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NHK将棋シリーズ 佐藤康光の実戦で使える囲いの急所 |
[総合評価] B(第1刷) A(第2刷) 難易度:★★★ 図面:見開き3〜4枚 内容:(質)A(量)B レイアウト:A 解説:A 読みやすさ:A 中級〜上級向き |
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【著 者】 佐藤康光 | ||||
【出版社】 NHK出版 | ||||
発行:2012年9月 | ISBN:978-4-14-016207-1 | |||
定価:1,260円(5%税込) | 256ページ/19cm |
【本の内容】 | ||||||||||||||||||||||||
・腕試し対局棋譜=10局 |
【レビュー】 |
囲い崩しの本。NHK将棋講座別冊付録「佐藤康光の囲いの急所リターンズ」(2011年4月号〜9月号)を再構成、加筆してまとめたもの。 本書のベースとして、17年前に出版された『佐藤康光の寄せの急所 囲いの急所』(佐藤康光,日本放送出版協会,1995)がある。この本では、美濃囲い、舟囲い、矢倉、それと左美濃(天守閣美濃)と居飛車穴熊の崩し方を、級位者にもよく分かるように解説していた。わたしにとって、囲い崩しの基本を習得し、将棋らしい将棋を指せるようになった第一歩の本であり、思い出の一冊である。ちなみに現在でもこの本は級位者にとって超オススメだと思う。 本書は、『〜寄せの急所 囲いの急所』をやや発展させた位置づけになる。実戦で現れるような、囲いの急所を衝いた手筋の組み合わせを学べる。 各テーマの構成は次のとおり。基本的に1テーマ6ページで構成される。 ・冒頭3.5ページ: 解説パート。部分図で、囲いの急所と崩し方を解説 ・0.5ページ: 腕試し問題。佐藤の実戦から出題。ものによっては章末に総譜付き。 ・2.0ページ: 腕試し問題の解説。冒頭の解説パートとは違う手が正解であることもあるが、解説パートをちゃんと読んでいれば自然と急所に目が行くはずで、プロの実戦も比較的易しく感じられる。 『〜寄せの急所 囲いの急所』と違っている点をまとめると、 ・木村美濃、片銀冠や中原囲い、5二玉型中原囲いなど、この十数年で急増した囲いに対応。 ・振飛車の△7二玉型など、およそ囲いとはいえないが出現率が高まったものにも対応。 ・分かりやすさは同等。 ・より実戦的な手が増えた感じ。 ・受けの手も時々書いてある。攻めと受けは表裏一体。 ・佐藤康光が美濃囲いを肯定的に見るようになった(笑) (以前は「美濃囲いが堅いとは思えない」と公言していた) 前著『〜寄せの急所 囲いの急所』と本書を併せて読めば、どんな囲いに対しても的確に急所に目が行くようになるだろう。 というわけで、超オススメ……としたいのだが、本書には重大な誤植が2箇所あった(下記参照、p90とp131)。かなり混乱度の高い誤植だったので、評価を少し下げている。第2刷以降で誤植が解消されていれば、Aとしたい。(2012Oct12) (2021Mar05追記) 2014年12月20日発行の第2刷では、誤植はすべて修正されているとことです。第2刷以降の評価はAとします。 ※誤字・誤植等(第1刷で確認): p80 ?「2手スキの状態」 →〔2012Oct24追記〕掲示板で「2手スキ」さんからご指摘いただきましたので、一部修正します。 問題図は、△4九歩成〜△3九との筋だと3手スキになっていますが、別の筋で2手スキの状態なので、 ×「先手は△4九歩成〜△3九とで受けがなくなる「2手スキ」の状態」 ○「先手は△4九龍が詰めろで、▲同金△同歩成で受けがなくなる「2手スキ」の状態」 〔追記はここまで〕 p90 1段目〜2段目 「D図から△3一金と逃げれば▲5四歩で、…(空白)…三とと引いて良い。」 1行まるまる抜けているっぽい。この誤植は痛い!また、D図では持駒に歩がないので▲5四歩とは打てない。 おそらく「D図から△3一金と逃げれば、歩があれば▲5四歩で、歩がなければ▲5三とと引いて良い。」が本来の趣旨だと思われる。 p131腕試しE 角が3枚、香が5枚ある。→△4二角と▲9九香を削除する。 ※2014年12月20日発行の第2刷では、上記の誤植はすべて修正されている。(2021Mar05追記、だすとふりーさん情報thx!) |