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■龍と苺

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龍と苺(1)
zoom
少年サンデーコミックス
龍と苺
(1)〜(18)
[総合評価]
(1巻時点の暫定で)
A
なんですが、いろいろあります

絵:A
ストーリー:A??
構成:A
キャラ:A??

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【著 者】 柳本光晴
【出版社】 小学館
発行:2020年8月〜 ISBN:
定価:499円(8%税込) 184ページ/cm
龍と苺(1)
≪1巻≫
2020年8月
龍と苺(2)
≪2巻≫
2020年11月
龍と苺(3)
≪3巻≫
2021年3月
龍と苺(4)
≪4巻≫
2021年6月
龍と苺(5)
≪5巻≫
2021年9月
龍と苺(6)
≪6巻≫
2021年12月
龍と苺(7)
≪7巻≫
2022年3月
龍と苺(8)
≪8巻≫
2022年6月
龍と苺(9)
≪9巻≫
2022年9月
龍と苺(10)
≪10巻≫
2022年12月
龍と苺(11)
≪11巻≫
2023年3月
龍と苺(12)
≪12巻≫
2023年6月
龍と苺(13)
≪13巻≫
2023年9月
龍と苺(14)
≪14巻≫
2023年12月
龍と苺(15)
≪15巻≫
2024年3月
龍と苺(16)
≪16巻≫
2024年6月
龍と苺(17)
≪17巻≫
2024年8月
龍と苺(17)
≪18巻≫
2024年11月
   


【本の内容】
(1巻)
(1)命懸け (2)ケンカの続き (3)化け物 (4)女子供 (5)積み重ね (6)動揺 (7)覚悟の差

◆内容紹介
〔1巻〕
命懸けで闘うものが見つからず退屈した日々を送る、藍田苺、14歳。

将棋好きの元校長に、才能を見いだされた苺は初心者のまま、将棋の市大会に参加することに!!!

そこは女だから、子供だから、と言われるような「見えない壁」がある場所だったが…

そんなことは関係ない。苺は真っすぐ、自由に、猛烈に、暴れまわる!!!

連載開始直後から、大大反響!

一手一手、強くなる。“闘う”将棋マンガ、開幕!!



【編集担当からのおすすめ情報】
「盤上では、年齢も、性別も、棋歴だって関係ない。」

芯強く、まっすぐ生きる14歳女子が理屈をこねる”大人”をばったばったとなぎ倒し、猛者ひしめく将棋界を駆け上がります。

将棋ファンはもちろん、バトルやアクション好きの方、昨今の将棋ブームで将棋に興味を持ち始めたライトな将棋好きも楽しめる、王道少年マンガです!

『響〜小説家になる方法〜』で天才を描ききりマンガ大賞2017大賞受賞、実写映画化など大旋風を巻き起こした柳本光晴、満を持しての最新作!

〔2巻〕
竜王戦ってのに、出る!!

初心者で臨んだ市大会での優勝後、伊鶴八段相手に惨敗を喫した藍田苺、14歳。

再戦の機会を求め、苺が目標に定めたのは、アマチュアにも出場枠のある棋界最高峰のタイトル戦・竜王戦!!!

将棋部・滝沢とともに乗り込んだ「アマ竜王戦神奈川県予選」は曲者揃いの“戦場”で―――

真っすぐで、愛らしい14歳が将棋に打ち込み始める第2巻!!!!

〔3巻〕
14歳が理屈をこねる大人をなぎ倒す!

棋界最高峰のタイトル戦・「竜王戦」をめがけて突き進む将棋初心者の藍田苺・14歳。

出場中のアマ竜王戦県予選では将棋に人生を懸けた強豪相手に真っ正面から向かい合い、激しく暴れまわる!!!

そして、現竜王・山野辺と対面した苺は竜王相手にいきなり、一触即発の事態に!!?

愛々しい苺が、ゆっくりと確実に将棋を好きになってゆく第3巻!!!

〔4巻〕
14歳が全国から集いし猛者をなぎ倒す!!

「竜王戦」出場に向けて破竹の勢いで勝ち進み、現在、アマ竜王戦全国大会出場中の藍田苺・14歳。

名人の娘・月子、アマ王将・塚原、徳島代表・凛々、アマ名人やアマ竜王―――

全国より集いし腕自慢を相手に苺は真摯に、強く前へと進んでいく!!

竜王や謎のフードの男など、圧倒的強者と出会い、そして闘い、苺がもっともっと、将棋にのめり込む第4巻!!!

〔5巻〕
さらに強く。もっと前へ。苺は進む!!

自分より強い者を倒すため、将棋に打ち込む将棋初心者の藍田苺・14歳。

「竜王戦」を目指し出場中のアマ竜王戦全国大会で苺は準決勝進出! 大白熱の対局が続きます。

訪れた将棋道場で苺が出会ったのは、現役棋士と女流タイトルホルダー。
より強くなるために、「プロ」を目指すべきなのか…
苺は実直に、信じる道を進んでいく!!

名人相手の対局や、プロ相手の出稽古、奨励会試験など盛りだくさんの第5巻!!!

〔6巻〕
苺がついに、プロ相手の棋戦デビュー!!

アマ竜王戦を勝ち抜いた藍田苺・14歳。4か月後に控える棋戦デビューを前に奨励会への入会を目指す仲間と、毎日毎日、将棋に打ち込む“暑い夏”を過ごします。

竜王・山野辺、実力者・古閑、最年少棋士・斎藤…癖いっぱいのトップ棋士も続々登場。

本気で棋士に勝つために愚直に力を蓄えた日々は、結果に結びつくか。

苺が将棋に、深く深く熱中してゆく第6巻!!!

〔7巻〕
“史上初”をどんどん塗りかえろ!!

竜王戦を目指し進み続ける、藍田苺・14歳。
アマチュア枠で出場中の竜王戦6組は負けたら終わりのトーナメント戦。
対戦相手はもちろんプロである棋士ばかり・・・
苺の実力は、プロに届くのか。

そして4月を迎え、苺は将棋部部長に就任!
賑やかな新入部員を迎え入れ、
驚きたっぷりの“新生将棋部”が始動します。

視線はぶれずにまっすぐに。
苺が将棋界に新風を吹き込む、第7巻!!!

〔8巻〕
竜王戦、決勝トーナメントへ参戦!

竜王戦でのリベンジを胸に、
棋界を翔け上がる藍田苺・15歳。
アマチュア初、女性初、そして史上最年少として
竜王戦決勝トーナメントへの参戦をつかみ取った!!

新進気鋭棋士・マリオネット五段相手に
がっつり真っ向勝負を挑む苺だが、着実に差を広げられ、大苦戦。
何か打開する手を見つけられるか!?

一手一手強くなる。
苺が、将棋界本丸へ斬り込みはじめる、第8巻!!!

〔9巻〕
関西の猛者どもが、苺に襲いかかる。

竜王戦を、破竹の勢いで勝ち続ける中学3年生、藍田苺。

決勝トーナメント2回戦の相手は、勢い溢れる若手棋士・道玄坂六段。
竜王直々解説に訪れるほどに注目が集まる対局は、大混戦に!!

そして、大阪に向かう苺には、将棋史最高の才能・斎藤二冠を筆頭とした
関西の誇る強豪たちが襲いかかり…!!?

さらに早く。さらに強く。
将棋界が苺にざわつきはじめる、第9巻!!!

〔10巻〕
将棋界最高峰・A級棋士を相手に苺は…!?

竜王戦アマ参加枠として破竹の勢いで勝ち続ける藍田苺15歳。
マリオネット五段と道玄坂六段を破りついに決勝トーナメント3回戦へ進出!!
トッププロ達の中でも更に一握りである将棋界の頂点・A級棋士の宮下九段を相手に苺は…!?
大阪の地で苺の大一番が始まる!!

〔11巻〕
ついに将棋タイトル保持者との激突…!!

伊鶴へのリベンジを果たすべく、竜王戦アマ参加枠として快進撃を続ける苺はついにトッププロの中でも一握りのA級棋士・宮下九段をも下す!そして次局の相手は以前殴られた因縁の相手、海江田王座!!タイトルホルダーを相手に苺は勝利することができるのか…!?

〔12巻〕
伊鶴八段との因縁の対決が開幕!!

竜王戦アマ参加枠として未だ勝ち続ける中学3年生、藍田苺。

決勝トーナメント4回戦ではタイトルホルダーの海江田王座さえも破り、ついに因縁の伊鶴八段との対局まで辿り着く。

伊鶴戦の前に苺は中学生の将棋全国大会にも出場。そして因縁の戦いの火蓋が切って落とされた…!!

竜王戦決勝トーナメントも佳境を迎え…絶対に勝ちたい戦いが始まる第12巻!!!

〔13巻〕
竜王戦T準決勝・伊鶴戦決着!!

竜王戦T準決勝、苺はこのために勝ち上がってきたといっても過言ではない伊鶴との一戦がついに決着…!勝利の女神はどちらに微笑む…!?
そして大鷹名人と斎藤二冠の新旧天才による歴史的一局も!
苺の将棋はどこへ向かう…!?行く先を見逃すな!!

〔14巻〕
現代最強棋士VS苺、開幕!!

竜王戦アマ参加枠として勝ちに勝ち続けた
中学3年生、藍田苺。

決勝トーナメント準決勝では因縁の伊鶴八段をも破り、
ついには決勝で斎藤蓮二冠との三番勝負に挑む。

第一局では力を発揮できずに敗れた苺だが、第二局ではリベンジを誓い
斎藤の研究を進め…!?

将棋の頂点がついに見えてきた…!!
熱戦繰り広げる第14巻!!!

〔15巻〕
竜王に挑むのは苺と斎藤どちらに…!?

アマ参加枠として破竹の勢いで勝ち続けた竜王戦決勝トーナメントもついに佳境、決勝トーナメントの決勝は斎藤蓮二冠との三番勝負!!
初戦は負けるも二戦目では100手以上を読み切り苺が見事勝利!!
三番勝負最終局、実力では上を行く斎藤相手に苺が用意した策とは…?
そしてプロへの登竜門、奨励会三段リーグでは昇段しプロ棋士になるべく熾烈な戦いが繰り広げられ…!!

〔16巻〕
竜王位を賭けた七番勝負ついに開幕!!

竜王戦アマ参加枠として勝ちに勝ち続けた中学3年生、藍田苺。
決勝トーナメントでは斎藤との三番勝負を制し、ついに山野辺竜王への挑戦権を得る。
そんな中、苺が顔を出している高校では学園祭が始まり苺はバンド部の様子が気になるようで…?
苺が山野辺の研究を進める間に、中学校将棋部のこっこ達は大会に出場!初勝利なるか!?
そしてついに山野辺との竜王位を巡る7番勝負の火蓋が切って落とされたーー!!

〔17巻〕
追い詰められた苺、覚醒の時ーー!?

竜王戦アマ参加枠として勝ちに勝ち続けた中学3年生、藍田苺。
ついに竜王である山野辺への挑戦権を得た苺だが、迎えた竜王戦七番勝負では二局連続良いところなく敗れてしまう。負けるとかなり追い詰められることになる第三局で苺が用意した山野辺対策は…!?
アマチュアである苺相手に徹底的に勝ちに拘る山野辺。その理由とは?
そして重度のガンを申告されている宮村の体調も日に日に悪化していき…!?
一日一日に全てを懸ける第17巻!!!

〔18巻〕
苺VS山野辺!竜王戦七番勝負、大白熱!!

ついに辿り着いた竜王戦七番勝負!!
三連敗を喫し後のない苺だったが、宮村の余命が短いことを知り改めて気持ちを立て直しそこから見事二連勝する。
続く第六局、第七局を勝利し、女性初のタイトルを獲得出来るのか…!?
竜王戦が進む一方で奨励会員たちによる次のプロ棋士を決めるための三段リーグが進んでいく。女性初の棋士を目指すも成績が芳しくなく諦めかけていた高野の前に苺が現れ…!?


【レビュー】
中二の女子が天才性を発揮していく将棋マンガ。

〔あらすじ〕
中二の女子・藍田苺は、命を懸けられるような何かを探している。ある日、教室内でのトラブルから面談したスクールカウンセラーに何気なく将棋を教えられる。自分のやる気よりも才能が先走る苺。次第に、「将棋なら年齢も性別も関係ないケンカができる」と、苺は将棋に目覚めるが…。


〔登場人物〕
[藍田苺](あいだ・いちご)]
中2、♀。ベリーショートでややツリ目。
ぬるい日常は嫌。「命懸けで何かしたい」。常軌を逸した言動が時折見られ、“抜身のナイフ”のよう。「売られたケンカは買う」。
教室内で暴力沙汰を起こした後、カウンセラーから将棋を教えられ、いきなり命を懸ける。呑み込みが異常に早く、才能を見出される。

[宮村](みやむら)]
スクールカウンセラー、♂。中学校の校長を定年退職後、カウンセラーになる。
苺の才能を見出し、プロ棋士になるように誘う。



〔寸評〕
・冒頭での「将棋界には女性蔑視の雰囲気がある」的な描写、その次の教室内での低レベルな会話。のっけから嫌悪感があります。
・学校のイスで後ろから頭殴ったら死んじゃうよ!

・おっさんたちが「女こども」を蔑視しているというのも、どうなんだろう…。将棋大会でこどもが相手だったら「相当強いのかも」って思いますけどね。
−実際、そういうことを言っている人を見たことはありますが、現在では少数派だと思います。「女性蔑視を天才が打ち破る」がこの作品のテーマっぽいので、仕方ないのですかね。「将棋を指しているおっさんの頭の中はこうなんだ」って思われるのはイヤだなぁ。
・と思ったら、主人公自身が「女こども」に対する偏見があるって、どうなってるんでしょ。

・プロ棋士編入試験の解釈が間違っている気がします。「アマ大会で抜群の成績なら編入試験」みたいな前提ですが、「アマの全国大会で優秀な成績→プロ公式戦に出場→公式戦で一定以上の好成績→プロ編入」のはずなので(奨励会編入もありますが)、地方都市の大会でどれだけ優勝を重ねても意味はないし、基準が決まっているので「周りの評価」も関係ないかと。

・タイトルの「龍」が何を指すのかは1巻時点では不明。

・雑誌での連載時に盤面のミスが何度かあったらしく、「駒配置ミス謝罪のコーナー」が設けられています。そこで、「雑誌手はこうなっていた」という絵が掲載されていました。
−最初の「二歩」は確かにその通りでした。
−2回目と3回目の「玉が二つあった」は、最初は何のミスなのか分かりませんでしたが、「駒は“将”と“将”が一つずつ」ということに対するミスのようです。ただ、アマ大会で使うようなプラ駒では「両方とも将」というのもよくありますし、高級駒でも稀に「双玉」の駒はあるので、別にいいんじゃないかしら。

〔総評〕
本作は、「天才」「女性・こども・権威に対する偏見」というものをテーマとして、かなり強調されて描かれているようです。

また、「相手を見た目や周辺情報で判断し、ありのままを見ずに、過大評価・過小評価」する人たちも多く描かれています。(フラットな目線のキャラも少しはいます)

わたし自身は「本当の天才」と思える人を目の前で見たことがありませんが、「ルールを覚えてすぐに超絶的な上達っぷり」という設定自体は非現実的ではあるものの、AIがそれをやれてしまう時代なので、あっても別に不思議じゃないかな、と思います。(先崎九段は、将棋を覚えた日には二段になった旨の話をされてますし)

一方、「偏見」の方は、わたしも本作のような例を目にしたことは何度もありますので、むしろ現実的ではあります。ただ、作品のほとんどすべての登場人物(主人公からモブまで)が偏見だらけというのは、フィクションで強調された世界とはいえ、気分のいいものではありませんでした。

わたし自身はすでに「おっさん」側の領域の人間ですが、自分の所属している属性(将棋好き、男性、人生後半組、など)が何度も何度も醜い姿を描かれていて、読んでてちょっとツラいです(>_<。) また、彼らは主人公にやられてただ未練がましく屈服するだけで、目が覚めるということもなく…。

ただ、1巻の最後の方で、こういった陰鬱な感じをクリアにしようとしているのでは?と思えるような希望的な展開を感じました。また、少年誌連載マンガなのになんで中二女子を主人公にしたのかも、なんとなく分かりました。

これまでの将棋マンガの中でも「異端感」がハンパなく、「天才とはこういうものだ」ということを描き切れたら、すごいマンガになりそうな予感はします。「天才なりの苦悩」とか、「一人の天才が周りの凡人を生まれ変わらせていく」とか。ただ、その前に打ち切りとか、話が破綻しないか心配です。ネットで賛否両論がすごい(Amazonでは「否」側も多い)のも分かる気がします。

キャラに憧れたり感情移入したりできないという点では『月下の棋士』と通じるものがあり、わたしの中でも、AからEまで揺れ動いていますが、現時点では期待を込めて暫定でAとしておきます。「天才が凡人たちを薙ぎ倒していく」というだけのマンガになってしまったら、C以下に修正します。

(2020Oct10)



【関連書籍】

[ジャンル] 将棋コミック
[シリーズ] 
[著者] 柳本光晴
[発行年] 2020年

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