zoom |
中公新書 1869 カラー版 将棋駒の世界 |
[総合評価] A 難易度:- 図面:なし(写真と文章) 内容:(質)A(量)A レイアウト:A 解説:A 読みやすさ:A 将棋ファン全般向き |
||
【著 者】 増山雅人 | ||||
【出版社】 中央公論新社 | ||||
発行:2006年10月 | ISBN:4-12-101869-9 | |||
定価:1,029円(5%税込) | 192ページ/18cm |
【本の内容】 | ||||||||||||||||||||
◆内容紹介 |
【レビュー】 |
将棋駒の解説書。「NHK将棋講座」に連載されたものをベースに再構成し、新たに書き下ろされたもの。 このページをご覧のみなさんは、将棋を指すのはネットが多いだろうか。中にはネットオンリーの方もいるだろうが、「できれば木の盤駒でピシッと指したい」と思う人はかなり多いと思う。わたしも実戦・棋譜並べともPCを使うことが多いのだが、練習会や公式戦でリアルの木の駒で指すのはやっぱりいいものだと思う(プラ駒・ペラ盤の職○戦は正直好きではない…あの「ペチっ」という音と感触が…)。 とはいえ、多くの人は駒の書体とか作者とかをあまりじっくり気にしたことはないだろう。ただ、「昨日道場で使ったあの駒は良かったな」とか、「今日のタイトル戦で使ってた駒は好みだな」とか、そのくらいの感想は持っているはずである。 本書では、そういう駒の世界を入門レベルの基本からマニアックな部分まで写真入りで詳しく解説。一通り読めば、今まで「将棋の道具」でしかなかった駒を知り、魅力をしっかりと認識できる。構成は、見開き2頁のカラーページ(おもに写真)と同2ページのモノクロページ(おもに解説)が交互。カラー印刷部はすべてフルカラーで、ややマット調(つや消し)の美麗な印刷。駒の質感や輝きまではどうしても表現しきれていないが、美しい駒への憧れを感じるには十分である。 筆者の増山氏は、本業は棋書編集者だが、もうひとつの顔は「酔棋(すいき)」の号で知られるアマチュア駒師。アマ・プロといっても指し将棋の世界とは少し違っていて、駒の世界では納期やコストに縛られないアマの方がいい作品を作ることもあるのである。本書でも「酔棋作」の駒がいくつか載っていて、写真で見る限りは名工の作品と肩を並べる出来栄えだ。 プラ駒なら1000円以下で買える。しかしそれではちょっと寂しい。ちょっといい駒となれば、比較的安価な彫り駒でも庶民のお小遣いで買うには高いかもしれないが、手を伸ばせば届きそうなところでもある。「いつか」を想いながら、本書を読みふけるのもいいだろう。 |