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森内優駿流棋本ブックス 筋違い角と相振り飛車 ライバルに勝つ(秘)作戦 |
[総合評価] B 難易度:★★★☆ 図面:見開き4枚 内容:(質)A(量)B レイアウト:A 解説:B 読みやすさ:A 中級〜有段向き |
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【著 者】 木屋太二 【監 修】 森内俊之 | ||||
【出版社】 主婦と生活社 | ||||
発行:1997年7月 | ISBN:4-391-12041-0 | |||
定価:900円 | 191ページ/19cm |
【本の内容】 | ||||||||
・「優駿流ワンポイントアドバイス」(1)〜(8) |
【レビュー】 |
筋違い角と相振飛車の戦法解説書。 第1章は筋違い角。筋違い角は「3手目角交換」と「角換わりから〜」の2種類あるが、本書のものは3手目角交換タイプで、初手から▲7六歩 △3四歩 ▲2二角成 △同銀 ▲4五角と進む。縁台将棋で はおなじみの戦法だが、プロでは一歩得よりも手損と生角を手放した損が重視され、指す人は少なかった。 本書では従来の筋違い角を大幅に改良。▲5六角とは引かず、▲1六角(居飛車、【第1図】)や▲7八角(振飛車、【第2図】)or▲6七角と引くのが特徴。これによって、角をいじめられる展開が激減する。さらに、歩を奪った3筋をぐいぐい伸ばして拠点にしたり、得した一歩で攻撃するなど、非常に「攻撃力のある戦法」になっている。 「こんなに上手くいくのかな?」とは思ってみたものの、上手く咎める方法は見つからなかった。とすれば、手得を生かして相筋違い角にするしかないのだろうか?得意戦法を探している人は必見(英春流よりはシンプルで使いやすそう)。 第2章は相振飛車で、向飛車を解説。「なんだ、向飛車なら普通じゃん。」と思うかもしれないが、慌てない、慌てない。囲いが違うのである。相振飛車の囲いといえば、金無双、美濃、穴熊、矢倉の4つが普通だが、本書の相振飛車はなんと“右中原囲い”なのである。(【第3図】) △3六歩の拠点はあるし、壁銀だし、中原囲いは玉頭攻めが痛いし…と、これで良くなるような気はしないのだが…。急戦に強く、持久戦なら銀冠への発展があるということで、案外指せているようなのである。個人的には普通に指した方が勝てそうなのだが、他人と同じ事をしたくない人にはオススメの戦法である。 どちらの章も「後手が普通の指し方をした場合は優勢に」「後手が対策を凝らしてきても十分指せる」という展開になっている。実際はどちらも手将棋模様になりやすいので、実戦で試してみる必要があるが、まず本書を読んでポイントとコツをつかんでおくと良い。そんなに緻密な解説ではなかったが、読んでいて結構面白かった。 不思議なのは、どうしてこの2戦法が同じ本で解説されているのか?その謎は解けないままだった……。 なお、このシリーズ共通で、大きな盤面図には活字ではなく「巻菱湖」の駒形が使われている。他書ではみづらく感じることがあったが、本書の場合は特に気にならなかった。(2006Jul29) ※本書は図書館で借りたのだが、114pに「△3五飛ならどうするんだ?!」という書込みがあった(書き込まないでよヽ(`Д´)ノ)。次の△7五飛には▲3六飛とできるので、放置で良いとおもう。 |