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米長上達シリーズ(4) 奇襲戦の極意 |
[総合評価] C 難易度:★★★ 図面:見開き2〜4枚 内容:(質)B(量)B レイアウト:B 解説:B 読みやすさ:B 中級〜上級向き |
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【著 者】 米長邦雄 | ||||
【出版社】 昭文社 | ||||
発行:1988年1月 | ISBN:4-398-23504-3 | |||
定価:553円 | 158ページ/15cm |
【本の内容】 | ||||||||||||||||
◆内容紹介(「はじめに」より抜粋) |
【レビュー】 |
奇襲戦法の解説書。 本書で解説されている戦法は4つ。角交換を基調とした振飛車系が多いものの、4つとも全然違う戦法なので、順番に解説していこう。 第1章は角交換中飛車。現代の先手ゴキゲン中飛車にかなり似た戦法で、中央突破や浮き飛車からの捌き、8筋逆襲など参考になる手筋も多い。現代なら奇襲とは言われないと思う。 第2章は角交換四間飛車。こちらは現代のものとはかなり違っていて、振飛車側は早囲いから角交換をしたあと、右銀(玉側の銀)を前線に出していく(左図)という、異様な戦法である。江戸時代からあった戦い方ではあるが、奇襲というより力戦に近いか。自玉はかなり薄いので、金銀の厚みと持ち角の威力で押していけるかどうかがポイント。力自慢の人向けだろう。 第3章は奇襲袖飛車。序盤で角道を止めて振飛車を匂わせ、△3二玉と囲わせておいて、3筋から玉頭を急襲するというもの。昭和初期にはプロ高段者の実戦例もある。最近は戦法が多様化して、角道を止めたからといって振飛車確定ではないため、このように不用意に玉を囲う人はあまりいないので、使える機会は少ない。この戦法については『袖飛車戦法』(北村昌男,北辰堂,1975)が詳しい。 第4章は筋違い角。3手目角交換ではなく、純正角換わりの出だしから▲4五角と打つもの(右図)。ある程度後手の形が確定しているので、力戦にはなりにくく、先手の狙い筋を実現しやすいという利点がある。半面、玉を固めにくく駒組みも難しいので、独特の感覚を持った人向け。この戦法については『奇襲戦法 上』(芹澤博文,北辰堂,1988)も参照すると良い。 ポケットサイズの本でレイアウトが苦しいためか、図面と解説が飛んでいることもあり、ときどき読みづらさを感じた。同社の前シリーズではそんなに違和感がなかったので、編集の上手さの差かもしれない。 一戦法あたりの解説量はそれほど多くないので、本格的に採用するにはちょっと物足りない。「いろいろな戦法を知っておきたい」という人はご一読を。(2010Feb07) ※誤植(第5版で確認) p154 ×「△3三銀左は…」 ○「△3三銀右は…」 |
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