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電撃!!
イナズマ流次の一手200題 一瞬にして妙手・悪手がわかる! 出雲のイナズマの妙手を全公開! |
[総合評価] D 難易度:★★★★ 見開き2問 内容:(質)B(量)A レイアウト:A (2色刷) 解答の裏透け:B 解説:C 上級〜有段向き |
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【著 者】 森けい二 里見香奈 | ||||
【出版社】 日東書院本社 | ||||
発行:2009年4月 | ISBN:978-4-528-01515-9 | |||
定価:1,365円(5%税込) | 236ページ/18cm |
【本の内容】 |
・次の一手200題を20問ずつ掲載。 (1)「一閃!」次の一手 (2)「自慢!」次の一手 (3)「妙手」次の一手 (4)「きびしい攻め」次の一手 (5)「きれいに決める」次の一手 (6)「寄せの形」次の一手 (7)「穴熊の急所」次の一手 (8)「数の攻め」次の一手 (9)「気迫の勝負手」次の一手 (10)「イナズマの寄せ」次の一手 ◆内容紹介 次の一手のヒラメキの「一閃」で相手を倒す“元祖イナズマ流”森けいニ九段と16歳でタイトル倉敷藤花を制した“出雲のイナズマ”里見香奈女流二段による厳選次の一手200題!解答は三択で、解説もわかりやすい!“イナズマ流”将棋ファン待望必読の書。 |
【レビュー】 |
実戦を題材にした次の一手問題集。 著者の森けい二九段は「イナズマ流」として知られる。これは、中終盤の切れ味が鋭いことと、それを自認して好んで「一閃」と揮毫していたところ、故・加藤治郎名誉九段に「稲妻のようだね」と言われ、それ以来「イナズマ流」を併用するようになったことが由来とされる。また、弟子の里見香奈倉敷藤花も中終盤が鋭いことで知られ、週刊将棋が「出雲のイナズマ」(出雲は里見の出身地)と呼んだのが定着するようになった。 本書の次の一手問題は、すべて「元祖イナズマ」森けい二と「出雲のイナズマ」里見香奈の実戦が題材。問題図には一行ヒントと選択肢(三択)が添えられている。同じ実戦から数問続けて出題されることが多い。 イナズマ流らしく、ちょっとハッとするような手が正解であることが多いが、どちらかといえば「出雲のイナズマ」の方が落ち着いた渋い手が多い。あくまでも「森/里見が指した手」が正解なので、もっと良い手が存在する可能性もある。 問題の量は良いが、解説はちょっと不満。スペースの都合もあるだろうが、ずいぶんとあっさりしている。また、不正解手の解説が貧弱で、「他の手は良くない。」「筋が悪い。」など、具体的でないことが多い。ひどいときはスルーされていることも。また、勝ち味が遅い手は正解とされないので、棋風が合わない人もいそうだ。 なお、各章は20問で一組になっているが、タイトルには特に意味がなく、章で代表的な問題のタイトルを挙げているだけ。たとえば、第8章「穴熊の急所」では、20問中に「穴熊の急所」というタイトルがついている問題があるが、他は自陣も敵陣も全然穴熊ではない問題が多数ある。 と、ここまでなら評価はC。 ただこの本、誤植が異常に多い。全く校正していないのでは、と思えるほどで、今まで見てきた棋書の中でもトップクラス(?)の多さだ。 ●初版の誤植一覧 ・第8問-問題図:先手の飛が行方不明(▲6八飛?) ・第8問-解答図:飛だけでなく角も行方不明(▲6六角)。 ・第29問-解答図:角(馬)が3枚ある ・第30問-問題図:角(馬)が3枚ある ・第32問-解説文:×「△同金は▲5七角で良い」 ○「△同金は▲5三角で良い」 ・第51問-選択肢:×「B.▲8九角」 ○「B.▲7九角」 ・第54問-選択肢:×「B.▲4六竜」 ○「B.▲4五竜」 ・第59問-選択肢:×「B.▲2五桂」(自玉を素抜かれる) ○「B.▲2五桂打」 ・第65問-選択肢:×「C.▲3三成桂」 ○「C.▲3三成銀」 ・第74問-解答参考図:▲2四金がない、後手玉が2枚ある(△2三玉が不要) ・第76問-選択肢:×「A.▲4五歩」 ○「A.▲4六歩」 ・第88問-解説文:×「▲3五歩△2五飛」 ○「▲3五歩△2五銀」 ・第150問-選択肢:×「C.▲6五桂」(持駒も盤上の桂もなく、着手不可能な手。代わる選択肢は不明) ・第150問-解説文:×「△5七角打なら」 ○「△5三角打なら」 ・第161問-解説文:×「▲4四馬△同飛」 ○「▲4四馬△同角」 ・第166問-解説文:×「△8四角▲7七角成でも」 ○「△2六角▲3三角成でも」 ・第187問-解答:×「▲五三桂成」 ○「▲5三桂成」 ・第189問-解説文:×「8四馬は△7三金で」 ○「▲8四馬は△7三金で」 ・第197問-解説文:×「▲5三角で勝負に」 ○「▲5七角で勝負に」 また、本書は里見の初著作(共著ではあるが)なのだが、里見は棋譜(というか局面)を提供しただけで、解説はすべて森の文体となっているだけでなく、まえがき・あとがきにすら登場しないし、写真もない。 「ファンなら買い」…ではないし、次の一手本としてもイマイチ。うーん。こういう感じになるくらいなら、里見の自戦記か、森による棋譜解説で良かったんじゃ…。(2009Jul30) |
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