zoom |
将棋パワーアップシリーズ 青野照市の基本の詰将棋5手 |
[総合評価] A 難易度:★★★ 見開き2問 内容:(質)A(量)A レイアウト:A 解答の裏透け:A 解説:B+ 中級〜向き |
||
【著 者】 青野照市 | ||||
【出版社】 創元社 | ||||
発行:2015年12月 | ISBN:978-4-422-75027-9 | |||
定価:1,080円 | 208ページ/18cm |
【本の内容】 |
・5手詰=202問 ◆内容紹介 “終盤の強い人が最後には勝つ”というのが、プロである著者の結論。詰将棋はその最適な方法で、スポーツの走りこみと同じ基本練習である。実戦では「詰みますよ」という助言はないので、1つでも多く手筋を覚えるのがよい。なかでも手数の短いものを多く解き、捨て駒の手筋と詰みの形を覚えるのが一番。 本書は、実戦に出てきそうな形から、妙手をくり出す作品を多く選び、基本である5手詰め202題を掲載した。 |
【レビュー】 |
5手詰限定の詰将棋問題集。 5手詰は、初段を目指すレベルの級位者から、早見えの修業を行う高段者まで、幅広い層に需要のある手数だ。それゆえ、5手詰がたくさん収録されている本は、それだけで価値が高い。 本書のレイアウトは〔右図〕のようになっている。見開き2問で、タイトルやヒントは一切なし。問題番号を黒ベタ(白抜き文字)にしているので、裏透け対策は完璧。(もともと透けにくい紙を使用しているので、あまり気にならないが) 本書の場合は、問題の難易度はランダム。玉の位置も様々で、最後の方には都詰めや入玉形もある。有名な手筋モノ、実戦から切り取ったと思われるもの、難しめの創作系など、問題の性質もかなり幅広い。 また、使う手筋も捨て駒にとどまらず、初手からの駒取りのような実戦的なものや、打歩詰め回避の大駒不成など、あらゆる筋を常に視野に入れておく必要がある。特に「離し飛車」の手筋は、他の詰将棋本と比べて登場する頻度が高いと感じたので、意識しておきたい。 要約すると、「あらゆるタイプの5手詰を収録している」といえる。パターンに特定の偏りがないので、読みの力を付けるのに適している。 よく、「詰将棋を解くと、妙手ばかりに目が行くようになってしまい、(実戦的な詰め方も必要な)指し将棋が(一時的に)弱くなった」という話を聞くが、本書の場合は硬軟織り交ぜられているので、その心配は少ないといえるだろう。 なお、最後の10問は「難問」という位置づけで、確かにやや難しめだが、それまでの192問で使った手筋を思い出せば、苦戦することはないと思う。 5手詰限定の詰将棋本では、『5手詰ハンドブック』(浦野真彦,日本将棋連盟,初出2004)シリーズが有名だが、本書も遜色ない出来と言っていいだろう。むしろ、オーソドックスなレイアウトになっている本書の方が、人によっては読みやすいかと思う。(2016Dec17) |