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一人で学べる!強くなる将棋入門 基本の攻め方・囲い方から、強くなるために欠かせないノウハウまでをくわしく紹介! |
[総合評価] C 難易度:★☆ 〜★★ 図面:見開き4枚 内容:(質)B(量)B レイアウト:A 解説:B 読みやすさ:B 初級向き |
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【著 者】 行方尚史 | ||||
【出版社】 日本文芸社 | ||||
発行:2009年2月 | ISBN:978-4-537-20726-2 | |||
定価:998円(5%税込) | 222ページ/19cm |
【本の内容】 | ||||||||||||||||||||||||||||
◆内容紹介 |
【レビュー】 | |
将棋入門書。 本書には、一応は将棋の基本ルールから書いてあるが、対象棋力は「入門者」から一歩進んだ「初級者」クラス。ルールは一通り覚えた、実戦も少し指した、もう少し強くなっていきたい…という層をターゲットにしている。モノクロ印刷でルビなし(新出の専門用語のみルビあり)のストイックな構成なので、基本的には大人向けである。 各章の内容をザッと紹介していこう。 第1章はルールについて。盤面の表記の仕方、駒の動き、基本ルールなど。おさらいなので、解説は非常にシンプル。ちょっと気になったのは、千日手や持将棋については簡単な紹介のみで、ちゃんとしたルールの解説がないことと、連続王手の千日手は何回で反則負けになるか書かれていないこと。この辺は、確かに初級者の実戦ではほとんど出現しないが、一通りルールを覚えた人でもあやふやな部分なので、正確に書いた方がよかったと思う。 第2章はプロの実戦解説1局。題材は▲行方vs△丸山(朝日杯決勝)。ルール説明後にいきなりプロの実戦譜を追うのは、入門書としてはかなり珍しい。しかも「4手目△3三角」という特殊戦法。意図は、「指し始めから終局までの大まかな流れを見ていただいて、こんなふうに一局が進むんだと感じてもらえれば良いと思います。」(p24)とのこと。ただ、次の図面までに5手〜MAX14手も進むので、入門者が棋譜をスラスラ追うのはまず無理。盤駒を用意して並べよう。1局がんばって並べ切れば、棋譜を読む練習ができたことになる。 第3章は手筋。基本的に1つの手筋につき1pでザックリ解説していく。載っているのは、垂れ歩/棒銀(駒交換)/両取り/不成/寄せの手筋/詰みいろいろ/各駒の手筋など。寄せの手筋の箇所は、「後手玉は寄り筋です」だけでは、ちょっと解説が足りないかなと思う。 第4章は戦法紹介。見開き2pずつ(ゴキゲン中飛車だけは4p)で各戦法を紹介する。戦法の概略と、どういう性格・棋風の人に向いているかが書いてあるので、好きな戦法をとりあえず選ぶのに役立つ。載っている戦法は、次の通り。 相がかり戦法/ヒネリ飛車戦法/横歩取り戦法/矢倉戦法/角換わり腰掛け銀戦法/四間飛車戦法/居飛車穴熊戦法/三間飛車戦法/急戦石田流戦法/攻める向かい飛車戦法/ツノ銀中飛車対居飛車玉頭位取り戦法/ゴキゲン中飛車戦法/相振り飛車戦法/(相振り飛車)△3三角戦法 第5章は格言。格言は汎用性が高く、分かりにくい局面で指針を決めるのにかなり役立つ。本章では格言38個を各1pで解説。 第6章は1手詰と3手詰の特訓。1手詰=16問、3手詰=24問を見開き2問で解いていく。3手詰の前半8問は、1手詰の前半8問を2手巻き戻した形になっている。つまり、1手詰で出題された形になるように考えれば、3手詰が解けるように工夫されている。これで3手詰に慣れさせるというのはいい工夫だと思う。(このスタイルを徹底的にやっているのが『将棋3手詰入門ドリル』(椎名龍一,池田書店,2008.04)である。) 第7章は、ネット将棋対局場である「将棋倶楽部24」の登録の仕方、マナー、感想戦のやり方など。 全体的に悪くはないが、やや「帯に短し、たすきに長し」の印象があった。手筋・戦法紹介・格言などを1p(または2p)に詰め込んだので、解説が浅くなっている感じだ。その割には、やや文章が冗長気味な部分もあった。 ……と、ここまでが「本書そのものに対する感想」。 「週刊将棋」2011年2月2日号のp18に、右図のような「謝罪広告」が掲載された(「将棋世界」2011年3月号のp215にも掲載された)。文の内容は下記の通り。
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