」だったため、名人が決定したのはなんと夏も真っ盛りの7月31日。最終的に加藤がこの激闘を制し、“神武以来の天才”がようやくその悲願を達成した。一方、この10年間名人戦の主役でありつづけた中原は、一時的とはいえ脇役に回ることになった。 将棋はすべて相矢倉。両者が意地を張ったようだ。しかも勝者はすべて先手番という、偏った結果になった。ちょうど「飛車先不突き矢倉」がタイトル戦でも出始めた時期で、本シリーズもほとんど飛車先不突き。観戦記にも関連記事がたびたび登場する。 ・「…まことに不思議な櫓の序盤定跡が生まれたものである。飛車先の歩を三十手くらいまで突かないとは!昔の将棋の本などには、まったく書かれてもいないし、現在でも初心者がこんな風に指したら、上手に叱られそうだ。」(86p) ・「旧型の矢倉将棋にくらべると、2筋の歩を一手も突かないところが変わっている。」(116p) ・「“飛先不突き矢倉”について、中原は『どれだけの効果があるかまだ分からない』といっている。とにかくやってみようという気分らしい。」(140p) ・「…今回の名人戦では、先手が飛車先の歩を突かないことが特徴…」(152p) ・「米長棋王によれば、あまりいい戦法ではないゆえ、すぐに指されなくなる、とのことである。」(216p) 先見の明のある米長にして、この予想。将棋とは、なんと難しいものか。 棋譜表記は再び2手一組となり、行間も適度な幅になって非常に見やすくなった。 ところで、わたしが38期で気にしていた「持将棋規定」だが、今期もやはり0.5勝扱いだったらしい。 ・「(第7局で)今回また持将棋になると、0.5勝ずつ加点され、加藤十段が4勝という結果になって勝負がついてしまう。」 そんなことにならなくて、本当に良かったです(笑)。(2004Feb25) |