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将棋必勝シリーズ 居飛車奇襲戦法 |
[総合評価] B 難易度:★★★☆ 図面:見開き4枚 内容:(質)B(量)B レイアウト:A 解説:A 読みやすさ:A 中級〜上級向き |
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【著 者】 井上慶太 | ||||
【出版社】 創元社 | ||||
発行:2002年7月 | ISBN:4-422-75081-X | |||
定価:1,200円 | 222ページ/19cm |
【本の内容】 | ||||||||||||||||
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【レビュー】 |
奇襲戦法の解説書。今まであまり他書には書かれなかった4戦法を詳しく解説している。 第1章は2手目△7四歩戦法。初手から▲7六歩△7四歩。以下▲5五角(疑問手)△3四歩▲8二角成△同銀▲8八銀△9五角というハメ手パターンが他書でよく紹介されている。これも基本的な狙い筋だが、本書では一歩進んで「ハメ手に相手が乗らなかった場合の攻撃法」を詳しく解説している。7筋の歩が早く切れるので、飛桂の協力で7七を中心に攻撃できる。本書の解説どおりに進んでくれるかどうかは微妙だが、少なくとも手将棋に持ち込めるし、そう簡単には作戦負けにならなのが魅力。なお、この戦法は数少ない後手番専用の奇襲だが、本書では便宜上先後逆で解説されている。 第2章は、横歩取り△4五角の先手バージョン。初手から▲7六歩△3四歩▲1六歩△8四歩▲2六歩…と、3手目に▲1六歩と突いてわざと後手番の形になるというものだ。△4五角戦法の決定版とされる「▲8五飛(この場合は△2五飛)」が、端が突いてあることで成立しない。解説されている大部分は、通常の△4五角戦法とほとんど同じ変化だが、普段は後手番でしか書かれない“横歩取られ側”が先手番になっているので、いつもとは違った感覚で局面を眺めることができるかも。端歩の効果に関する記述は105p〜106p。△4五角戦法の変化に詳しい人は、ここだけ読めば良いだろう。他の3戦法と違って、この戦法は研究どおりの局面になる確率が非常に高いので、オススメだ。σ(^-^;)が相手のときは使わないでね(笑) 第3章の浮き飛車棒銀は、先手番専用。相掛かりで▲2六飛と浮いたあと、▲3八銀〜▲2七銀〜▲3六銀と動く。4戦法の中ではやや指しこなすのが難しいが、後手側の対策も難しいので、先手が主導権を握りやすい。ただ残念なのは、アマではなかなか相掛かりになりにくい。 第4章の美濃崩し▲8六銀は、美濃囲いを玉頭から速攻で潰してしまおうというもの。本書の中ではもっとも奇襲色が強い。ガチガチの四間飛車党相手なら、一気に攻めつぶせる。ただし、初手から▲7六歩△3四歩に▲4八銀が序盤のネック。△4四歩なら問題ないが、△8四歩のときに苦しくなりやすい。この辺は、英春流などを勉強してカバーされたし。一応、先手番用だが、工夫すれば後手番でも使えるかもしれない。 全体的に変化はやや浅いが、フラットな解説で読みやすい。最初は割とまじめな解説なのだが、ページが進むにつれて、だんだんフランクな表現になる(特に第3章)のが可笑しかった(笑)。井上らしさが出ている。(2004Feb12) |