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NHK将棋シリーズ 棒銀と中飛車で駒落ちを勝て! |
[総合評価] A 難易度:★★ 〜★★★☆ 図面:見開き3〜4枚 内容:(質)A(量)B レイアウト:A 解説:A 読みやすさ:A 初級〜上級向き |
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【著 者】 高橋道雄 | ||||
【出版社】 NHK出版 | ||||
発行:2011年8月 | ISBN:978-4-14-016192-0 | |||
定価:1,260円(5%税込) | 256ページ/19cm |
【本の内容】 | ||||||||||||
・駒落ちの基礎知識=2p
・【コラム】原始棒銀の使い手/チャレンジャー |
【レビュー】 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
従来の定跡にとらわれない、新しい駒落ち解説書。NHK将棋講座「高橋道雄の自由に指そう!
楽しい駒落ち」(2010.10〜2011.03)に加筆修正してまとめたもの。 「駒落ちの既存定跡にこだわらず、自由に指そう」──これが本書のテーマである。 駒落ちには、手合いごとにそれぞれ優秀な既存の定跡がある。ここで「既存定跡」とは、『将棋大観』(木村義雄,日本将棋連盟、1976など)や『【決定版】駒落ち定跡』(所司和晴,日本将棋連盟,2000/2010)に載っている定跡だと考えて差し支えない。初めて駒落ちを上手と指すとき、たいてい最初は感覚がつかめずに負けるわけであるが、そうすると「定跡を覚えなさい」ということになる。(※下手が勝った場合は「手合い違いですね」となることが多い) しかし、駒落ち定跡には大きな違和感を感じるものがいくつもある。例を挙げると、 ・六枚落ち: 4手目の下手▲6六角、角を切って香〜飛と成っていく ・四枚落ち: 下手が角道を開けず、居玉棒銀で攻め切る定跡 ・二枚落ち: 序盤早々の下手4筋位取り ・飛香落ち: 1筋の歩を飛で切ること ・飛落ち: 下手右四間で、上手の一番堅いところを攻めること など。もちろん、これらは先人の知恵の積み重ねで、ちゃんと理屈も通っており、定跡としての価値を否定するものではない。 ただ、「平手に応用できないのではないか」──という感触を多くの人が持っているはずだ。そして、それが「駒落ち定跡を覚えても仕方ない」という一部の意見につながっているのである。 本書では、既存の駒落ち定跡にとらわれず、新しい指し方を提案している。高橋はかつて『駒落ち新定跡』(高橋道雄,創元社,2005)でも同様の提案をしているが、本書のものは『駒落ち新定跡』にも載っていない新しい指し方である。 方針は、大きく2つ。 ・上手の薄いところを、筋良く攻める。無理攻めと紙一重の攻めはしない。 ・平手に応用の利く手を本手とする。 これらの方針は、本書で紹介されている戦法すべてに一貫している。 各章の内容と戦法を紹介していこう。 第1章は棒銀。冒頭の「棒銀戦法の基礎知識」では、平手での棒銀の紹介と、その目的(飛先突破、銀交換など)を解説。これは、駒落ちで覚えたことを平手に応用するのを前提としているからだ。
第2章は中飛車。第1章と同様に、「中飛車の基礎知識」で平手でのツノ銀中飛車や角交換系中飛車の概要を解説。
第3章は復習。単なるページ埋めではなく、「駒落ちと平手のリンク」を感じるためには重要な章だ。 |